『地下鉄(メトロ)に乗って』(2006.4.26.GAGA試写室)
地下鉄に乗って平成から昭和にタイムスリップした男(堤真一)が、若き日の父親(大沢たかお)と出会い、家族の秘密、本当の父の姿を知る。
地下鉄を媒介にした一種のタイムスリップもので、出だしの昭和39年=東京オリンピックの時代へのタイムスリップは、一瞬「おー」と思わせるものの、後が続かない。
というか、主人公が巻き込まれるタイムスリップにつじつまが合わな過ぎるし、演出にタメが多すぎて疲れてしまう。浅田次郎の原作は未読なので、これが原作のせいなのかどうかは定かでないのだが、せめて1時間半ぐらいに絞るべきだったのではと感じた。
また、最近の日本映画は無理に泣かせようとする手口に走りすぎて興ざめさせられることが多いのだが、この映画もそんな感じだ。
地下鉄を発端としたタイムスリップというか、時間を超越した親子ものとしては、大林宣彦の『異人たちとの夏』(88)(まああちらは幽霊噺ではあるが)の方がずっといい。