上田慎一郎監督の劇場長編デビュー作だが、ほぼ無印だった。ところが、新宿K's cinemaと池袋シネマ・ロサの2館で始まった上映が、まるでゾンビのように、100館以上にまで増殖。TOHOシネマズの日比谷、日本橋、六本木などは軒並み満員で、自分たち夫婦も上野でやっと見ることができた。珍現象というか、もはや“異常事態”である。
ゾンビ番組の撮影中に本物のゾンビが現れ、スタッフやキャストを次々に襲い始めた。リアリティにこだわる監督は、その様子を撮るためにカメラを回し続ける。その結果、37分のノーカット番組「ONE OF THE DEAD」が出来上がったが、実は…。
いい映画の条件は、脚本がよくできていて話が面白いのが基本中の基本であるが、この映画は伏線の張り方が特にうまい。それに加えて、劇中スタッフの妙な熱気や、何かを作り上げる時の狂気に心が動かされる。この程度しか書けないのがもどかしい。
なぜなら、「この映画は二度はじまる」とキャッチコピーにある通り、ある意味、一度終わった後が、この映画の“面白さの本番”になるのだが、ネタバレになるので具体的には書けないのだ。
というわけで、ネタバレ禁止がかえって興味をそそり、自分の目で確かめたいという欲求を生んだ。そして見てみると噂に違わず面白い。という事が異常事態を生んだ最たる原因かとも思える。かくいう自分もその中の一人だった。情報過多が当たり前の今、逆に、言わないことが宣伝効果を発揮するというのも皮肉な話だ。
また、動画(映像)が手軽に撮れる時代の、動画慣れした若者たちにとっては、よくできた手本を見るように、身近に感じられたのではないか。一方、自分のような、映画好きの観客や映画関係者にとっては、映画製作の楽屋落ちを見るような面白さがあった。つまり、そのどちらをも取り込むことに成功したことも、大ヒットの要因の一つだろう。
こういう映画が大作と肩を並べて上映されるとは、何とも愉快。でも、こんな奇跡がいつ起きるとも限らないから映画作りはやめられないのかな、とも思った。
ゾンビ番組の撮影中に本物のゾンビが現れ、スタッフやキャストを次々に襲い始めた。リアリティにこだわる監督は、その様子を撮るためにカメラを回し続ける。その結果、37分のノーカット番組「ONE OF THE DEAD」が出来上がったが、実は…。
いい映画の条件は、脚本がよくできていて話が面白いのが基本中の基本であるが、この映画は伏線の張り方が特にうまい。それに加えて、劇中スタッフの妙な熱気や、何かを作り上げる時の狂気に心が動かされる。この程度しか書けないのがもどかしい。
なぜなら、「この映画は二度はじまる」とキャッチコピーにある通り、ある意味、一度終わった後が、この映画の“面白さの本番”になるのだが、ネタバレになるので具体的には書けないのだ。
というわけで、ネタバレ禁止がかえって興味をそそり、自分の目で確かめたいという欲求を生んだ。そして見てみると噂に違わず面白い。という事が異常事態を生んだ最たる原因かとも思える。かくいう自分もその中の一人だった。情報過多が当たり前の今、逆に、言わないことが宣伝効果を発揮するというのも皮肉な話だ。
また、動画(映像)が手軽に撮れる時代の、動画慣れした若者たちにとっては、よくできた手本を見るように、身近に感じられたのではないか。一方、自分のような、映画好きの観客や映画関係者にとっては、映画製作の楽屋落ちを見るような面白さがあった。つまり、そのどちらをも取り込むことに成功したことも、大ヒットの要因の一つだろう。
こういう映画が大作と肩を並べて上映されるとは、何とも愉快。でも、こんな奇跡がいつ起きるとも限らないから映画作りはやめられないのかな、とも思った。