武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

アトリエにて

2009-01-31 22:20:40 | Weblog

油絵を描くヒロク二センセイ。着ているTシャツは、ヒロク二さんの絵からデザインしたもの。なかなかいいなぁと思っていろいろ作りました。可愛げのある骸骨を選んだのだけれどネ。


かなり大きいイーゼルも持っているのだけど、場所をとるだけであんまり役に立たないと言う。いつも板、仕事用の板を何枚か持っていて正座して描くのが常。描きかけている作品は、時に破り捨てられる。そして、時にわたしが拾う。わたしなりの基準があっていいなぁと思うものを。


アトリエでコチョコチョしているキタハマ。真中の写真の右上のところのいます。ヒロク二さんが一番好きで、わたしは二番目。ヒロク二さんのいうことは、よく聞く。制作中もいつも一緒。そして、瞳孔が開きやすい猫で、すぐ黒目が大きくなる。ヒロク二さんは、白いキタハマの口元に、マジックで色を塗ってしまい、ポップキタハマと呼んでいたことがあります。「あ~!変な猫が来た。」と二人で言い、キタハマの顔を見ながら「キタハマ・・・なんと惨めなキタハマ!!」とよくいいました。猫の模様というものは、味があって、白黒の度合いや、色の調子も飼い主には、愛着が湧くのだなと思いました。キタハマのお腹には、白い線が出来ていてそれも、キタハマの魅力なんです。あまりボヤ~としてなくて、どちらかというと賢く、いつもわたし達の行動を察知していて、抜け目のない奴です。女の猫ちゃんです。


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塩むすびの巻

2009-01-30 21:53:07 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内板)2007年12月25日(火)掲載のえ

薄っすらピンクの塩むすび。
手でしっかりと結ばれたおむすびは、エネルギーの根源。
オーラーが漂っています。

歌手の中尾ミエさんは、新潟県中越地震(04年)の被災地、旧山古志村の復興を支援する米作りのボランティアを昨年からしています。友人たちと田んぼに雑草とりに行った時、地元の方が作ってくれた「塩むすび」がなによりもおいしかったといいます。結び方は普通と違って、丸くてぺちゃんこ。ご飯の粒を壊さないように手ですくい、手に力を込めずに体全体でリズムをとるようにしながら結ぶと語ります。

塩むすびというのは、最近ローソンでも売っているのをこの度知りました。おむすびは、日本の最高のファーストフードだと思っている。ローソンにあるのは、道理にかなっていると感心いたしました。ヒロク二さんは、少食でこまぎれに食べる人なので、残ったご飯で、おむすびを作って、ラップに巻きお皿に積み好きなときに食べれるようにしていたこともある。(腹一杯では、絵は描けないそうです。)とても便利でした。作るおむすびにも流行があり、高菜とすりごまをいためたものを混ぜたのや、昆布の佃煮、葉唐辛子の佃煮、梅干し、鮭の身をほぐしたもの、焼きたらこ、チーズ等といろんなものを作っていました。チーズだけが、不評でしたが・・・。
わたしは、大正生まれの祖母から、子守唄とともに「米一粒につき、4合の水」の話を延々聞かされていたためか、お米をとても大切する癖がつき、子供の頃のお手伝いには、実施指導があり、米がきれいに釜からとれてないと、「ここは!」と指で指されて注意を受けるという教育を受けていた。祖母は夏になると、ご飯がちょっと臭ってきたものも食べてしまうので、「おばあちゃん、やめて!!」と子供心にそこまでしなくてもと思い、注意すると、反対にケンカになったのを思い出す。祖母は、異常に、米にうるさかった。

1990年8月24日のわたしの日記より

と、書かれている。祖母の言っていたことが気になっていたのか、書き記してある。後々、いろんな生活が押し寄せ、さらに、お米を大切にするようになった。ある方から、「米を大切にしている人手を挙げて」という質問に手を上げると、すごく褒められてしまったのですね。すばらしいと言われて。本当のところ、貧乏の賜物から徹底したわけで、少々恥ずかしかった。けれど、人間として素晴らしいことかもしれないと思い直し、豊かな人も、豊かでない人も、お米を大切にして欲しいなと思いました。飽食の時代、節約しながら、お米を残して捨てるという常態でない事を祈ります。ご心配なく、今は、そこまで貧乏ではありません。ある一時の貧乏生活にも感謝かもしれません。そこで、いろんな知恵を働かせたり、試行錯誤しました。結果として、たくさんのお友達、いろんな方に感謝しています。

