今回のお題は『黄色いリボン』(49)
初めて見たのは、1975年3月14日のゴールデン洋画劇場。ジョン・フォードに限らず、騎兵隊ものは、西部劇というよりも戦争映画のような感じがしてちょっと苦手だと思った。
ところが、いつの間にか、ジョン・ウェイン=デュークが演じるネイサン・ブリトリスと同年齢になり、若い頃とは別の感慨が湧いてきた。これは、デュークを父親的な役割にした、騎兵隊というコミュニティを舞台にしたホームドラマなのだと。
フォードは「レミントンの絵の再現を狙った」と語っているが、とにかくウイントン・C・ホッチのカラー撮影が見事。特に雷のシーンは素晴らしい。
老け役のデュークが、亡き妻の墓前に語りかけるシーンは、『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)でシルベスター・スタローン、『人生の特等席』(12)でクリント・イーストウッドもやっていた。
脇役では少佐夫人のミルドレット・ナトウィックが目立つ。フリント中尉役のジョン・エイガーは『アパッチ砦』に出ていたシャーリー・テンプルの元夫。
この映画は、『アパッチ砦』(48・1986年9月13日.ビデオ)『リオ・グランデの砦』(50・1975年10月25日.土曜映画劇場)と併せて、「騎兵隊三部作」といわれるが、3本は全く別の映画。
これは、ジョン・スタージェスの決闘三部作(『OK牧場の決斗』(57)『ゴーストタウンの決斗』(58)『ガンヒルの決斗』(59))同様、日本で勝手に付けたものかと思ったら、アメリカでも「カバリー・トリロジー」と言われているらしい。
デュークの役名は『アパッチ砦』と『リオ・グランデの砦』は、続き物ではないのにカービー・ヨーク。ビクター・マクラグレンとベン・ジョンソンは、この映画に続いて『リオ・グランデの砦』でもクインキャノンとタイリーだ。
これは、小津安二郎が『晩春』(49)『麦秋』(51)『東京物語』(53)と、原節子の役名を紀子にした(「紀子三部作」)のと同じような感じなのか。フォードも小津も、単に面倒くさがり屋だったから、という説もあるらしいが…。
“騎兵隊三部作”上映会
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