田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

広島、岡山、倉敷

2022-12-21 22:06:14 | 雄二旅日記

 妻の実家がある広島に行ったついでに、岡山に立ち寄り、改装なった岡山城を見学した。この地に最初に城を定めたのは、戦国大名の宇喜多直家で、本格的に築城したのは息子の秀家。だが、関ヶ原の戦いで敗れた秀家は八丈島に流罪となり、代わりに城に入ったのが、関ヶ原で西軍を裏切った小早川秀秋だったのは皮肉だ。秀秋の死後は、池田氏が代々引き継いだのだという。

 城の外観は立派になったが、いささか近代化し過ぎた感がある。城内も博物館のようになっていたので、ちょっと興ざめした。


 
 その後、倉敷のアイビースクエアで一泊。この辺りは美観地区と呼ばれ、古い蔵や家が建ち並ぶ。『るろうに剣心』(12)など、映画やドラマのロケ地としても有名だ。ちょうど大原美術館の休館日に当たり残念無念。

 アイビースクエアは、最近、どこかで見たと思ったら、「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ15 尾道・倉敷殺人ルート」(98)という2時間ドラマの再放送でだった。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e5e6f2006842b4e2f0954a4f3e89a9c9

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『レジェンド&バタフライ』

2022-12-21 11:12:37 | 新作映画を見てみた

『レジェンド&バタフライ』(2022.12.13.丸の内TOEI) 

 「尾張の大うつけ」と呼ばれる織田信長(木村拓哉)は、敵対する隣国・美濃の斎藤道三(北大路欣也)の娘の濃姫(綾瀬はるか)と政略結婚する。

 信長は濃姫を尊大な態度で迎えるが、勝ち気な濃姫も臆さず信長に対抗。互いを出し抜いて寝首をかこうとする日々が続いた。

 そんな中、尾張に駿府の今川義元の大軍が攻め込んでくる。圧倒的な戦力差に、信長は絶望しかけるが、濃姫の言葉に励まされ、2人は共に戦術を練って奇跡的な勝利を収める。いつしか強い絆で結ばれるようになった信長と濃姫は、天下統一に向かって共に歩み始めるが…。

 東映70周年記念作で上映時間は168分。「るろうに剣心」シリーズの大友啓史が監督し、古沢良太が脚本を手掛けた。

 新解釈といえば聞こえはいいが、あまりに遊びが過ぎて、全てが軽い印象を受ける。結局、コミカルなものにしたいのか、それともシリアスなものにしたいのかが定まっていないから、どっちつかずの中途半端なものになるのは必定。

 しかも、3時間近くをかけながら、信長の心の変化の過程が描き切れていないから、ただの支離滅裂な男に見えてしまう。それもあって、今回も“何をやってもキムタク”から脱し切れていない。

 対する綾瀬の濃姫はなかなか頑張っていた。残された史料が少ない分、彼女の場合は想像の余地があるから、こちらの方が自由度が高く、キャラクターとしても面白くできるのだろう。

 よく、ドラマなどで、本能寺の変の際になぎなたを振るって信長と共に戦って討ち死にする場面があるが、あれは創作。今回は本能寺に濃姫はいなかったが、“夢落ち”を持ってきたところには、思わず失笑させられた。

 帰り際に、「これが70周年記念作ですか…」「何か違いませんか」と話し合っていた年配者とすれ違った。確かに、自分も、大いなる勘違い映画だと感じたから、それを聞いて、我が意を得たりと思った。

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『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』

2022-12-21 08:54:11 | 新作映画を見てみた

『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』(2022.12.12.ソニー・ピクチャーズ試写室)

 美しく力強い歌声で世界中を魅了したアメリカの人気歌手ホイットニー・ヒューストンの半生を、ヒットソングとともに描いた伝記映画。

 脚本は、クイーンを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』(18)のアンソニー・マッカーテン、監督はケイシー・レモンズ。ナオミ・アッキーがホイットニーを演じ、彼女を見いだした音楽プロデューサーのクライブ・デイビスをスタンリー・トゥッチが演じている。

 アッキーは熱演しているが、さすがに歌はほとんどホイットニー本人のものを使用している。悪く言えば口パクだが、誰にもまねができないホイットニーの歌声を、中途半端にアッキーが再現するよりも、こちらの方がいい。むしろ潔さを感じる。

 ただ、デビューアルバム『ホイットニー・ヒューストン=そよ風の贈りもの』(85)の衝撃、その後の栄光と凋落のほか、これまでタブーとされてきたホイットニーの性癖や両親との確執、ボビー・ブラウンとの結婚生活などが赤裸々に語られるが、これは『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーと同じパターンなので、“二匹目のドジョウ”を狙ったような感じがした。

 興味深かったのは、デイビスの曲選びのセンスとアレンジの良さだ。例えば、「セイヴィング・オール・マイ・ラヴ・フォー・ユー=すべてをあなたに」はマリリン・マックー、「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」はジョージ・ベンソン、「オールウェイズ・ラヴ・ユー」はドリー・パートンのカバーになる。オリジナルは、それぞれ名曲だがいささか地味。それらを発掘し、ホイットニー用に派手にアレンジして大ヒット曲としたのだから。

 それにしても、マイケル・ジャクソンといい、プリンスといい、このホイットニーといい、天性の才能に恵まれた黒人歌手たちの人生が、なぜこうも悲劇的になるのかと思わずにはいられない。

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