翌日は、ケロッとしてノウテンキになり次のようなことを書いてます。
1990年8月25日のわたしの日記より

結婚したての頃で、嬉しかったのだろう。
左が夫で、右がわたし。のつもりなのだろう。
でも、かわいい絵だなと思う。無邪気で。
海で二人は、出会ったような絵(落書き)で不思議だ。


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八丁みその巻

2009-01-29 20:18:55 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内版)2007年2月13日(火)掲載のえ

具だくさんの八丁みそで作ったみそ汁。ご飯と一緒に頂きます。

歌手で、女優の今陽子さんは愛知県東海市の生まれ。だから、おみそは、名物の八丁みそでないとだめと語ります。子供のころは、豚肉、白菜、ニンジン、ごぼう、こんにゃくを一緒に煮込んだものを食べていたと言います。八丁みその濃厚なんだけれどマイルドな、甘さがとてもいい。40年の芸能生活でも大病したこともない。きっとみそは健康にいいんじゃない?と語ります。
今陽子さんは、スリーサイズは15年変わってないとも。この1~2年ですっかりサイズが変わってしまったわたしにとっては羨ましいかぎりです。サイズは7号→11号へすっととび。ちょっと前は、太りたいと思っていたのが嘘のよう。ベクトルの方向が180°変換してしまったようです。

この絵のみそ汁は、ヒロク二さんが1人で自ら作り絵を描きました。わたしは、病院にいて、主人が新聞を持ってきてくれた時に絵を見た。そして、我が家の台所を思い浮かべた。システムキッチンとは、ほど遠い築45年の台所は、昭和を感じさせる古い台所。こじんまりしているためか、なんか暖かい感じがする。いつも、この台所で、奮闘して料理を作ったり、急な来客に慌てて、酒のアテにピーマンを焼いて醤油をたらして食べる料理を出したり、パエリヤ、最近では手作り春巻き、といろいろこの台所で作った。なかなか料理をやる気にさせる台所なのです。ヒロク二さんが、必死になって作って、「八丁みそを描かねば。」と奮闘した姿が思い浮かぶ。そして、依頼の絵が、みそ汁で助かったと思いました。我が家の台所には、すいとんや、赤飯、質素がとても似合う。この連載では、戦後の食べ物も多く、我が家の台所によく合っているなと思っています。カミサマが采配してくださったのかと思うほど、マッチしているのです。

八丁みそは、牡蠣とも相性がよく、冬になって牡蠣鍋を作るのに欠かせない味噌になりました。白菜、しいたけ、豆腐、春菊(三つ葉もいい感じ)を濃い目に味噌で味付けしたもので煮ていきます。春菊と牡蠣は最後に入れます。卵を割り入れてもなかなかいけます。七味をふりかけて食べると、お酒とよく合います。
お試しあれ!!


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作品紹介12

2009-01-28 22:02:16 | Weblog

これは、ガラス絵。題は忘れたそうです。
35センチ×40センチぐらいの大きさだったと思う。
初めてこの絵を、見たときにとても感動した。色の詰め方に見入り、色彩の持つ高揚感があり、とても欲しくなった。仕事をしながら、1人暮らし独身の、わたしに取っては、とても高くて、買えないとあきらめた。その代わり、「5万円で小さな絵を描いてくれませんか?」とお願いしたのです。
絵が、なかなか出来上がらないので、催促の電話をしたりしていました。「まだ、出来上がりそうにありませんか?」と怖いもの知らずの私はわりと電話をかけた。「もしもし、いつごろ・・・。」と。あんまり遅いので、よく催促の電話をかけるうちに、「絵のことでお茶でも飲みませんか?」ということになり、フランチェスコ・クレメンテの画集を抱えてお話を伺った。「その画集貸してくれないか?」と言われれば、すぐ貸してあげた。そんな記憶が残っている。
今、思えば絵をなかなか描いてくれなかったのは、作戦だったのか?
結局、私は、5万円も払わずに、ヒロク二さんの絵に囲まれている。

