田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『いつも心に太陽を』

2022-01-08 22:27:03 | 映画いろいろ

『いつも心に太陽を』(67)(1987.5.22.日曜洋画劇場)

 就職難に悩む通信技師のサッカレー(シドニー・ポワチエ)は教師の口を見付け、ロンドンの下町にある中等学校に着任する。だが、そこの生徒は、さまざまな問題を抱える不良ばかりだった。

 この映画が作られた当時は、ブラックパワーと呼ばれる運動が盛んになり始めた頃。それ故、急進的な黒人たちの間では、ポワチエが映画で演じるキャラクターに反発を抱く人々も多かったという。

 確かに、この映画も『野のユリ』(63)『招かれざる客』(67)『夜の大捜査線』(67)も、彼が演じた役柄は、白人から見た理想の黒人像と言えるのかもしれない。

 とはいえ、今のように、映画や音楽の世界の第一線で黒人たちが活躍する、先駆け的な役割をポワチエが果たしたことは間違いない。その点では、もっと評価されるべきだと思う。

 また、この映画に関しては、ポワチエが不良生徒を演じて認められた『暴力教室』(55)の逆パターンとして見ても面白いし、主人公のキャラクターと彼が苦労して歩んできた道のりが重なるところもあり、素直に感動させられる。ルルが歌った主題歌も名曲だ。

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シドニー・ポワチエ逝く

2022-01-08 20:32:07 | 映画いろいろ

 『野のユリ』(63)で黒人初のアカデミー主演男優賞を受賞した、黒人スターのパイオニア、シドニー・ポワチエが亡くなった。大好きな俳優の一人だった。とにかくかっこいい人だった。

『手錠のまゝの脱獄』(58)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7d336209125b1a41b3b0e13c64f7130b

『野のユリ』(63)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/49a2f25fb39f29909a8f80c6fb02761a

『いのちの紐』(65)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d561b53ace1c3254712fdd855b57dda5

『招かれざる客』(67)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b576406d1b4d70083813ca88a945dddf

『夜の大捜査線』(67)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/138348e8b5036bd07798705b11d26e21

『続・夜の大捜査線』(70)『夜の大捜査線/霧のストレンジャー』(71)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fab845efe8aeed4d8f6286e41a0d887a

『スニーカーズ』(93)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/953c3304c071471ae8eb2a1ab0e8dc5a

 

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『ハウス・オブ・グッチ』

2022-01-08 07:15:18 | 新作映画を見てみた

『ハウス・オブ・グッチ』(2022.1.7.東宝東和試写室)

 実話を基に、大手ファッションブランド、グッチ一族の崩壊の様子を描く。監督はリドリー・スコット。

 労働者階級の家で育ったパトリツィア(レディ・ガガ)は、グッチ家の御曹司でありながら弁護士志望のマウリツィオ(アダム・ドライバー)と知り合い結婚する。

 だがパトリツィアは、次第に一族の権力争いに参入し始め、グッチ全体を支配しようとする。やがて2人の結婚生活は破綻し、マウリツィオに裏切られたパトリツィアはある決断をする。

 マウリツィオの父をジェレミー・アイアンズ、伯父をアル・パチーノ、従兄をジャレット・レトというくせ者揃いの配役が目を引く。

 また、イタリアの一族が舞台で、パチーノが出ているせいもあるが、身内同士の醜い権力争いの様子などは、まるで小規模な『ゴッドファーザー』を見ているような気分になる。

 とはいえ、彼らが繰り広げる争いはどこか滑稽で喜劇的なところがある(ガガ=パトリツィアがエリザベス・テイラーに似ているだって…)。そして彼らが不幸になればなるほど、どこかでざまあみろと思って見ている自分がいる。まさに「他人の不幸は蜜の味」状態だ。

 ただ、この2時間40分のドロドロ話を飽きずに見させるスコットの腕前はやはりたいしたもの。先の『最後の決闘裁判』もそうだが、80を過ぎてこれだけの映画が撮れることに驚く。

 で、これも『最後の決闘裁判』に続いて、またもやドライバーの怪演が見られる。ガガやアイアンズ、パチーノ、レトとのデフォルメされた掛け合いは、まるで妖怪同士のようにも見えるから楽しい。

 時代背景が70年代後期から始まるので、「オン・ザ・レディオ」「アイ・フィール・ラブ」(ドナ・サマー)「ハート・オブ・グラス」(ブロンディ)「フェイス」(ジョージ・マイケル)など、懐メロがふんだんに流れる。

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