いま、稽古場で格闘が続いている2つの作品は、
ある家族の物語である。
『大麦入りのチキンスープ』は、
1936年~1956年という、
第二次世界大戦前から戦後約10年。
ロンドンのイーストエンド舞台にしたサラ・カーンとハリイ・カーンの夫婦の物語である。
一方『ぼくはエルサレムのことを話しているのだ』は、
1946年~1959年という、
いわゆる戦後から、イギリスの片田舎ノーフォークに移住した、
サラとハリイの娘アダとその夫デイブの物語である。
この2作に『根っこ』を加えたものが、
ウェスカーの初期三部作と言われている。
今回は、特に“カーン一家の物語”に焦点を当てたこの2作を同時に上演する。
そのため今回は、ほとんど同じ舞台装置を使って、
2作品を上演するのだが、
初めて東京演劇アンサンブルの公演に参加していただく、
舞台美術の池田ともゆきさんには、
ずいぶん骨を折ってもらった。
その甲斐あって、抽象的な舞台美術でありながら、
まったく見違えるような空間を創出することができた。
その辺も期待していただきたい。
演劇ならではの楽しみだ。
そして、ブログのほうでは出演者を紹介していこうと思いますが、
せっかく2作品、同じ家族のお話ということで、
それぞれ違う俳優が、一つの役をやることになります。
ですので、
その辺で紹介できればな、と。
まずは、サラ・カーン。
カーン家の母親。
ロンドンの下町ともいえるイーストエンドに住んでいるカーン家。
ヨーロッパにファシズムの影が色濃くなってきたころ、
彼女は行動派のコミュニストとして、
デモに参加し、
2人の子どもを育てていた。
まさに革命前夜とも思える高揚した運動が、
徐々に失速し、
戦争へと向かっていく。
彼女は子育てをし、
理論ばかりで行動しない夫とのけんかをし、
希望を見失いそうな日々の暮らしの中でも、
彼女は、地に足をつけて、
変わらぬ思いを抱き生きていく。
しかし彼女の生活が決して楽で裕福なわけではない。
夫のハリイが卒中で倒れ、寝たきりになっても、
娘のアダが、理想主義に生きようとイギリスの郊外に引っ越すことになっても、
彼女の明るさが、強さが、家族の芯に通っていることが、
カーン家を支えている。
そんなサラ・カーンを、
『大麦入りのチキンスープ』では、名瀬遙子が演じる。
彼女芝居に向かう姿勢が、
そのまま、このサラにかぶってしまう。
そういう意味で、絶妙なキャスティングだろう。
この生きにくい世界で、
それでもなお、希望を胸に生きようとする姿は、
この芝居の芯を担うに必然ともいえる姿だと思う。
久しぶりに、彼女の“勇姿”が観れて、嬉しい。
そして、
『ぼくはエルサレムのことを話しているのだ』では、真野季節がサラ・カーンとなる。
いまやベテランと言える女優となり、
『ラリー』の旅公演でも大先輩として、
若い俳優たちに少なからぬ影響を与えている。
はかなさと、骨太さという両面を持った彼女。
新しい生活を始める娘夫婦たちを見守る姿は、
やはり、彼女そのものであると感じずにはいられない。
赤い傘の似合う彼女を、見逃さないでほしい。
いよいよ公演まで1週間を切りました。
できれば、両作品見てほしいです。
時系列から行けば、『大麦…』→『ぼくは…』なのだが、
きょう、たまたま『ぼくは…』→『大麦…』の順で見たら、
これが意外に面白い!!
