女がけだるい声を上げた。「それより、あなたなんか用なの?」
……はっ、として重いまぶたを開ける。目は開いてたように思うが、どうやら眠っていたようだ。
今のは夢?
湯気がゆらゆらと立ち昇っている。
湯船の中にいた。風呂の蓋が目線と同じところにある。
このまま、ずり落ちると、、、、、どうなるのだろう? ブクブク……と溺れるのか?
蓋の上にある本が、わずかに濡れている。
タオルに包みながら注意深く気をつけていたのに……。
あー、なるほど先ほどのは、読みかけの小説の中の女の声だ。
ぽたっ、、、、。
ははーん、お前か!!!……と、見上げる。
ぽたっ、、、、。
今度は天井の雫が僕のおでこに!!! ぴちゃっ……。
本を濡らした犯人を検挙。