スティーブ・マックィーンが、西部開拓時代の末期に勇名をはせた実在のガンマン、トム・ホーンを演じた西部劇をシネフィルWOWOWで再見。特集「“男が惚れる男” スティーヴ・マックィーン」の一環とのこと。
この映画はトムの武勇伝はいっさい描かず、ワイオミングの牧場主コーブル(リチャード・ファンズワース)に雇われ、牛泥棒退治を始めたトムの姿を描く。だが、彼を煙たく思った他の牧場主たちの工作によって、少年殺しの罪を着せられ、最後は絞首刑にされるという何とも暗い話になっている。
公開時は、撮影中、すでにがんに侵されていたというマックィーンのやつれた姿を見せられたばかりでなく、時代に取り残され、全てを失うトムの寂しい心情が、何だかマックィーン自身のそれとも重なる気がして、見終わってつらさしか残らなかった。従って、自分の中では長い間“封印”してきた映画だった。当時は、少しは明るい『ハンター』(80)が遺作になって多少は救われたと思ったものだ。
ところが、久しぶりに見てみたら、思いのほか悪くないと感じた。それはマックィーンの存在が、もはや生々しいものではなくなってしまったからなのだろう。また『ハンター』を陽、この『トム・ホーン』を陰とすると、どちらも当時のマックィーンの等身大の投影だったのか、という気もしてきた。
ファンズワースをはじめ、ビリー・グリーン・ブッシュ、スリム・ピケンズ、エリシャ・クック、ジェフリー・ルイスといった脇役たちの姿も懐かしかった。
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