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今日は、アトリエからこんな作品を見つけました。
絵の裏に、「2015、くものあいだから」と書かれていました。
少し難解な作品かもしれませんが、
湿気た風がふうっと、首や頬のあたりを撫ぜるような感じがして、
いいなぁ~と思い紹介することにしました。
色鉛筆と6Bの鉛筆が、混ざりあい、紙も筆圧で伸され、
表面がなめしたようになっています。
昨日の夜から、どの絵にしようかなぁ~と、アトリエで絵を物色。
なんかコソ泥になったような気持ちで、コソコソと絵を見て、これにしようか?あれにしようか?と、
ヒロクニさんに悟られないように、行動してしまいます。
「これを上げようかな?」とか言うと、
「こんな絵をあげるな!こっちにしろ」。とか、
「その絵は、駄目だ!」とか、言われているうちに、時間が過ぎていく。
「これに、しろ!」と言われると、私には理解というか、ポイントすらつかめない、
作品だったりするので、困るのです。
たぶん普通の人は、「これなんじゃ?」となる作品。
実は、わたしも「これなんじゃ?」と思っていることも多い。
だから、その時、その時、私が見て、惹かれた作品をとりあげることにしています。
今回の絵は、海から流れてくる湿気を含んだ風のような感じがしたので、選んだのです。
決して、寒い風ではなく、生温かい台風がくる前のような・・・・。
ヒロクニさんの作品は、風が吹いているような絵が他にもたくさんあります。
「風」が付いたタイトルも多い。
ヒロクニさんが、感じていた風は、多くの時代の風もあるだろう。
幼少期の徳之島の風や、母親と蜜月が送れた九州の風、青春期(芸術家になろうと決意した日)の風の感じ方や、
油絵を描いていた時代、現代美術の頃(グループ位)、ロック喫茶を経営してロック三昧の日々、
色鉛筆を描き始めた頃、その途中から参加している(結婚して)わたし。
そう考えると、わたしというのは、ヒロクニさんの人生の後半部分の人という事になります。
ヒロクニさんは、昭和12年生まれですから、幼少は戦前、物心つく頃終戦の人であります。
そのことが良くわかる出来事があった。
わたしの絵画教室に来ている生徒さんの前で、急に「俺なんて、教育勅語」。
「家に帰って、自分の机をみると、教育勅語の本が真正面に置いてあってさぁ」。とか、
言い始めるのです。(両親が教員だったせいもあるのかな?と思いつつ聞いていますが・・・)
結構長く絵を描くので、お茶を飲んで休憩を取るのですが、ヒロクニさんも一緒に取るのです。
その時に言い始めたのです。
そうしたら、生徒さんが、「学校の歴史で習った」。と言う。
わたしは、「歴史に立ち会った人になっているなんて、化石か?」と冗談めかしていう。
ヒロクニさんは、忌々しい感じだ。
そこで、実際どのような教育が行なわれていたか聞いてみると、
教師と共に、「教育勅語」棒読みするらしい。
これを↓
(現代カナ使い文)
朕(ちん)惟(おも)フニ、我ガ皇祖(こうそ)皇宗(こうそう)、國ヲ肇(はじ)ムルコト宏遠(こうえん)ニ、
徳ヲ樹(た)ツルコト深厚(しんこう)ナリ。
我ガ臣民(しんみん)、克(よ)ク忠ニ克(よ)ク孝ニ、億兆(おくちょう)心ヲ一(いつ)ニシテ、
世々(よよ)厥(そ)ノ美ヲ済(な)セルハ、此(こ)レ我ガ國体ノ精華(せいか)ニシテ、教育ノ淵源(えんげん)、
亦(また)実ニ此(ここ)ニ存ス。
爾(なんじ)臣民、父母ニ孝(こう)ニ、兄弟(けいてい)ニ友(ゆう)ニ、夫婦相和(あいわ)シ、朋友(ほうゆう)相信ジ、
恭倹(きょうけん)己(おの)レヲ持(じ)シ、博愛衆(しゅう)ニ及ボシ、学ヲ修メ、業(ぎょう)ヲ習ヒ、以テ智能ヲ啓発シ、
徳器(とっき)ヲ成就(じょうじゅ)シ、進ンデ公益(こうえき)ヲ広メ、世務(せいむ)ヲ開キ、常ニ國憲ヲ重(おもん)ジ、國法ニ遵(したが)ヒ、一旦緩急(かんきゅう)アレバ、義勇公(こう)ニ奉(ほう)ジ、
以テ天壌(てんじょう)無窮(むきゅう)ノ皇運ヲ扶翼(ふよく)スベシ。
是(かく)ノ如(ごと)キハ、独(ひと)リ朕ガ忠良(ちゅうりょう)ノ臣民タルノミナラズ、
又以テ爾(なんじ)祖先ノ遺風(いふう)ヲ顕彰(けんしょう)スルニ足ラン。
斯(こ)ノ道ハ、実ニ我ガ皇祖皇宗ノ遺訓(いくん)ニシテ、子孫臣民ノ倶(とも)ニ遵守(じゅんしゅ)スベキ所、
之(これ)ヲ古今ニ通ジテ謬(あやま)ラズ、之(これ)ヲ中外(ちゅうがい)ニ施(ほどこ)シテ悖(もと)ラズ。
朕、爾臣民ト倶ニ拳々(けんけん)服膺(ふくよう)シテ咸(みな)其(その)徳(とく)ヲ一(いつ)ニセンコトヲ庶幾(こいねが)フ。
明治二十三年十月三十日
御名 御璽(ぎょめい ぎょじ)
以上。
小学生のヒロクニさんにとっては、上記の文章を暗唱するだけだったそうで、
意味も分からず、たいくつだったそうだ。
たいくつゆえ、とてもその時間は嫌いだったそう。
「今でも、教育勅語の内容はまったく知らない」という現状のようです。
