(2)
左足の向う脛、そして左足の甲を強打、同時に大きな音が静かな部屋中に響き一連の動作は終結した。僕は異様な格好で倒れていた。
痛みに顔をゆがめた。見ると、二か所が大きく腫れていた。異様だった。まさか、こんなになってるなんて想像もしてなかった。こんなになった自分の足を初めて見た。
赤と青と黒ずんだ内出血。どう対処したらいいか判らなかった。なんとなく、冷やすという行動が頭に浮かんだ。とにかく、一旦温めた足を今度は冷やす。十分くらいそれを続けた。それから足を拭き、改めてその部分を見た。ゲッ!!! ……、非常事態と感じた。どんどん腫れは広がっている。
しかし、あんなに大きな音がし たのに相方は起きては来ない。鼾が聞こえてる。
末恐ろしい気がした。もし、脳疾患だったら?
「朝起きたら倒れてたんです。前日疲れててぐっすり寝込んでしまって」と話している相方の姿が浮かんだ。
翌日これを相方に見せた。「どうしたの? 医者に行った方がいい」という。で、レントゲン撮った。骨折はセーフ。要するに打撲! ふと、オーディションのことが頭に浮かんだ。本番は来週。やばい、走るという動作があるCF。選考にまだ残っている。受かったらヤバイ! 受かれ! 落ちろ! 気持ちは半々!
The end.