
草を打つ雨を遍路のゆきにけり 藤田あけ烏
四国八十八カ所の霊場を巡礼するお遍路さんの季は春。しかしこの句では雨の季節でなければならない。バサバサと草を打つ激しい雨に、作者の高い精神性が感じられる。俳誌「草の花」(1996年4月号)所載。(井川博年)
【遍路】 へんろ
◇「お遍路」 ◇「遍路宿」 ◇「善根宿」(ぜんこんやど) ◇「遍路道」 ◇「遍路笠」 ◇「遍路杖」 ◇「四国巡」 ◇「島四国」
空海の修行の遺跡である四国の札所88カ所の霊場を巡拝すること。また、その徒をいう。全行程二百里、約四十日かかる。白装束に、同行二人と書かれた笠をかぶり、それぞれの思いを胸に発心の旅にでてゆく姿はひとの心うつものがある。
例句 作者
框にも抽斗ありて遍路宿 今井つる女
拝みつゝ遍路まなこをつむりけり 星野立子
お遍路の美しければあはれなり 高浜年尾
年寄りの足の確かや夕遍路 高野素十
大風に花蘂降れり夕遍路 大石香代子
海近き遍路寺なり夕詣り 岡井省二
遍路ゆき犬ゆき渚まだ暮れず 白川友幸
塩田に遍路の鈴の遠音あり 石原舟月
先頭の遍路が海の入日見る 桂 信子
草を打つ雨を遍路のゆきにけり 藤田あけ烏