菖蒲池でのことだった。長いレンズと一脚で撮影する年配者が多く驚いた。撮影会かと思ったが撮っている人らの会話を聞いているとそうではなかった。何年も通うがこうした光景は初めて。素人の私はそれらの人の撮り方を参考にしようと眺めていた。見ている間は皆さんの被写体は花のアップ、菖蒲池を撮る姿は見かけなかった。
手持ちの小さなデジカメの液晶を見ていると、遠景に入っていた、花に向かって長い望遠レンズを向けて構えた人の姿が突然消えた。それは私がシャッターを押す寸前だったがその人は通路から菖蒲池に転落した。すぐに駆け付けたが、近くにいた夫婦が引き起こし、通路に助け上げた。幸いけがはないようで立ち上がり礼を言っていた。下半身は泥まみれだが気になるカメラは手から落ちず無事なようだった。
助けた夫婦に「年をとったもんで」と苦笑いされていた。転落した人が通路の真中で撮るあいだ私は立ち止まって終わるの待った。「どうもどうも」と声を掛けられ「いやいや」とすれ違って間もない転落だった。
身近なところで突然、意外な事件が起こることを「足下から鳥が立つ」ということわざがある。類似で「足下から煙、寝耳に水」などいう。被写体に集中するあまり足下が不注意になったのだろ。転落された人には気の毒だが、私は大事なことを教わった、これからの行動に生かそう。ファインダーから人影が消えるとTVの推理ドラマの始まりになるが、集まった人らはほっとした顔で再び菖蒲を愛で始めた。
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