田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「立川談志 71歳の反逆児」

2021-10-13 21:49:43 | 落語

 2007年に放送されたNHKドキュメンタリー「立川談志 71歳の反逆児」を再見。老いや病と闘いながら死を意識する談志。自分がその年により近づいたせいか、以前見たときよりも身につまされた。この人の不幸は、優れた表現者でありながら、同時に優れた評論家、分析家でもあったところだろう。

2005.10.25.
 ブックオフで見つけた『談志ひとり会 文句と御託』(講談社刊)を読み始める。独演会のパンフレットに書かれた“文句と御託”を集めたもの。まとめて読むと時代の流れが感じられてなかなか面白い。その「談志ひとり会」には、落語好きの友人たちと連れ立って3度顔を出した。

1988.11. 9.国立劇場.第19回.「天災」「富久」

 先日(10.23.)の紀伊國屋ホールに続いてまたも落語である。周りに落語好きがいると、こっちも嫌いじゃないから、つい「じゃあご一緒に」ということになる。先日は名人会ということで、いろいろなタイプの噺家に触れることができたのだが、今回は独演会、しかも相手はくせ者の談志ということで、正直言って、あまり気乗りがしなかった。

 ところが、噺を聴いているうちに、普段は偏屈で理屈っぽい印象のある談志から、客に対する旺盛なサービス精神や照れ性故の突っ張り、といった別の一面を見せられた。そして、落語を愛するあまりにはまってしまった奈落から、必死に抜け出す道を模索している姿を垣間見た気がして、人柄や芸風は、うわべだけでは分からないと、改めて思わされた次第。

1991. 5.13.国立劇場.第49回.「金玉医者」「源平盛衰記」

 一昨年以来の「談志ひとり会」。今回は、テレビでの問題発言の直後だけに、聞き苦しいところもあったが、良く言えば、こういう反骨精神や突っ張りが、この人を支えているのだろう。ただ、ポーズとして、随分無理をしているところもあるのだろうと感じさせられるところもあった。

 ところで、談志の『源平盛衰記』を聴きながら、林家三平の『源平盛衰記』を思い出した。今となってはあれがすごい芸だったと分かるのだが、当時はそれが分からなかった。三平の落語もこんなふうに聴いてみたかったと思う。

1994.12.16.第92回.朝日ホール.『風呂敷』『三軒長屋』

 「暮れだから、きっと『芝浜』演るよ」と、談志贔屓の友人からの誘いを受けて、3度目の「談志ひとり会」へ。今回は過去2回の国立演芸場ではなく、キャパが倍のマリオンの朝日ホールということで、その分力が入るか、と大いに期待していた。

 ところが、いかにも談志らしく、「『芝浜』やんないよ」とはぐらかして演った「風呂敷」「三軒長屋」は、どちらもあまり上出来とは言えないもので、それは本人が一番分かっているはずで、改めて、これだから生はつらいよなあと思わされた。

 それとともに、こういうハナから出し物が決まっていない、流れに任せたものに出くわすと、自分の落語に関する知識のなさが露呈されてじれったくなる。噺は知っていても演題がすぐにでてこないのである。

 だから、前座の志らくが演った「お若伊之助」などは、今になってあんちょこで調べてやっと合点がいく始末。これだから、落語についてとやかく言う資格は自分にはないのかもしれないと思う。桂文楽じゃないが、「勉強し直してまいります」というところだ。

【今の一言】素の談志師匠とは、一度だけ五反田の眼鏡屋で顔を合わせたことがあった。

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『映画の森』「2021年8月の映画」転載

2021-10-13 18:06:48 | 映画の森

「KyodoWeekly」8月16日号から「映画の森」2021年8月の映画」共同通信のニュースサイトに転載。

 

https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2021-10-13_3641199/

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『映画の森』「2021年7月の映画」転載

2021-10-13 17:42:23 | 映画の森

「KyodoWeekly」7月26日号から「映画の森」2021年7月の映画」共同通信のニュースサイトに転載。

https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2021-09-08_3633258/

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『犬神家の一族』4K修復版

2021-10-13 14:11:28 | 映画いろいろ

 角川映画45周年記念企画として「角川映画祭」が11月19日から開催される。それに先駆けて、角川映画の第一作『犬神家の一族』(76)の4K修復版を試写。この映画を最初に見た時からもう45年もたったのか、という思いがこみ上げ、しかも場所が学生時代にアルバイトをしていたイマジカ(旧東洋現像所)だっただけに、感慨もひとしおだった。

 さて、今回の修復版だが、もともとがくすんだ色調の映画だけに、4Kで色鮮やかに…という感じではないが、明暗と音が格段によくなっている気がした。

 金田一を演じた石坂浩二は公開時のパンフレットに「金田一耕助はギリシャ神話の中に出てくるコロスなのです。中央で展開される破局へと突っ走る悲劇を、悩み悲しみながらも最後まで見届けるコロス。舞台の中央へは登場することのないコロス。金田一耕助はコロスだといえると思うのです」と書いている。

 確かに、金田一は最後に謎解きはするが、名探偵と言われる割には殺人を全く阻止できないという妙なキャラクターなのだが、見終わった後は、もの悲しさや金田一の温かさが心に残るのは何故なのだろう。

 それは、市川崑の語り口のうまさや映像美、そして単純な探偵推理物では終わらせまいとする奥行きの広さにあると思われる。それが、救いや哀感のある見事なラストシーンによって、全てをチャラにしてしまうという、このシリーズの共通の流れにもつながるのだと改めて感じた。

 さて、45年前、自分は15歳だったが、当時のスタッフ、キャストの年齢は、

 横溝正史74、原泉71、小沢栄太郎67、高峰三枝子58、三國連太郎53、三木のり平52、大滝秀治51、三條美紀48、金田龍之介48、加藤武47、小林昭二46、岸田今日子46、三谷昇44、草笛光子43、石坂浩二35、寺田稔35、地井武男34、角川春樹34、辻萬長32、川口恒31、あおい輝彦28、川口晶26、島田陽子23、坂口良子21、佳那晃子(大関優子)20

 ネガ編集・南とめ66、監督・市川崑61、脚本・日高真也55、美術・阿久根厳51、撮影・長谷川清45、音楽・大野雄二35、脚本・長田紀生34
 
 中には、もう亡くなった人も多い。今回、島田陽子はこんなにきれいだったのか、坂口良子はこんなにかわいかったのか、などと思ったのは、自分が年を取ったからなのか。南さんを東洋現像所の食堂で何度かお見かけしたのも、今となってはいい思い出だ。

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「BSシネマ」『鉄道員(ぽっぽや)』

2021-10-13 07:22:11 | ブラウン管の映画館

『鉄道員(ぽっぽや)』(99)

『鉄道員』と『鉄道員(ぽっぽや)』(『文化の泉』から)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1e8a14dc67b6c07d926f90a12773ede5

健さんが亡くなった…。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d2a9bbb95c7861495f281d4d5e68e53e 

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