『アイス・ロード』(2021.10.25.GAGA試写室)
カナダのダイヤモンド鉱山で爆発事故が起こり、作業員26人が地下に閉じ込められた。事故現場に充満したガスを抜くための巨大な救出装置を運ぶため、トラックドライバーが集められる。
メンバーは、ベテランドライバーのマイク・マッキャン(リーアム・ニーソン)と戦場で傷つき失語症となったが、整備士としてはすご腕の弟ガーディ(マーカス・トーマス)、伝説のドライバー、ジム・ゴールデンロッド(ローレンス・フィッシュバーン)と元部下で先住民の血を引くタントゥー(アンバー・ミッドサンダー)、そして保険会社から派遣されたトム・バルネイ(ベンジャミン・ウォーカー)。
鉱山への最短ルートは、厚さ80センチの氷の道「アイス・ロード」で、スピードが速過ぎればその衝撃で、遅過ぎれば重量で、氷が割れて水中に沈んでしまう。
地下の酸素が尽きる30時間以内に装置を届けるべく、危険な氷の道を命がけでトラックを走らせる彼らだったが、爆発事故の裏にはある陰謀が隠されていた。
『フライト・ゲーム』(14)では飛行機、『トレイン・ミッション』(18)では通勤電車を舞台に大活躍を見せたニーソンが、今度は巨大トラックで…、と聞いただけで面白くなりそうな予感がした。
で、爆発事故の発生から、救出装置を運ぶトラックドライバーが集まり、アイス・ロードに向かうまでは快調で、期待が高まった。ところが、危険な氷上から鉱山までの行程をたっぷり見せてくれるのかと思いきや、残念ながら、途中から陰謀絡みの話に転化して失速する。
監督・脚本のジョナサン・ヘンズリーは、危険な輸送を描いた『恐怖の報酬』(53・77)と障害者が出てくる『二十日鼠と人間』(39・92)を意識したらしいが、本来はB級映画のノリで作るべきものを、自身が脚本を書いた『ダイハード3』(95)『ザ・ロック』(96)『アルマゲドン』(98)などと同じような、大作のノリで作ってしてしまった点がまずかったのではないかと思う。ジャウマ・コレット=セラのように、もっとシンプルにすればよかったのだ。
また、さすがにニーソンにも疲れが見えた気がしたが、ほとんどCGを使わずに撮られたという、氷上の景観は素晴らしかった。
『フライト・ゲーム』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/557f1afd12f18e2c892dbc3c4dbd416a
『トレイン・ミッション』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/59dc2cd81a7576341554166a64a460e3