このガラス絵は、売ってしまって手元にない。なんだか寂しい。3組の人物らしき男女が、ダンスを踊っている姿と、植物を連想させる形の構成が、とても気に入っていました。もっと画像を大きくして見て頂きたいのが本音です。細部を見るという楽しみもあって、とても好きな絵でした。

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我が家の食卓・マグリット風シャブシャブ

2009-01-27 22:21:15 | Weblog

冬のヒロク二さん。遠くを見ている。
冬が苦手な人だ。冬になると寂しがりやになりる。
夕食は、肉が食べたいというので、気分転換に、
ちょっと変わったシャブシャブにした。


向田邦子の手料理(講談社)の本の中で、左能典子さんが、向田さんとの、思い出の料理として「マグリット風シャブシャブ」のことを語られている。沸騰したお湯に、ポロッとニンニクが入っていて、牛肉を箸ではさんで、ひらひらさせて、ポンズでいただく、とてもシンプルな料理。
(野菜もおかずもいっさいなし。というのが向田流。わたしは、寂しい気持ちが、ホッとするようにという思いから、大根おろしと根菜の煮物と、あごだしでとった出し汁でネギと揚げをあっさりと煮た煮物をそえた。)

この中に、牛肉を入れて食べていきます。牛肉がとても美味しく感じました。
にんにくの匂いはしなくて、とてもおいしいシャブシャブでした。
シンプルで上品な味がとても気に入りました。
ヒロク二さんもおいしさに、びっくりしたようで嬉しい食卓になりました。

マグリットというのは、シュールな絵を描いたルネ・マグリットのことだろうと思います。灯火がついた夜の家になのに、空は昼間になっている絵や、建物の風景に無数の紳士が空中に浮いている絵を思い浮かべます。不思議空間によって見るものにある心理作用をもたらす画家です。
向田さんに呼ばれて、昼からシャブシャブを食べることになった左能典子さんの付けた「マグリット風シャブシャブ」というネーミングは、なかなか鋭いなと、こちらも唸ります。そんなシャブシャブを思いついた、向田さんはとても、粋な人。
試してみてください。お勧めです。

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鹿児島ラーメンの巻

2009-01-25 21:48:28 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内版)2009年1月20日(火)掲載のえ

どんぶりのはしに赤くへばりついて、
黒煙を噴きあげているのは、
桜島(活火山)でス。
小学校一年のときは、
鹿児島の大竜小学校でした。
          武内ヒロク二

歌手の森進一さんが母の思い出とともに、好きなラーメンについて語ります。森進一さんは、女手一つで三人の子供を育ている母親を助けたくて、牛乳や新聞を配達していたと言います。集団就職で大阪に出るときは、ラーメン屋さんで働いていたお母様が、少しだけ店を抜け出して、白い前掛けをはずして列車の線路脇で見送ってくれたと言います。白い前掛けをはずして大きく振りながら。その姿は、忘れられないと言います。その母が抜け出して来たラーメン屋さんは、「のぼる屋」さんというラーメン屋。鹿児島に行くと、必ず寄るそうです。まさしくおふくろさんの味のラーメンです。

のぼる屋さんのラーメンは、すっきりした青のどんぶりに盛られている。
ヒロク二さんは、アクリル絵具で、イメージを出すために、家のどんぶりのヘリに涼しげなブルーをぬり始めた。そんな考えもあったのかと、感心した。「アイデアだね。」とヒロク二センセイに言う。すると、「俺も生まれて初めてこんなことしてるよ。こんなことするとは、夢にも思わなかった。」と言う。普通の人だったら経験することがないような人生を歩んできている人でも、まだまだしていないことがあるんだと感心した。


下の写真は、そのどんぶりにラーメンを盛り付けて写真に撮りました。
具は、ネギ、チャーシュウ、豆もやし。豆もやしはサッと湯がいてあります。


ラーメンの出来上がり写真。
レシピ紹介。
グリコから「麺好亭」というラーメン麺とスープが売っています。麺の種類も選べるし、スープもいろいろあり選べる便利ものがあります。「のぼる屋」さんの麺は、太めということで、「平打ちめん」を選び、スープは、白濁しているということで「とんこつスープ」を選びました。チャーシュウは、お肉屋さんで手作りの焼き豚を購入しました。スープと麺が出来たら、刻んだネギをたっぷり入れて、焼き豚を入れ、豆もやしを豆の部分をそろえて入れました。
結構、美味しいラーメンでした。のぼる屋さんのイミテーションですが。
ラーメンは、手作りが難しい料理と思っています。

