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定年退職した夫は「粗大ゴミ」や「濡れ落葉」と呼ばれてひさしい。夫を卑下したようなこんな呼称はいったいいつから始まったのか。発生源は妻側であることに間違いはない。「亭主元気で留守がいい」の延長線上なのだろう。
濡れ落ち葉の本当の姿を紹介しよう。季節は秋、虫の声に劣らないこの季節を表現するものに落葉がある。近所の散歩道にも積もり始めカサコソという心地よい枯葉のささやきが聞こえる。
その落葉も1度雨に濡れるとタップリと水気を含み道に張り付く。雨が上がり道は白く乾いても水気を含んで積もった落葉は確かに濡れ落葉の表現そのままに、少しも動こうとはしない。うかつに踏むと滑って足をとられる。日当たりの悪い箇所はいつまでも続く。
山の中にあってはその保水力で樹木を育て、人の命を守る水を流し続けている。夫の姿もこれに似ている。保水力のような夫の力が社会を築き育て、家族を養うことを苦とせずに定年まで働き続けさせたのだ。
退職した夫を粗末にするといつか濡れ落ち葉で滑って痛い目にあうだろう。16日に日本の政治は「友愛」に変わる。勤め上げた夫への考えをチェンジするいいタイミングだ。妻族も夫族もいいネーミングを見つけよう。
日本で退職した夫を卑下して呼ぶ家庭は一握りと信じる。
(写真:この枯葉にも秘めたる力はある)