毎日新聞夕刊 2006年4月18(火)掲載
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/ae/1f47565e1132a1afad49c64b1e4825ff.jpg)
元横綱大鵬 納谷幸喜さんが、戦後も今も、卵焼きは料理の横綱と語ります。「今は豊かな時代になって、食べ物があふれ、なんでもかんでもすぐ捨てる!賞味期限が切れたくらいで。若い衆に怒るよ。バカヤロー、オレが食うから持ってこい!見本を示してやる。」と言うくだりは、明快だ。我家も賞味期限が切れたって味見してOKだったら食べる。その反対の近頃の、賞味期限改ざんは貧乏くさく、心意気がないよね。
大きな卵焼きを焼きました。卵は7個使って。
白いお皿にのせてアトリエに運びました。
3時間ぐらいジーと見ていたかと思うと、グォーといびきをかきながら寝ていること30分。急に起き上がったかと思うと、モーレツな勢いで描き始める。
そう「卵焼きになってる」のです。
その姿は、忘れられないな。素晴らしい姿でした。
卵焼きと他人の芝生
卵焼きというのは、家庭によって味が違う。甘い卵焼きを初めて食べたときは、カルチャーショックだった。世の中の卵焼きは、すべて出汁巻きだと、子供の頃は思っていたから。そうすると、今度は、いろんな所で甘い卵焼きに遭遇する機会が増えた。もちろん塩味の聞いた卵焼きにも。家の中での世界から、外へ出て少しづついろんな家庭があることを知る。自分の家の常識とお友達の家の常識が違うというのも驚きだ。子供の頃、いろいろな人がいるのに何故、わたしはここの家に生まれたのだろう?と小学生の頃に疑問に思った。「他人の芝は青く見える」という所なのだろう。しかし、大人になっても「他人の芝は青く見える」ということがあり、そう思う自分から抜け出すのに時間がかかった。今は、自分で気分によって甘くも、塩味の卵焼きも自在に作れるし、他人の芝も青く見えないのでとてもいい。心の殻は、自分では気がつき難く、また殻を破るのは簡単なことなのに難しい。だけど、そんなことがあるから生きていて面白いのかもしれない。
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元横綱大鵬 納谷幸喜さんが、戦後も今も、卵焼きは料理の横綱と語ります。「今は豊かな時代になって、食べ物があふれ、なんでもかんでもすぐ捨てる!賞味期限が切れたくらいで。若い衆に怒るよ。バカヤロー、オレが食うから持ってこい!見本を示してやる。」と言うくだりは、明快だ。我家も賞味期限が切れたって味見してOKだったら食べる。その反対の近頃の、賞味期限改ざんは貧乏くさく、心意気がないよね。
大きな卵焼きを焼きました。卵は7個使って。
白いお皿にのせてアトリエに運びました。
3時間ぐらいジーと見ていたかと思うと、グォーといびきをかきながら寝ていること30分。急に起き上がったかと思うと、モーレツな勢いで描き始める。
そう「卵焼きになってる」のです。
その姿は、忘れられないな。素晴らしい姿でした。
卵焼きと他人の芝生
卵焼きというのは、家庭によって味が違う。甘い卵焼きを初めて食べたときは、カルチャーショックだった。世の中の卵焼きは、すべて出汁巻きだと、子供の頃は思っていたから。そうすると、今度は、いろんな所で甘い卵焼きに遭遇する機会が増えた。もちろん塩味の聞いた卵焼きにも。家の中での世界から、外へ出て少しづついろんな家庭があることを知る。自分の家の常識とお友達の家の常識が違うというのも驚きだ。子供の頃、いろいろな人がいるのに何故、わたしはここの家に生まれたのだろう?と小学生の頃に疑問に思った。「他人の芝は青く見える」という所なのだろう。しかし、大人になっても「他人の芝は青く見える」ということがあり、そう思う自分から抜け出すのに時間がかかった。今は、自分で気分によって甘くも、塩味の卵焼きも自在に作れるし、他人の芝も青く見えないのでとてもいい。心の殻は、自分では気がつき難く、また殻を破るのは簡単なことなのに難しい。だけど、そんなことがあるから生きていて面白いのかもしれない。