たとふればレノンの眼鏡夏の月 橋本直
レノンはあのジョンレノンのことだと分かる
夏の月が彼の眼鏡だと作者はなぞらえる
読み手の解に委ねてにんまりの作者の姿が浮かんでくる
現代俳句ばらではの表現技法なのだ
私には重量の無い白い夏の月のその先をみようとしている
眼鏡のレンズが見えてきた
絶対者への反抗、意思表示なのかも知れぬ
(小林たけし)
【夏の月】 なつのつき
◇「夏月」 ◇「月涼し」 ◇「夏の霜」 ◇「梅雨の月」
単に「月」といえば秋の季語であるが、春夏秋冬それぞれの趣で詠まれる。暑いさ中、一服の涼を求めて外に出、眺め見る夏の月は風情のあるものである。『枕草子』にも「夏は夜。月のころはさらなり。闇もなほ・・」とあり、「夏の月」は古来和歌・俳句にしばしば詠まれた。「梅雨の月」は梅雨の間、雨の降っていない日に見られる月。「夏の霜」は夏の夜、月が地面や草を白々と照らし、さながら霜を置いたように見えることをいう。
例句 作者
たまゆらの草
の匂や夏の月 山中恵子
ためらい傷ほどの痛みや夏の月 柴崎ゆき子
なほ北へ行く汽車とまり夏の月 中村汀女
ゴキブリを叩き損ねて夏の月 谷口慎也
バルカンに火渡りはあり夏の月 秋尾敏
ヒロインの落飾で幕月涼し 松王かをり
三人で熊野に帰る夏の月 杉浦圭祐
地下鉄に人は吸われて夏の月 前川弘明
夏の月とろんと仮名の解けだしぬ 池嶋庄市
夏の月めったやたらに風が吹く 野﨑憲子
夏の月水のいのちを纒ひけり 栗林千津
たまゆらの草
の匂や夏の月 山中恵子
ためらい傷ほどの痛みや夏の月 柴崎ゆき子
なほ北へ行く汽車とまり夏の月 中村汀女
ゴキブリを叩き損ねて夏の月 谷口慎也
バルカンに火渡りはあり夏の月 秋尾敏
ヒロインの落飾で幕月涼し 松王かをり
三人で熊野に帰る夏の月 杉浦圭祐
地下鉄に人は吸われて夏の月 前川弘明
夏の月とろんと仮名の解けだしぬ 池嶋庄市
夏の月めったやたらに風が吹く 野﨑憲子
夏の月水のいのちを纒ひけり 栗林千津