田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ニール・サイモン脚本作その2『第2章』

2018-08-28 11:02:38 | 映画いろいろ

『第2章』(79)(1981.2.16.テアトル新宿.併映は『オール・ザット・ジャズ』)



 ニール・サイモンが、自身とマーシャ・メイソンとの再婚にまつわる話を基に書いたといわれる、お得意のハートウォーム・コメディだが、『グッバイガール』(77)には遠く及ばなかった。監督はロバート・ムーア。

 以前、『シンデレラ・リバティー』(73)でいい味を出したジェームズ・カーンとメイスンが再共演。カーンは珍しく渋い演技を見せ、メイスンはまたもいい女ぶりを発揮してはいるのだが、どうもカーンが演じたジョンの性格がいただけない。

 亡くなった先妻が忘れられず、精神不安定気味で、再婚したジェニー(メイスン)に当たり散らす始末。それならなぜあんなにしつこく電話してジェニーを自分のものにしたのか…。弱輩のオレには何とも理解し難い。

 まあ、それを必死に耐えるジェニーを描くことによって、彼女のいい女っぷりが一層引き立つと言えないこともないのだが…。ラストも『グッバイガール』のように、楽しい気分で見終われるという域には達していない。あれ?と思っているうちに終わってしまった感じがした。しかし、アメリカの中年は若いですなあ。40を過ぎてこれだけの恋愛ができるのだから、などと妙なところで感心させられた。

【今の一言】と、生意気にも二十歳そこそこの若い自分は書いている…。この映画の夫婦の年を越えてしまった今の自分から見れば隔世の感がある。

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ニール・サイモン脚本作その1『グッバイガール』

2018-08-28 10:40:36 | 映画いろいろ

 劇作家、脚本家のニール・サイモンが亡くなった。作劇やセリフのうまさはウディ・アレン、パロディのしつこさはメル・ブルックスに共通するところがあると思ったら、3人ともユダヤ系だった。サイモンが大好きな三谷幸喜が、旗揚げした劇団名を、サイモンの代表作にちなんで「(東京)サンシャイン・ボーイズ」と付けたのは有名な話だ。

 サイモンが脚本を書いた映画に関するメモがいつくか残っていた。

『グッバイガール』(77)(1980.4.15.三軒茶屋映画.併映は『新・明日に向って撃て!』)



 マンハッタンを舞台に、貧乏役者(リチャード・ドレイファス)と子連れのダンサー(マーシャ・メイスン)が結ばれるまでをコメディ・タッチで描く。監督はハーバート・ロス。

 ドレイファスとメイスンが出色の演技を見せる。会話劇と言ってもいいぐらい2人の会話がストーリーの中心になっている。娘役の子役(クイン・カミングス)も憎らしいほどうまくて、2人に花を添える。とにかく、笑わせてくれたり、ほのぼのとさせてくれたり、ホロっとさせてくれたりと、ただの湿っぽい恋愛映画になっていないところがいい。

 「昨日のことは忘れてほしいの」「だめだよ。もう日記に書いちゃったもん」。これは2人が初めて一夜を共にした翌朝のセリフだが、これに代表されるように、ニール・サイモンの脚本がとにかく素晴らしいのだ。

 音楽も、デビッド・ゲイツが歌うテーマ曲を、デーブ・グルーシンがうまくアレンジして効果的に使っている。今問題になっている日本車のセールス場面が傑作だった。

 テーマ曲が絶妙なタイミングで流れるラストシーン。40年たった今でも大好きな映画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=A1pIlm8ybWA

 

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