2022年02月07日 毎日新聞「はがき随筆」」掲載
コロナで亡くなる人は、身内の誰にも会えず、気の毒に一人で旅立ちをされると聞く。
母の末期を思い出した。入院の日、付き添い一人が許されたが、面会謝絶の赤い札がドアに掛けられ何日かが過ぎた。1日3本の点滴が2本、そして1本になった日「会わせたい方があればどうぞ」と赤い札が外された。意識のない母を身内だけで見舞った。
そんな母の手をさすっている妻の手を母は握り返した。「同居の嫁にみとってもらう」という母の願い通りの臨終だった。
思えばいい旅立ちをした。36回目の年忌がやって来る。
(今日の575) 妻読みてしばし瞑想目が潤む
コロナで亡くなる人は、身内の誰にも会えず、気の毒に一人で旅立ちをされると聞く。
母の末期を思い出した。入院の日、付き添い一人が許されたが、面会謝絶の赤い札がドアに掛けられ何日かが過ぎた。1日3本の点滴が2本、そして1本になった日「会わせたい方があればどうぞ」と赤い札が外された。意識のない母を身内だけで見舞った。
そんな母の手をさすっている妻の手を母は握り返した。「同居の嫁にみとってもらう」という母の願い通りの臨終だった。
思えばいい旅立ちをした。36回目の年忌がやって来る。
(今日の575) 妻読みてしばし瞑想目が潤む