変幻自在の脚本とマリガンの怪演
明るい未来を約束された(原題)医学生だったキャシー(キャリー・マリガン)は、友人のレイプ事件によって未来を奪われ、事件の当事者たちへの復讐を企てる。
監督・脚本は、これがデビュー作となったエメラルド・フェネル。アカデミー賞の脚本賞を受賞したことからも分かるように、前半はシュールなブラックコメディ、中盤はラブロマンス、後半はサイコミステリーと、変幻自在の展開を見せる。その中で、時にはかわいく、時には哀れを誘い、時にはグロテスクに映るなど、さまざまな顔を披露するマリガンの怪演が目を引く。
また、復讐の前段として、キャシーが、女性を性欲のはけ口としか思わない男たちに色仕掛けで近づき、制裁を加えるさまが描かれるが、これを見ながら、同じく、女であることを武器にした復讐劇である山本周五郎の『五辨の椿』のことを思い出した。
女性の立場を主張する映画をプロデュースしているマーゴット・ロビーが、この映画の製作者としても名を連ねているのを見て、なるほどと思った。
【インタビュー】『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』マーゴット・ロビー
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f68d6feefe67190181d776737a86431c
【付記】『狩人の夜』(55)のロバート・ミッチャムがちらっと映る。これは、キャシーもハンターだということなのか?