田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

追悼リチャード・ドナー『サンフランシスコ物語』

2021-07-08 15:37:04 | 映画いろいろ

『サンフランシスコ物語』(82)(1987.5.3.)

 自殺に失敗して歩行困難になったローリー(ジョン・サベージ)が、身障者が集まるバーでの出会いを通して、生きることに目覚めていく姿を描く。

 こうした身障者を扱った映画は、描き方にも見方にも難しいところがある。単に同情的に描くだけではバランスを欠くし、中途半端なものになってしまう。また、うわべだけの同情故に、お涙頂戴的なところで終わってしまうこともある。

 その点、この映画は、身障者である主人公の恋人(ダイアナ・スカーウィッド)を通して、健常者が身障者と対した時の戸惑いを率直に描いてはいるのだが、少々甘く爽やか過ぎるのでは、と感じるのも否めない。

 実際、あんなすてきなバーがあれば、身障者に限らずたむろしたくなるだろうし、心の支えにもなるだろう。だから、それはそれでとても美しい光景ではあるし、ベトナム戦争が与えた傷も描いているのだが、もう一押し足らない感じがする。

 監督のリチャード・ドナーは、『オーメン』(76)『スーパーマン』(78)、最近の『グーニーズ』(85)など、SFや冒険物の監督というイメージが強いせいか、この手のドラマには合わなかったのでは…という気もする。

 もともと、この映画のようなハートウォーミング物は、派手な見せ場がなかったり、現実に近い分、うその世界をいかに本当らしく見せるか、あるいは人間ドラマに深みがあるかが勝負の分かれ目であり、簡単そうに見えて、実は作るのが難しいという言い方もできる。

 だから、見る方の目も、ついつい厳しいものになり、実は好きな映画なのに、素直にそうとは言えないもどかしさを感じることになる。

 そんなこの映画の中で、ひときわ輝いていたのがダイアナ・スカーウィッド。最近では珍しい庶民的な魅力があるのだが、それでいて時々ドキッとするような美しさも感じさせる。

 と、リチャード・ドナーの力量に疑問を呈しながら、テレビで久しぶりに『スーパーマン』を再見したら、冒頭部のクラーク・ケント=スーパーマンの少年時代の描き方に、アメリカの原風景を見るような温かさを感じて、実は人間ドラマもきちんと描ける人だということを再確認させられてしまった。

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追悼リチャード・ドナー『グーニーズ』『マーヴェリック』

2021-07-08 12:42:14 | 映画いろいろ

『グーニーズ』(85)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2ee1e614ffb39774b2e5b291e91ce5bd

『マーヴェリック』(94)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b88b8b5b76901ffc5e75f8af921d6595

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追悼リチャード・ドナー『リーサル・ウェポン』シリーズ

2021-07-08 11:07:51 | 映画いろいろ

噂された「5」の監督はならなかったか…。

『リーサル・ウェポン』(87)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ee650689eb8bff65364d1d0df31e4da7

『リーサル・ウェポン2 炎の約束』(89)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5ec3f1438653fa6712daa9cf5474b22e

『リーサル・ウェポン3』(92)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/76502cdb60b0d734b7b5e30fe5fde0b5

『リーサル・ウェポン4』(98)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/610f1171aad777940393260c4959dc1e

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追悼リチャード・ドナー『オーメン』『スーパーマン』

2021-07-08 10:47:10 | 映画いろいろ

 リチャード・ドナー監督が91歳で亡くなった。彼の映画はほぼリアルタイムで見、しかも好きなものが多い。“過去メモ”と執筆記事で振り返って、自分なりに追悼してみようと思う。

『オーメン』(76)(1977.6.10.銀座文化)

 乱造されたオカルト映画の中では、『エクソシスト』(73)と並ぶ最高峰。ストーリー的には『エクソシスト』よりも上と見た。グレゴリー・ペックは渋みが増して演技に重厚さが出ていた。悪魔の子ダミアン役のハーベイ・ステファンスは、見た目がかわいらしい分、余計怖さを感じさせる。

『スーパーマン』(78)(1979.12.28.蒲田パレス座.併映は『エイリアン』)

空を自由に飛ぶという、人類の夢を満喫させてくれる、実に楽しいSF映画。

“三層構造”の『スーパーマン』(2006.8.21.)

 『スーパーマン リターンズ』の公開に合わせて1978年製作の『スーパーマン』がテレビで放映された。ジョン・ウィリアムスのテーマ曲をバックにしたオープニングに心が躍る。

 この映画は“三層構造”で、冒頭のクリプトン星での政争は重々しく演劇風に(今回はこのシークエンスがごっそりカットされていた)。スーパーマンの少年時代は牧歌的に(クラーク・ケント役のジェフ・イーストと養父母役のグレン・フォードとフィリス・サクスターが好演する、このシークエンスが結構いい。ここまでが序章)。そして活躍編にはコミカルなところもあって楽しめる(CGではない特撮にも味がある)。

 惜しむらくはスーパーマン=クラーク・ケント役の好漢クリストファー・リーブの落馬事故と早世。実は元祖テレビドラマ版の主役ジョージ・リーブスも謎の死を遂げており、この役はあまり縁起がよくないのだが、今回のブランドン・ラウスの未来はいかに…。

『スーパーマン リターンズ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b3f80ed98701e78523bfe2379b339f30

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「BSシネマ」『慕情』

2021-07-08 07:30:55 | ブラウン管の映画館

『慕情』(55)

「ランナウェイ方式」の一作
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0a3e83aae689a4a939a548cd10823223

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【ほぼ週刊映画コラム】『ブラック・ウィドウ』

2021-07-08 07:17:22 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
スカーレット・ヨハンソンの決着のつけ方を見る
『ブラック・ウィドウ』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1282073

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