武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

風邪と甘い夢想(作品紹介75・色鉛筆)

2011-12-28 23:10:06 | Weblog

タイトル不明 色鉛筆作品

ヒロクニさんはまだ風邪を引いている。
熱は下がったが、まだ頭がはっきりしていない。こんな風に絵を描かない日が続くのは、初めてのことだ。
熱が出てうなされていたときは、アイスクリーム(なんと手作り!!)や水、粥を食べさせてあげていた。口もとまで何もかも運んで「優しく」を努力していた。それが、ヒロクニさんの「あんたは、気がきかない人だね」の言葉がわたしの心に刺さり、またまた、わたしの意地悪心を刺激した。
なんでも嫌だというヒロクニさんは、作ったものは、一口も食べられない状態なのだから、水分補給だけはしてもらわないと、水飲みで出来る限り水を飲ませた。「いやだ。いやだ」ばかり言う口に水を飲ますわたしは、拷問しているわけじゃないのに、極悪人。しかし、ヒロクニさんの寝顔を見ていると切ない気持ちにもなる。

子供の頃、風邪をひくと、熱のせいか頭がボゥ~として、母が冷たいタオルを代えてくれる瞬間とか、いつもと違う態度、つまり普段と違った優しさがヒタヒタとわたしのまわりで行ったり来たりする甘いムードを思いだす。そのムードのせいか、頭の中は楽しかった思い出、海に行ったときの砂浜や波の感触、父が蛸を捕らえた姿がおぼろげに思いだされたり、徳島での庭園での生活。沢蟹の群れや、大きなスイカ、線香花火のジジジ・・・という音。そして、青い空はわたしに「こんにちは」と言い、庭園は夢の庭とでも言いたいぐらいの安心感があったことを思いだす。熱とともにそれらの思い出に包まれる。

ヒロクニさんも、風邪を引いた時は、疎開先の夕日や母と歩いた夜道、島での月夜、祖母と過ごした縁側の様子や、いつも縁側にあった石、思い出をよく語る。急に中学の時に読んだ本のことを話出し、今やそんな本を読む人もいなくなって淋しいと言う。
その本は「サンドブーヴ」小林秀雄訳と「ラマルティーヌ」。
どちらもロマン派の人で詩人なのです。ヒロクニさんの中学生時代もなんだか謎めいているなぁ。

風邪の後半では、「もう僕は死ぬのかな?」と言われても
「文句いっているうちは、死なないから大丈夫」「本当に死ぬときは、ありがとうって人は言うものなの!!」
「死にません」。わたしは、インド人になった気持ちで「ノープロブレム」を繰り返すのであった。
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砂浜、昼の電球(作品紹介74・色鉛筆)

2011-12-20 23:47:22 | Weblog

タイトル「砂浜、昼の電球」
サイズ 23.3cm×29.7cm
素材 色鉛筆

この作品を描き上げて、2~3日すると、ヒロクニさんは風邪でぶっ倒れた。
熱は38度、その上、片側の耳が腫れあがってしまていて、ボロボロでヨレヨレである。疲労がたまっていたのだと思う。

しかし、風邪で倒れる前はスーパーマンかと思う程元気で、わたしは「少しは、休みなさいよ」等、声をかけていたのだけれど。朝早くから色鉛筆が紙を滑る音が聞こえ、食事をしたかと思うとすぐ制作に向かい、いつも気持ちは落ち着きなく、思考はあっちへ行ったり、こっちへ行ったりと、その気分をわたしに伝えてくれるが、脈絡がないので、わたしの頭はついていくことが出来ず、ショート状態。わたしは、本来生真面目な性格なので、理解しなくっちゃと思うがその努力もむなしく、途中から頭は我が道を行くことになる。
どこに行くかと言えば「塩野七生著・ローマ人の物語」の世界へ行くのです。頭は、古代ローマ帝国へ。

