『成吉思汗の秘密』(角川文庫)
(2005.1.24.)
大河ドラマ『義経』を初めて見た。前年の『新選組!』に比べると、良くも悪くも昔からの大河に戻った感じがする。で、見終わった後に、何だか高木彬光の『成吉思汗の秘密』が久々に読みたくなって一気に読破。
いわゆる義経=成吉思汗説を小説という形で表した歴史ロマンで、荒唐無稽な話だが何度読んでも面白い。名探偵・神津恭介ものにはその後も『邪馬台国の秘密』や『古代天皇の秘密』がある。
どれもアカデミズムから見れば異端なのだろうが、所詮、歴史の真実など誰にも分からないのだから、こういう壮大な歴史ロマンがあってもいいのだ。余談だが、我が贔屓作家の一人、海渡英祐はこの『成吉思汗の秘密』執筆の助手を務め、“海渡”というペンネームは義経渡海伝説から付けたのだという。
『七福神殺人事件』(角川文庫)
(2006.1.12.)
“七福神巡り”で思い出したのが高木彬光の『七福神殺人事件』。死体の上に谷中七福神の朱印が置かれる奇怪な連続殺人が描かれる。
推理小説は土地勘があるかどうかで読み応えが変わる。描写されている地を思い浮かべながら読む楽しみが増えるからだ。読み直してみると高木彬光は実際に東京周辺の七福神巡りを網羅したのではないかと思える。またこの小説は神津恭介が解いた最後の事件でもある。