仕事台の上にのっている、出来上がりの絵。
真っ白だったはずの、仕事台は黒光りがして、年季が入っている。
歳月と、数々の作品を思い出す。

森進一さんのボーカルをしている長男は「お父さんは生活のために歌手になった。自分たちは音楽が好きでやっている。」というそうです。ヒロク二さんは、とにかく描くという行為を貫いているという感じ。随分、犠牲もはらっただろうと想像がつく。生活のためでもなさそうだし、好きには違いないけど、単純に好きで描いている風にも見えない。芸術家にならなければ、犯罪者にでもなってるのではと思うときがあります。何か、身体の中に燻ぶって燃えているものがあるのです。それは、才能か?と言いたいところだけれど、ヒロク二センセイ曰く、「才能は、努力しなけれは出てこない。描いてるうちに出くるもの、それを、すくいあげないといけないという。とにかく描く事。」といいます。
絵画に対する情熱は、そこらの若者には負けないというものを持っていることは、確かです。
わたしは、ヒロク二さんに今だ、振り回されていて、ついていけないときがあります。トホホ・・・・です。



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ハコフグのみそ焼きの巻

2009-01-24 22:57:08 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内板)2009年1月13日(火)掲載のえ

ハコフグどうだという、どうだ率%の高いハコフグのみそ焼き。目と口にこだわったとヒロク二さんは言います。ヒロク二センセイは反俗の人とか言われてるのですが、わたしは、反俗どうだと言うのは、そろそろやめませんか?と問いかけています。

俳優の久米明さんは、「すばらしい世界旅行」のナレーターと所属している劇団昴の公演が重なると、飛行機で東京と地方を行ったり来たりで綱渡りのような生活を長く送っていた頃、放送が終了。アサー・ミラー原作の「セールスマンの死」の公演で五島列島を訪れ、やっと主役の緊張感から解放され、そこで出会ったのが郷土料理の、ハコフグのみそ焼きです。ハコフグのお腹をくり抜いて、肝を取り出し(ハコフグのお腹は、ほとんど肝)刻んだネギと味噌を肝に混ぜ合わせ、今度は、ハコフグのお腹にもどしてオーブンで焼くという料理。食べると、乙な、フランス料理のように素晴らしかったと語ります。熱燗に最高に合うそうです。

今回も、なぞなぞようなものが来たという気分。ハコフグを食料として、流通させるのは禁止になっていることを知った。意地でも入手することができない。ハコフグの写真を見てヒロク二さんに解説。

写真を見て、絵を描くのは今回初めてです。
実物を見ないで描くというのは、ヒロク二さんは嫌だそうで、いつも作っていますが、ハコフグが入手できないので、ヒロク二さんは写真でトライした。
ハコフグのみそ焼きは、お腹を上にして、出されるので、ハコフグの写真を切りぬきすべて反対にして見る。(正面図の写真もあったのですが、写真を撮る前に捨てられてしまいました。)正面図、横面図、立体図を頭で組み立てるのは、得意ではない人だと思っていたが、それは的中した。数学的なことはすごく苦手な人。ヒロク二さんは、足し算的にものを考える人で、引き算の考え方が出来ない人であります。不思議なんですが・・・。「このヒレはここ、こっちのヒレがここに、背ビレは、両方から見える。」と小学生に教えるように説明した。正面図の写真のヒレが胴体に引っ付いていているのを見て「こっちにはヒレはないのか?」と言うので、「良く見て、胴体にくっついてるでしょ?あるのが解かる?」と言うと「そんなこともあるんだねぇ。」と感心したりする。粘土で模型でも作ることも思いついたが、彩色に時間が取られそうでやめようということになった。ハコフグの白い水玉のまわりは六角形の形をしていて、そんなことの方に目がいくみたい。不器用ながら、ハコフグの目と、口に感心をよせつつ一生懸命に描いていました。猫のキタハマが、ご飯を待ってるときの目つきは、ハコフグの目つきに似ていると言うので、二人で笑ったりしてました。キタハマは、ご飯の時は、すごく厳しい目をするのはホント。
今回は「サホリ~。見て。どうだ。」とアトリエに呼ばれました。ハコフグの顔に描かれた六角形が気になったが、それはよしと判断。それよりネギが描かれてなくて「あなた、ネギ、ネギ。」「ちょっと描き足して。少しでいいからっ。」と慌てて命令してしまった。「お、そうか。」と素直に、緑色のクレパスでネギを描き足しているヒロク二さんの姿は、かわいらしかった。素直というのは、いいネ。自分にもいい聞かせておかなくては。「だって・・・。」とか「そうじゃなくて・・・・。」とか口答えが多いわたしの姿を反省させられるほど、ヒロク二さんは、この度、素直でした。