ヒロクニさんが、ぶっ倒れて寝ていると妙な静けさが漂い、変な静けさが訪れる。
猫達も静かになり、何か日常も休止したようである。


マッチの箱を枕にして寝るキタハマ。
ヒロクニさんの部屋でお休み。


ジルは外で、芝生の上にぶっ倒れて、伸びをして、コロコロ。
こいつは、我が道を行く天才で、人の心情に呼応するところがない。だけど、脳天気で無邪気な性格に癒される。

上記の色鉛筆作品に、エネルギーをつぎ込みすぎたのか?
絵は、青がすごく冴えていて、光がパッと詰まっている。眩しいという錯覚を覚える。

ヒロクニさんは電池が切れたような感じで、ただいま充電中です。
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新年の企画展<はじめ展>のご案内(東京)

2011-12-14 15:15:48 | Weblog

ギャラリー枝香庵での新年の企画展

新年の企画ということで、昨年の仁丹堂での1月の表紙絵を出品します。


題「入り江にて」
サイズ 29.5cm×21.5cm 額装マットにシルバー額
価格 60,000円
素材 クレヨンに色鉛筆

この絵につけられたポエムもあります。

■入り江にて■
夢を見た。
ここは静かな入り江の近く
かすかに移ろう輝く光の中で
空はゆうるりと虹色を変化させ
やさしい色の蒸気につつまれていく。

赤い恋人に
「花を探しに行こう」と言った。
流れる雲のように
「旅に出よう」と言った。

流れる雲のように 
小さな風が吹き
僕の生命は安らぎ
魂が静かに歓喜した。

そして、僕は故郷を思う。

この企画展は、
日時 2012年 1月4日(水)~1月11(水)日

時間 11:30~19:00(日曜、最終日は17:00まで)
場所 ギャラリー枝香庵
   〒104-0061
   東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング8F
   ℡ 050-3452-8627
  新年会 1月5日(木)17:30~

ギャラリー枝香庵のホームページ http://echo-ann.jp/

ヒロクニさんは、2月7日からのギャラリー枝香庵での個展の時は、上京します。
この度は、絵のみの上京です。


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2人で映画「ボッカチオ’70」を見る

2011-12-13 20:41:31 | Weblog
ボッカチオ'70 HDニューマスター版 [DVD]
クリエーター情報なし
エスピーオー


イタリアにはまっている。
読んでいる本は、「ローマ人の物語」著・塩野七生。文庫本なのだが、やっと30巻読破中。
絵画教室の授業は、テンペラ。イタリアルネッサンスの頃の絵の模写。
頭の中でリフレインする言葉は、「質実剛健」と「人は見たいと思う現実しか見ない」

最近知ったことは、「キリストは、褐色の肌(黄色人種)に黒い髪」であったという事。

どんな映画かは全く知らず「ボッカチオ」という単語がイタリアのパン「ホカッチャ」と似ていたことから、イタリアの古典劇かなぁ~とかりてしまった。監督の名前を見るとフェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ヴィットリオ・デ・シーカと知った巨匠達が勢揃い。よし、見てみようということに。

第一話「レンツォとルチア-ナ」
工場から人・人・人と昼休みに出てくる人の中の2人は、昼休みに結婚式を大急ぎで済ませるシーンから、若い恋人2人は不機嫌で、花嫁は用事をすませる如くせからしい。若い2人は、お金がないので共働きするしかないので、会社(結婚したら女性は仕事を辞職しなければならない規則がある)に内緒で結婚して、妻の実家で暮らすが、家族が多くて新婚生活どころではないのである。やたら女性は、夫にあれこれとうるさく言い、見ていても「あんたが黙れば、ちょっと落ち着くのだ」と言いたくなる。話しているのは、ほとんど妻で男性は頷いてばかり。
そんな事を思った時、急にわたしは顔が赤くなった。
「これって、わたしじゃないか・・・・」上気した顔がさらに熱くなった。
実はヒロクニさんとわたしの喧嘩は、いつもわたしが口うるさく言うのだ。
自分の姿を客観的に見ると恥ずかしい・・・・・。
しかし、映画の中の2人は、その会社を辞め、転職して、新居に移り、仕事の時間帯でのすれ違い生活をしながらでも、力をあわせて、やっぱり2人がいいね。と終わります。

第2話「アントニオ博士の誘惑」
これは、お堅い道徳に固まった老年のアントニオ博士が、豊満な女性(アニタ・エバーグ)を描いた看板を不謹慎だと抗議するが、誰にも相手にされず、看板を見続けているうちに、看板から出てきた巨大なアニタ・エバーグにもてあそばれる。
フェリーニをいまひとつ面白く思えなくなった自分は、いったいどうしたものであろうか?最近の謎です。「サテリコン」も見ましたが、なぜか気分が萎えたのです。

