『嘘八百 なにわ夢の陣』(2022.12.27.オンライン試写)
空回りばかりしている古美術商の小池則夫(中井貴一)と、うだつの上がらない陶芸家の野田佐輔(佐々木蔵之介)に、豊臣秀吉の出世を後押ししたといわれる7つの縁起もの「秀吉七品」の中でも、唯一所在が不明だった茶碗「鳳凰」絡みの仕事が舞い込む。
その「鳳凰」をめぐって、開催間近の大阪秀吉博や、TAIKOHを名乗るカリスマ波動アーティスト(安田章大)、彼の側近の謎の美女(中村ゆり)などが、だまし合いを繰り広げる。
「嘘八百」シリーズの第3作。『嘘八百』(18)の千利休、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)の古田織部に続いて、今回は秀吉の茶器ときた。
監督・武正晴、脚本・今井雅子と足立紳という、一作目から変わらぬスタッフが手掛けているので、シリーズとしての安定感がある。これまで、中井はコメディには不向きというか、無理をして演じている感があったのだが、今回はなかなかいい味を出していた。
先日、岡山城を訪れた際に、関西方面での“太閤贔屓”の様子を改めて知らされたが、この映画の根底にもそれが感じられた。まさに「露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」 。