『いつも心に太陽を』(67)(1987.5.22.日曜洋画劇場)
就職難に悩む通信技師のサッカレー(シドニー・ポワチエ)は教師の口を見付け、ロンドンの下町にある中等学校に着任する。だが、そこの生徒は、さまざまな問題を抱える不良ばかりだった。
この映画が作られた当時は、ブラックパワーと呼ばれる運動が盛んになり始めた頃。それ故、急進的な黒人たちの間では、ポワチエが映画で演じるキャラクターに反発を抱く人々も多かったという。
確かに、この映画も『野のユリ』(63)も『招かれざる客』(67)も『夜の大捜査線』(67)も、彼が演じた役柄は、白人から見た理想の黒人像と言えるのかもしれない。
とはいえ、今のように、映画や音楽の世界の第一線で黒人たちが活躍する、先駆け的な役割をポワチエが果たしたことは間違いない。その点では、もっと評価されるべきだと思う。
また、この映画に関しては、ポワチエが不良生徒を演じて認められた『暴力教室』(55)の逆パターンとして見ても面白いし、主人公のキャラクターと彼が苦労して歩んできた道のりが重なるところもあり、素直に感動させられる。ルルが歌った主題歌も名曲だ。