田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『返校 言葉が消えた日』

2021-06-27 08:11:17 | 新作映画を見てみた

ホラーの形を借りて迫害事件を告発

 1962年。国民党による独裁政権下の台湾では、市民に相互監視と密告が強要されていた。ある日、翠華高校の女子生徒ファン・レイシン(ワン・ジン)が、放課後の教室で目覚めると、校内には誰もいなかった。校内をさまよったファンは、読書を禁じられた本をひそかに書き写す読書会のメンバーのウェイ・ジョンティン(ツォン・ジンファ)と遭遇する。2人は学校からの脱出を試みるが、どうしても外に出ることができない。

 監督のジョン・スーは、この映画がデビュー作。ホラーの形を借りて、暗黒の白色テロ時代の政府による迫害事件を告発しているが、基はゲームだという。読書会の存在を当局に密告した者を明かしていく、謎解きミステリーの要素もあるが、こういう題材がゲームとして成立することに驚かされた。個人的には、韓国映画にはどうもなじめないが、台湾映画にはなぜか親和感を覚える。

 禁書、密告、裏切りをテーマとした、レイ・ブラッドベリの原作をフランソワ・トリュフォー監督が映画化した『華氏451』(66)のことを思い出した。

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ランドルフ・スコット

2021-06-27 00:01:17 | 俺の映画友だち

 オンラインでの西部劇映画のトークに参加した。この日のテーマは、ランドルフ・スコット。

 スコットは紛れもない西部劇の大スターなのだが、リアルタイムではない自分にとっては、作品の質もそうだが、ちょっとなよなよした感じがして、正直なところあまり魅力が感じられない。(ファンの皆さんごめんなさい)。

 『外国映画男優名鑑』(09)で彼のことを書いたときに、いろいろと調べたら、西部劇専門になる前は、二枚目俳優としてゲーリー・クーパーと比較され、『風と共に去りぬ』(39)では、原作者のマーガレット・ミッチェルが、アシュレー役に彼を推薦したという。もし、レスリー・ハワードではなく、スコットがアシュレーを演じていたら、その後の彼の俳優人生は、大きく変わっていたのだろうか、と考えると興味深いものがある。

 さて、あまり見ていないが、ランドルフ・スコット出演作の私的ベストファイブは

『西部魂』(41)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fb396f6aa251249b7bf2af5d30331bcc

『サンタフェ』(51)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/23205acdce60a59b84e78eb0556acc23

『捨身の一撃』(55)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2352f713846f9f84c9c3f489d1dd76b8

『七人の無頼漢』(56)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9fde112e6ba333f26ad912459f1a3581

『昼下りの決斗』(62)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f14113d05f80fedff0458bb913cae3f8

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