もっと簡単に要約するとこういうこと↓
1.父母ニ孝ニ (親に孝養を尽くしましょう)
2.兄弟ニ友ニ (兄弟・姉妹は仲良くしましょう)
3.夫婦相和シ (夫婦は互いに分を守り仲睦まじくしましょう)
4.朋友相信シ (友だちはお互いに信じ合いましょう)
5.恭倹己レヲ持シ (自分の言動を慎みましょう)
6.博愛衆ニ及ホシ (広く全ての人に慈愛の手を差し伸べましょう)
7.学ヲ修メ業ヲ習ヒ (勉学に励み職業を身につけましょう)
8.以テ智能ヲ啓発シ (知識を養い才能を伸ばしましょう)
9.徳器ヲ成就シ (人格の向上に努めましょう)
10.進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ (広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
11.常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ (法令を守り国の秩序に遵いましょう)
12.一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ (国に危機が迫ったなら国のため力を尽くし、
それにより永遠の皇国を支えましょう)
という内容になります。
「夫婦は互いに分を守り仲睦まじくしましょう」これなんて、目下私が努力していることだ。
「兄弟・姉妹は仲良くしましょう」も、どうしても考えが合わないから言い争いになる妹がいて、
そのことで、父から、「お前はもっと心を広くもって、兄弟仲良くしろ」と説教をくらった。
ヒロクニさんに「知識を養い才能を伸ばしましょう、とも書いてあるよ」と言うと、
「それは素晴らしい」。「俺が、いつも言っていることだ。」と言う。
今は、教育勅語は、なくなったが普通に努力して、前向きに生きている人なら、
なんらかの形で実行しているのではないでしょうか?
12番目のところだけ、現在の私達からみると脳内が「軍国主義」ととらえてしまうことがあるとは、
思いますが、国が無くなったら・・・困るなぁ~と思うのでありました。
教育勅語の正反対の意味を考えてみると、とても面白い。↓
1.親に孝養をつくしてはいけません。家庭内暴力をどんどんしましょう。
2.兄弟・姉妹は仲良くしてはいけません。兄弟姉妹は他人の始まりです。
3.夫婦は仲良くしてはいけません。じゃんじゃん浮気しましょう。
4.友だちを信じて付き合ってはいけません。人を見たら泥棒と思いましょう。
5.自分の言動を慎しんではいけません。嘘でも何でも言った者勝ちです。
6.広く全ての人に愛の手をさしのべてはいけません。わが身が第一です。
7.職業を身につけてはいけません。いざとなれば生活保護があります。
8.知識を養い才能を伸ばしてはいけません。大事なのはゆとりです。
9.人格の向上につとめてはいけません。何をしても「個性」と言えば許されます。
10.社会のためになる仕事に励んではいけません。自分さえ良ければ良いのです。
11.法律や規則を守り社会の秩序に従ってはいけません。自由気ままが一番です。
12.勇気をもって国のため真心を尽くしてはいけません。国家は打倒するものです。
この度、ヒロクニさんの「俺なんて、教育勅語」。発言から、内容を調べていました。
以外な内容でした。
ヒロクニさんは、3回結婚した人だが、ヒロクニさんが病気(癌)の時、
「僕には、家族がきてくれない」。とごねだした時、来てもらったお嬢さんがいます。
ご夫婦で来てくださったようで、とても有難く、ヒロクニさんは安心した模様。
そして、帰っられてから「○子が、離婚などをせず、夫婦仲良くやっていっているのが、すごく嬉しい」。
「離婚なんて、悲しいからね・・」。と、嬉し涙をだらだら流れるように流して、「嬉しいよ」。と言う。
自分は離婚を2回もしたのに・・と思いつつ、聞いていましたが、
「夫婦仲良くしている娘さんの姿」に、涙を流して「嬉しい」と言うヒロクニさんの姿も、私には快い時間でした。
お嬢さんに、「嬉しいなぁ」と直接言ってあげればよかったのに・・。と思う。
せっかく来てくれたのに、愛想が悪い態度にでる、見栄っ張りな奴なのだ。
この出来事で、人は、知らないうちに「教育勅語」を願っていたり、実行していると思ったのでした。
「自分の言動を慎みましょう」これもわたしにとって重要です。
日本料理店の料理人の方に、「バーモンドカレー」なる単語を連発したことがあり、
興ざめな話題をしてしまったことが・・・。非常に失礼な話題だったかもと後悔していることがあります。
やはり「自分の言動を慎みましょう」という言葉を読んだとたん、その記憶が・・・。
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これは、夕顔の実です。
これが、かんぴょうの原材料なんですね。
この話は、次のブログで!