竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

ラケットに遠い青春リラの花 岡部ひさ子

2020-06-25 | 今日の季語


ラケットに遠い青春リラの花 岡部ひさ子

遠い青春は少し安易な表意に感じるが
ラケッタを握る作者にふとリラの強い香りが襲う
時空を超えてあの日あの顔あのでき事が蘇る
甘く切ないあの熱い日の記憶である
(小林たけし)



【ライラック】
◇「リラ」 ◇「リラの花」
モクセイ科の落葉低木。ヨーロッパ原産。高さ5メートル内外。5月頃、淡紫色で四裂した長さ約1センチの花を開き、芳香を放つ。園芸品には白・淡紅色がある。日本では東北・北海道の寒地でよく育ち、ことに北海道が知られている。リラの英語名。香水の原料としてもしられる。

例句 作者

低音を好みてリラを愛しけり 後藤夜半
旅人のものうき刻のリラの花 草間時彦
リラ冷えや旅の地酒をすこし酌み 舘岡沙緻
リラの花朝も夕べの色に咲く 阿部みどり女
リラ挿せば羽ばたき過ぎし月日かな 林 翔
空もまた暮れつつリラの色となる 水原秋櫻子
リラ咲かすステンドグラスの夕映え 赤尾茶香
公園や領事夫人のライラック 船矢深雪
舞姫はリラの花よりも濃くにほふ 山口青邨
花曼茶羅締め括りですリラの風 浜本初子
降る雨の粒見えてをりライラック 照井翠