鹿児島を舞台に、戦争の傷を背負いながら静かに生きる夫婦の姿を描く。監督・脚本は降旗康男。
妻の知子(田中裕子)と小さな港町で養殖業を営む山岡(高倉健)に、ある日、特攻隊の仲間だった藤枝(井川比佐志)の訃報が届く。これをきっかけに、山岡は、かつて特攻隊員たちから慕われていた食堂の女主人(奈良岡朋子)の頼みを引き受ける。それは山岡たちの上官だった金山少尉・本名キム・ソンジェ(小澤征悦)の遺品を故郷の韓国へ届けるというものだった。
この映画の発端は、『鉄道員(ぽっぽや)』(99)のスタッフたちに、「今見るべき映画」として、初めて健さんが自ら映画化を持ち掛けたことだったという。健さんは、特攻隊の生き残りである漁師を演じ、主人公と妻の生き方を通して昭和という時代を振り返った。健さんがハモニカを吹く珍しいシーンもある。
『鉄道員(ぽっぽや)』とこの映画は、健さんとスタッフたちが、長年映画作りの現場で培ってきたものの集大成と呼べるような作品となった。
“これぞ高倉健”というイメージを作り上げた降旗康男
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