第3話「仕事中」
これは、ヴィスコンティならではの映画。家具調度品の素晴らしいこと。説明されなくても、貴族の話だとわかってしまう。もう、じ~と画面に出てくる置物や絵画、部屋を眺めているだけでも値打ちがある。貴族の夫婦の痴話喧嘩なのだけれど、やはり女性は怒っている。貴族というのは、暇なので余計に怒りっぽい。その上、召使がいるから怒ることに集中できるのですね。怒ったあげく女性は「仕事をする」と言い出すのですが、召使に「仕事は楽しい?」と問うとその返事を濁したので「楽しくないの?」と聞き返す始末。
ヒロクニさんは、映画でも女性が怒る場面に敏感で「よく怒る女だねぇ」「こわいねぇ」「なんで怒ってんだ?」とその事に集中している。「この女優だれ?」「ロミー・シュナイダー」と答える。すると「なんか、怖い」という。
「ロミー・シュナイダーにシャネルの服が似合うこと。見ているだけで、素敵な気分」と思っている横で「怖いよ。かあちゃん」みたいに言われると、げんなりした。「もうちょっと、贅沢を鑑賞しなさい!!」と、ヒロクニの旦那言いたくなった。

第4話「くじ引き」
くじ引きで、ソフィア・ローレンの肉体をなんとしても射止めようとするオトコ達の姿が滑稽な話。
イタリアだから笑い話になるのだと思う。日本人がこんな映画を作ることはまずないだろう。
ソフィア・ローレンがいなくては絶対だめ。ヒロクニさんはクスクス笑っていました。
そして、「ソフィア・ローレンっていいなぁ」と終わったあとに一言。

ヒロクニさんは「くじ引き」を楽しそうに見ていた。
わたしは「レンツォとルチア-ナ」と「仕事中」が好きですね。

男と女の揉め事を一歩ひいて、上空からながめると微笑ましい光景かもしれない。
自分で言うのもなんだが、ヒロクニさんとわたしも微笑ましい夫婦かもしれないなどと思うのでした。

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次の個展は、ギャラリー枝香庵 東京展2(作品紹介73)

2011-12-09 15:50:36 | Weblog

題:ヘッドホーンのオトコ
  色鉛筆作品(出品予定)

日時 2012年 2月7日~2月14日

時間 11:30~19:00(日曜、最終日は17:00まで)
場所 ギャラリー枝香庵
   〒104-0061
   東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング8F
   ℡ 050-3452-8627

ギャラリー枝香庵のホームページ http://echo-ann.jp/

2月7日からのギャラリー枝香庵での個展に向けて、新作を続々製作中!!
2010年の東京での個展は、ギャラリー枝香庵とギャラリーゴトウの同時開催で、毎日新聞の夕刊に絵を掲載していた「しあわせ食堂」が本になったのを記念しての原画展でした。色鉛筆作品は少しだけの展示でしたが、今回は、本来のタブローを中心に展示いたします。

今回は、新作の作品も多く並ぶ予定。
ヒロクニ画伯は、「作品も十分あるからゆっくりして臨んでいいと思うよ」と言っても、製作、製作と毎日慌しい様子。そして、「俺の一生は、個展かぁ。あ~疲れた」と言い、石油ストーブに石油を入れる度に「生活ちゅうのは、なんじゃ」とのたまい、「サホリ、今日の晩御飯は何?」と言い、寝る前に長い話をする。この長い話は、これからの製作の事や、読んでいる本の事なのだけれど、わたしは朝起きたら何をはなしていたのかさっぱり忘れているという始末。
毎日、この繰り返しの中で製作が進んでいる。
朝起きたら、ズーと独楽鼠のように、手先や、物を動かしたり、わたしの周りにウロウロして話しかけたりしてなんかせわしないのだ。

正月の元旦も「書初め」と称して、製作である。
ギャラリー枝香庵の2月7日からの個展では、そんなヒロクニさんの絵を見て「パワー充電」して元気になって下さいね。
来年の予定にメモをお願いします。




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