田中雄二の「映画の王様」

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『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』

2023-07-14 21:52:02 | 新作映画を見てみた

『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』(2023.6.15.日本シネアーツ試写室)

 フランス映画界で革新的なヌーベルバーグを先導したジャン・リュック・ゴダール。本作は、2022年9月13日に91歳で自らこの世を去る直前、第79回ベネチア国際映画祭のノンフィクション・クラシック部門で上映されたドキュメンタリー。

 監督・編集は、ドキュメンタリーの編集を数多く手掛けてきたフランスの映画監督シリル・ルティ。『勝手にしやがれ』(60)『女と男のいる舗道』(62)『気狂いピエロ』(65)『彼女について私が知っている二、三の事柄』(67)『中国女』(67)に始まり、「ジガ・ヴェルトフ集団」時代を経て、商業映画に復帰した『パッション』(82)『ゴダールのマリア』(85)『ゴダールの探偵』(85)…。そして『ゴダールの映画史』(88~98)まで、数々の作品が登場する。

 家族や友人、元パートナー、アンナ・カリーナ、マリナ・ブラディ、マーシャ・メリル、ジュリー・デルピー、ナタリー・バイ、ハンナ・シグラといった関わりのあった女優たち、映画監督や批評家らによる新たな証言まで、貴重な映像で構成されている。

 実は、遥か昔の学生時代から、ゴダールの映画は苦手だった。その理由の一つは、観念的で分かりずらいところ。もう一つは、あまりにも観客を無視しているのではないかと感じさせられるところだった。

 今回は、何か新たな発見があり、自分がゴダールを見直すきっかけになればと思って見たのだが、ある意味、映画に取りつかれた、自我の強い頑固者だったというのはよく分かったが、自分の中のゴダールへの思いが変化することはなかった(ちゃんと睡魔にも襲われたし…)。

 ただ、ゴダールを知らない若い世代には、この映画がガイドブック的なものになるのかもしれないとは思った。終映後に、熱く拍手をしている人がいたが、なるほど“ゴダール信者”は今も健在なんだと改めて感じさせられた。


ジャン・リュック・ゴダールの映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/46ab0cba1fc014bc38c125a72f7dd661


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