実はオーソドックスなスリラー
郊外の一軒家で暮らすクロエ(キーラ・アレン)は、生まれつき慢性の病気があり、車いすでの生活を余儀なくされていたが、好奇心旺盛な彼女は地元の大学への進学を望み、自立しようとしていた。
ある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母親ダイアン(サラ・ポールソン)に不信感を抱き始める。そして、ダイアンが自分に毒薬を飲ませようとしたことを知って、家からの脱出を試みるが…。
全編がパソコンの画面上で展開するという新機軸で描いた『search/サーチ』(18)のアニーシュ・チャガンティ監督が、母の娘へのゆがんだ愛情の暴走を描いたサイコスリラー。新人女優のアレンは実際に車いすで生活しているという。
今回は、前作とは逆に、パソコンが全く使えない状況下で話が進む。そうしたかせがある分、前作よりもさらにヒッチコックのタッチをほうふつとさせるところがあるし、スティーブン・キングの『ミザリー』の影響も感じられる。
つまり、前作同様、一見新しく見えるが、実はオーソドックスなスリラーの手法で描いているのだ。
ダイアンのように、子どもに病気を作り、かいがいしく面倒をみることによって自らの心の安定をはかる人のことを「代理ミュンヒハウゼン症候群」と言うらしい。怖い…。
『search/サーチ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2457a3650c480c7da7e8665abfe9c5c4