一枚のハガキから
夕方、布団の中で暖かくしてタブレット端末を見ていると、携帯電話がなった。
故郷の小学校、中学校の同級生のご主人からだった。
友とは、高校や大学と進路は違ったが、卒業後同じ学校教育現場で働く者として悩み事等を話した。
同じように父親を早く亡くして、未亡人の母親の老後の事や、お互いに完治の難しい脳の病気になってからは、
家の事情や子供の事等も素直に相談して励ましあった。
友は、家付き娘だったのに、職場で知り会った男性と周囲の反対を押し切って、恋愛結婚をした。
結婚後は、手広く商売を営む夫の家で、多くの家族たちと同居して身を粉にして働いた。
嫁いびりで評判だった舅、姑の介護も自宅でずっと頑張って来た。
私が訪ねた時には、二人ともオムツをしていた。
その義父母も六年程前に相次いで亡くなったらしい。
ご主人は仕事や介護疲れで睡眠不足だったらしく早朝仕入れの途中に大きな交通事故を起こして、入院していた。
私がお邪魔した時には、店頭にゴザを敷いて店番をしていた。
(おそらく、頑固なご主人の父親、母親が自分たちがオムツをしていても未だ家を仕切っていて商売や店のことに口出しをしてゆっくり出来なかったのだろうと思う。)
その異様な光景に驚くと共に、休業とか廃業とか選択肢は他に無いのかと、疑問に思った事も忘れられない。
数年前、私が友に電話した時には、「主人が心臓病で入院している。」と言っていた。
その時には、カテーテルでバルーンを挿入する手術を受けたようだ。
今日も私に、Г僕は来週ペースメーカーを挿入する手術を受ける。入院期間は二週間です。」と言っていた。
友の実家は妹さんが継いだ。
私は彼女たち姉妹の身の上話を聞くと何時も涙が溢れ出る。
そして自分は何て恵まれているのだろうと反省させられる。
妹さんは職場結婚したご主人が婿養子に入ってくれて一安心したのも束の間、脳に障害のある子供さんが誕生。
ご主人は若くしてクモ膜下出血で急逝。家には年老いたお母さんと妹さんと子供。
また田んぼを耕す人がいなくなって、幼なじみの同級生が田んぼが隣同士と言う事で耕運機で耕してくれたと嬉しそうに話してくれた。
お母さんは介護施設で療養中と聞いていたが、昨年亡くなったらしい。
障害のある子供さんも作業所で働いているそうだ。
ご主人からの突然の電話にГもしや……」と悪い知らせを連想する私に、
彼女は今も難病で療養中と話が続いた。
現在は、もうほとんど話す事も出来ずに、病院が経営する施設に入居しているそうだ。
先日高熱が出て施設から病院に入院することになったので入院用品を整えようと、
施設のベッドの枕元を整理したら引き出しに私と幼なじみのスミレさん(仮名)のハガキが大切にしまってあったので、
電話番号の記入してある私に電話をしたとのこと。
Г寂しい時や、泣きたい時には何時でも電話していいよ!!」と書いたハガキ。
大切に取って置いてくれたのだと思う。
彼女はもう話すことも難しくて、一言二言何か言っていると言う感じ‥とのこと。
でも大脳は凄くハッキリしているから、聞く事は出来る!
妻の今の様子をスミレさんにも知らせて欲しいとのこと。
本人の考えは、聞くよしもありません。
私は調子が悪い時には家族以外会いたくありません。
入院中は孫たちにもГ院内感染が恐ろしいから来ては駄目。」と言っています。
スミレさんには直ぐ電話をしました。
ハガキも書きます。
生きていると毎日色々なことがありますね…