竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

たとふればレノンの眼鏡夏の月 橋本直

2020-06-15 | 今日の季語


たとふればレノンの眼鏡夏の月 橋本直

レノンはあのジョンレノンのことだと分かる
夏の月が彼の眼鏡だと作者はなぞらえる
読み手の解に委ねてにんまりの作者の姿が浮かんでくる
現代俳句ばらではの表現技法なのだ
私には重量の無い白い夏の月のその先をみようとしている
眼鏡のレンズが見えてきた
絶対者への反抗、意思表示なのかも知れぬ
(小林たけし)


【夏の月】 なつのつき
◇「夏月」 ◇「月涼し」 ◇「夏の霜」 ◇「梅雨の月」
単に「月」といえば秋の季語であるが、春夏秋冬それぞれの趣で詠まれる。暑いさ中、一服の涼を求めて外に出、眺め見る夏の月は風情のあるものである。『枕草子』にも「夏は夜。月のころはさらなり。闇もなほ・・」とあり、「夏の月」は古来和歌・俳句にしばしば詠まれた。「梅雨の月」は梅雨の間、雨の降っていない日に見られる月。「夏の霜」は夏の夜、月が地面や草を白々と照らし、さながら霜を置いたように見えることをいう。

例句 作者
たまゆらの草
の匂や夏の月 山中恵子
ためらい傷ほどの痛みや夏の月 柴崎ゆき子
なほ北へ行く汽車とまり夏の月 中村汀女
ゴキブリを叩き損ねて夏の月 谷口慎也
バルカンに火渡りはあり夏の月 秋尾敏
ヒロインの落飾で幕月涼し 松王かをり
三人で熊野に帰る夏の月 杉浦圭祐
地下鉄に人は吸われて夏の月 前川弘明
夏の月とろんと仮名の解けだしぬ 池嶋庄市
夏の月めったやたらに風が吹く 野﨑憲子
夏の月水のいのちを纒ひけり 栗林千津