ハコフグの帽子をかぶっている「さかなクン」の写真。
さかなクンが、連載に登場したときは、ヒロク二センセイは「タコのバター炒め」の絵を描きました。抽象的タコの絵。
ヒロク二さんは、さかなクンの笑顔をみると、勇気が出るらしく部屋に貼りつけてあります。何故かわたしの部屋に。

この度は、味見が出来なかったので残念です。
日本酒好きな、わたしにとっては、本当に残念でした。


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ヒロク二さんと猫のキタハマ

2009-01-21 22:39:42 | Weblog

ヒロク二さんの普段の顔。
ニコニコしていては、やはり絵は描けない。楽しみの多い絵を描くヒロク二センセイですが、制作、もしくは思考しているときは、こんな感じ。いい意味で悪人の顔していると思う。ヒロク二さんは、子供のように甘えん坊なところもあり、純粋な人でもあり、男でもあり、怒りん坊であり、おセンチなところもあり、怖い人にもなり、なによりも芸術家だ。そして、オステリーでもある。
わたしは、あまり掃除が好きでなく、食器の洗い物をよくしてくれるヒロク二さんのことを「アライグマ。」と呼び、食器洗い機の便利さを語る女性に対抗して、「おほほ、うちはアライグマをかってるの。スイッチ押さなくてもだいじょうぶなのよぉ~ん。いいでしょ。」とか、外でしゃべったりしてる。ヒロク二さんのことを変だというが、わたしも変な人なのかもしれない・・・。最近、ヒロク二さんとわたしの間だけで、交わされる言葉は「お互いさま!」どっちが使ってもしっくりくる。結婚20年目の二人のキーワードは、「お互いさま。」です。


怖い表情をするヒロク二さんですが、キタハマを抱くとニッコリ。見ているわたしも、微笑ましくなる。キタハマは、わたしに、「キタハマは、長靴欲しくないのですか?長靴買ってと言いなさい。」という言葉を何度も言われている間中、いつも不思議な顔をしている。長靴はいらないみたい。そして、ムッとする。シャルル・ペロー作の長靴をはいた猫の物語を知っている方は、わたしが、言わんとしていることが分かると思います。ご主人に長靴を買ってもらったとたん、猫が活躍してご主人様を王様する物語です。その物語を重ねて、キタハマに向かって言っているのです。キタハマをしかと顔が見えるように抱き、「長靴買ってと、言いなさい!!」ということがとても面白いのです。そして、猫が使った数々の悪知恵をゆかいに思い出しワクワクするのです。その本の中の猫は、ご主人様よりズーと魅力がある。「キタハマ、長靴は要りませんか?」と押し売りする。わたしにとっては、キタハマに長靴のことを語るのは、愉快なのです。きょうも無理かぁ。まあ、「明日あすがあるさ。」と思えるのがいいのです。

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作品紹介11

2009-01-20 22:47:54 | Weblog
「梅田のハミガキ女王」という色鉛筆の作品。
一枚の絵ですが、三枚の部分写真しか残っていません。想像であわせて見てください。



                
このころは、ミニアチュールな作風で細かく、ギッシリと画面を埋め尽くしている。虫眼鏡で作品を見るのも悪くない。書き込まれた文字には、1991、三月十一日とある。ハブラシを大阪、茶屋町のロフトでよく買いました。デザインや色の面白いものを「いいねぇ。」と心ときめくハブラシを求めて。一番上の写真に描かれているハブラシは、ドイツのものだと思います。そのころのロフトには、美術書の洋書がたくさんあり、珍しいものを時々購入した。もちろんたくさんの絵を見て帰りとても満足な二人でした。
ヒロク二さんは、ハブラシがとても好きで、コップに入れたハブラシと歯磨き粉の絵もある。力強いタッチだがとてもオシャレな絵。ヒロク二センセイのポップのモチーフとしてあるようだ。最近は、ちょっとこのモチーフは影をひそめてますが。

