1996年作、「夢見る街」アクリル絵具で描かれた作品。
今から13年前に描いた作品。もちろん神戸の街の絵です。ヒロク二さんの絵は、日記のようなところがあり、この作品は1995年に起きた阪神大震災後に描かれた絵でなんにかしら街が雑然としている。いつも登場する女の子が登場していないのが特徴かもしれない。
アップで見てみると、画面にダンボールが貼り付けられていて凹凸があちらこちらにある。エネルギーというものを感じる絵だ。余震は、地面がゴロゴロと転がるような音がするのです。来た!という感じ。この絵は、紙に描かれているのに、とても重たい絵でゴムの固まりのような絵です。
わたし達は震災で家が半壊して、トイレから屋根から日が差し込む状態だったけれど、ヒロク二さんが本棚を壁にから離していたのが幸いして本の下敷きにならず全く怪我をしなかったのです。その代わりアトリエの屋根から、鉛筆の削りカスが落ちて来て、ブファーと削りカスまみれになってしまい、顔を洗おうと思ったら水道が出なくなっていて困った。チクチクする身体をお風呂に入れず持て余した。地震が起こる前の日は、ヒロク二さんの友人の所で飲み飽かし、朝帰りだったので地震が起こった時は起きていたのでよ~く覚えている。目の前のものがガタガタと音をたて、重りの付いたトレース台が飛んで倒れたのです。最初、ポルターガイストかと思ったのです。物が飛んだのに驚いた!
水汲みと食料の確保が出来てから、街へ。瓦礫の山の中を歩き、信じられない光景をたくさん見た。
ヒロク二さんの水汲みの様子
公園の水道から水を運んでいた。飲用水のほか、チクチクする身体をなんとかする為に風呂の水をためるべくわたしは頑張っていた。執念に燃えていたかもしれない。そんなわたしを見てヒロク二さんは、手伝うと云う。最初は容器をたくさん自転車に積み、行き帰りしていたが、アトリエ用のゴミ箱、蓋付きペール45ℓのゴミ箱で運ぶことにしたらしい。ヒロク二さんに「そんなことしたら、疲れてしまうよ」と言ったが決行した。行き道はフラッと出かけたが、なかなか帰ってこない。帰ってきたら、「重くて水を途中で減らした、重い」「もうだめ!」と言っているの。熱い国の人のDNAというか、先を考えないのが、ヒロク二さんらしい。だから、芸術家になれたのかもしれない・・・と思う時があります。考えていては出来ないこともありますよね。先を見通す力は無いけれど、意思はとても強い人です。
お風呂?お風呂の水は、伝書鳩みたいに行ったり来たりして、わたしが風呂桶を一杯にした。それより、ヒロク二さんが大きい水色の45ℓゴミ箱に水を入れて、抱えている姿!ヒロク二さんを象徴している姿です。
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