池袋から五反田経由、池上線に乗り旗の台で乗り換え一駅大井町方面に行く。目的のお客さんのところに行って用件を済ます。そこで、昔の客のことをふと思い出し顔を出して見ることにした。果たして、今でもあるか?
あった。そこは小さな古びた居酒屋である。
辞めた営業の客を僕が引き継ぎ担当していたところだった。もうかれこれ7~8年? いや、それ以上かもしれない。
入り口も昔の面影はあるが、どこか寒々としている。
ドアに手をかける。……ん? 開かない。時計を見る。PM4時。……まだ来ていないのか? それとも、やっていないのか?
帰ろうとした僕の背中に、「だれ?」という声がぶつかってきた。
振り向いた。社長だ。というより、店主のおやじだ。2~3秒、僕の顔を見て「あー、どうも」と言って、中に迎え入れてくれた。
久しぶりだねー、という感動の言葉もない。表情のない顔が、店の現状を表していた。
「どう、おたくは? うちはもう店を閉めようかと思って。ぜんぜんダメだよ。ほんと、火の車だよ。すぐにも首をつりたい気分だよ」
かいまつまんだ話は、売上は、数年前からどんどん悪くなって、今はどん底。子供が三人いて、一人は今専門学校に行っている。あと二人は高校生。まだ金がかかる。あ~~、と唸っていた。
うちの会社も大ピンチ、社長も頑張ってよ、また来るから、と言って店をあとにした。
どこもかしこも……。中にはユニクロとか、いいところもあるらしいが……。
今日昼のランチは、大リストラ(40%の社員を切った)を敢行した会社の役員に会う。