この絵は、翌年、1992年の海文堂ギャラリーでの個展で発表された。即決で、40万円でご婦人が気に入られて購入していった。すぐ手元から離れてしまったので、画面全体の写真をとる機会を逃してしまいました。ちょっと残念です。

玄関の前の土に、ハブラシの林があり、何時の間にそんなものを作ったのかと感心していた。土からハブラシが突き出ている。よく「なんでハブラシが植えてあるのですか?」と気がついた方から質問される。「わたしに聞かれてもわからないんです。主人に聞かないと・・・・。」といつも答える。造形教室をしていたころは、子供達に、「先生、ハブラシを、どうして埋めてるの?」と何回も聞かれた。子供は結構執拗に聞いてくる。松村先生じゃなくて、「パンジーに聞いて。」という。パンジーというのは、ヒロク二センセイのことで、教室にパンツ一丁で覗きにくるので、ついたあだ名。パンツ爺の略だそうです。子供達がつけたあだ名です。そういうと、一瞬静かになり納得して、たいてい理解する。あの人だったらやりかねないと子供でも判断するようです。子供の理解力に感心しました。ハブラシの林は今も健在です。
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おいなりさん

2009-01-16 20:35:08 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内版)2008年1月8日(火)掲載のえ

三つ並んだおいなりさん。どこへ行く?

俳優のイッセー尾形さんは、ひとり芝居を続けながら、「一挙にてっぺんまで登らなくていいんだ。またコツコツ登るべえ。」と小さな悟りを開いたときに、「小さくてもクリアにできるものがあればいいんだ。」と考え方がかわって、お客さんに余白を残して想像してもらうんだと、心に余裕ができた時、身近にあるおいなりさんの存在に気がつくことができたと語ります。また、地味だけど、おいしいし、食べると、うれしいおいなりさんみたいな芝居を目指しているとも語ります。

家では、時々「一口いなり」というのを買います。ちょっと小腹がすいたときに食べます。今回のおいなりさんは、そのいなり寿司を描いてもらいました。ヒロク二さんの食欲は、これもまた機嫌のように、食べたり、食べなかったりするのでとても悩ましいときがある。絵を描くのに、満腹では絵がかけないそうで、やや少食な人です。そう思っていると、今度は、「絵を描いてるから、腹がへってしかたがない、サホリ!」と言ってきたり・・・。その度、わたしは、「米を食べなさい。」と必ず言うのでした。また、ある時は、「腹がへっては戦はできぬ。米を食べなさい。」とかとも言う。急に困った顔で考えこんでるヒロク二さんを見ると、「さあ、とにかく食べてから考えようか?」と掛け声をかけるのでした。ご飯はパン食より腹持ちがいいので、いなり寿司をちょっこと買うのは、わたしの作戦なのです。わたしは、四六時中一緒にいるのだからいろいろ作戦を練らないといけない。ヒロク二さんは、絵を中心に生きてる人で、そちらの作戦を練るのに懸命で、わたしに対して作戦を練ったりしないのが、救いです。

巻き寿司といなり寿司を詰め合わせたものを「助六寿司」と呼ぶのは、歌舞伎十八番のひとつ、「助六所縁江戸桜」の主人公の名前だそうです。ずーと不思議だった。ある時、教養のある奥様から、助六の恋人が、揚巻という名前で、揚巻は油あげで、いなり寿司と連想され、助六はハチマキを頭に巻いている、つまり巻き寿司を連想されて、揚巻寿司ではなく、助六寿司となった由来は、江戸っ子の洒落らしいと伺いました。演目の中での二人は切っても切れない関係ということです。テレビで歌舞伎を見ていると、ちょうど助六と揚巻の二人が出ていて、助六寿司の由来のことを考えながら見ていました。ヒロク二さんが「心気臭いから、消してくれ。」と言ったので消した。「どうして、江戸文化とか、和のものが嫌いなのォ。やっぱり琉球文化の中の中国の文化圏の影響があるのよう、あなたは。そんなに、和の世界を受け入れないなんて。」と憤慨しつつ、ヒロク二さんイコール、西アジアの文化とむすびつけて、島々の交易のロマン説を確信したのでした。

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