『かがみの孤城』(2022.12.25.オンライン試写)
辻村深月の同名ベストセラー小説を、原恵一監督が劇場アニメ化。脚本は丸尾みほ。
中学1年生のこころ(声:當真あみ)は、クラスメートからのいじめによって学校に行けなくなり、部屋に閉じこもる日々を送っていた。
そんなある日、部屋の鏡が突然不思議な光を放ち始める。こころが鏡の中に吸い込まれるように入っていくと、そこはおとぎ話に出てくる城のような建物の中で、6人の見知らぬ中学生がいた。
そこへオオカミの面をかぶった少女「オオカミさま」(声:芦田愛菜)が現れ、7人は選ばれた存在であること、そして城のどこかに秘密の鍵が一つだけ隠されており、見つけた者はどんな願いでもかなえてもらえると話す。
集められた7人は、一人を除いて、何らかの理由で不登校となった中学生たち。だから、見る前は、自分よりも年上の原監督が、果たして今の中学生である彼らの心情に寄り添えるのか、描けるのか、という疑問があった。
ところが、この映画を見ながら、こうしたいじめは、遥か昔の自分の中学生時代にも目にした(止められなかった)。つまり普遍的なものなのだと改めて気付かされた。そしてラストの謎解きで、その意はさらに強まった。そうか、これは根源的な問題を描いているのだから、年齢や世代はあまり関係ないのだと。
もちろん、ファンタジーだから、設定やストーリー展開に「ん?」というところはあるのだが、謎解きミステリーとして見てもなかなか面白い。
また、“扉”や“時”が重要な役割を果たす新海誠監督の『すずめの戸締まり』との共通性にも興味深いものがあった。
モチーフはグリム兄弟の『狼と七匹の子ヤギ』にあるのだろうが、ラストでは、『時をかける少女』や、小山ゆうの『チェンジ』という漫画のことを思い出した。