どちらのパターンでも、お勧めです。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ウェスカー連続上演
アーノルド・ウェスカー/作 木村光一/訳
大麦入りのチキンスープ 入江洋佑/演出
ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 志賀澤子/演出
2012年9/6~17
◆=大麦入りのチキンスープ
●=ぼくはエルサレムのことを話しているのだ
*=Low Price Day
※=アフタートーク
9/6木 19時◆
9/7金 19時●
9/8土 14時◆/※/19時●
9/9日 14時●/※/19時◆
9/10月 19時◆*
9/11火 19時●*
9/12水 19時●
9/13木 19時◆
9/14金 19時◆
9/15土 14時●/※/19時◆
9/16日 14時◆/※/19時●
9/17月 14時●
開場は開演の30分前
会場:ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線武蔵関より徒歩7分)
全席自由
前売(一般)3800円/前売(学生)3000円
当日(同一料金)4500円
10日(月)と11日(火)はロープライスデー 2500円均一
2作品セット券(2作品セット)=6200円
公演の詳細はHPへ
webチケットの申し込みはこちらへ
ある家族の物語である。
『大麦入りのチキンスープ』は、
1936年~1956年という、
第二次世界大戦前から戦後約10年。
ロンドンのイーストエンド舞台にしたサラ・カーンとハリイ・カーンの夫婦の物語である。
一方『ぼくはエルサレムのことを話しているのだ』は、
1946年~1959年という、
いわゆる戦後から、イギリスの片田舎ノーフォークに移住した、
サラとハリイの娘アダとその夫デイブの物語である。
この2作に『根っこ』を加えたものが、
ウェスカーの初期三部作と言われている。
今回は、特に“カーン一家の物語”に焦点を当てたこの2作を同時に上演する。
そのため今回は、ほとんど同じ舞台装置を使って、
2作品を上演するのだが、
初めて東京演劇アンサンブルの公演に参加していただく、
舞台美術の池田ともゆきさんには、
ずいぶん骨を折ってもらった。
その甲斐あって、抽象的な舞台美術でありながら、
まったく見違えるような空間を創出することができた。
その辺も期待していただきたい。
演劇ならではの楽しみだ。
そして、ブログのほうでは出演者を紹介していこうと思いますが、
せっかく2作品、同じ家族のお話ということで、
それぞれ違う俳優が、一つの役をやることになります。
ですので、
その辺で紹介できればな、と。
まずは、サラ・カーン。
カーン家の母親。
ロンドンの下町ともいえるイーストエンドに住んでいるカーン家。
ヨーロッパにファシズムの影が色濃くなってきたころ、
彼女は行動派のコミュニストとして、
デモに参加し、
2人の子どもを育てていた。
まさに革命前夜とも思える高揚した運動が、
徐々に失速し、
戦争へと向かっていく。
彼女は子育てをし、
理論ばかりで行動しない夫とのけんかをし、
希望を見失いそうな日々の暮らしの中でも、
彼女は、地に足をつけて、
変わらぬ思いを抱き生きていく。
しかし彼女の生活が決して楽で裕福なわけではない。
夫のハリイが卒中で倒れ、寝たきりになっても、
娘のアダが、理想主義に生きようとイギリスの郊外に引っ越すことになっても、
彼女の明るさが、強さが、家族の芯に通っていることが、
カーン家を支えている。
そんなサラ・カーンを、
『大麦入りのチキンスープ』では、名瀬遙子が演じる。
彼女芝居に向かう姿勢が、
そのまま、このサラにかぶってしまう。
そういう意味で、絶妙なキャスティングだろう。
この生きにくい世界で、
それでもなお、希望を胸に生きようとする姿は、
この芝居の芯を担うに必然ともいえる姿だと思う。
久しぶりに、彼女の“勇姿”が観れて、嬉しい。
そして、
『ぼくはエルサレムのことを話しているのだ』では、真野季節がサラ・カーンとなる。
いまやベテランと言える女優となり、
『ラリー』の旅公演でも大先輩として、
若い俳優たちに少なからぬ影響を与えている。
はかなさと、骨太さという両面を持った彼女。
新しい生活を始める娘夫婦たちを見守る姿は、
やはり、彼女そのものであると感じずにはいられない。
赤い傘の似合う彼女を、見逃さないでほしい。
いよいよ公演まで1週間を切りました。
できれば、両作品見てほしいです。
時系列から行けば、『大麦…』→『ぼくは…』なのだが、
きょう、たまたま『ぼくは…』→『大麦…』の順で見たら、
これが意外に面白い!!
どちらのパターンでも、お勧めです。
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ウェスカー連続上演
アーノルド・ウェスカー/作 木村光一/訳
大麦入りのチキンスープ 入江洋佑/演出
ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 志賀澤子/演出
2012年9/6~17
◆=大麦入りのチキンスープ
●=ぼくはエルサレムのことを話しているのだ
*=Low Price Day
※=アフタートーク
9/6木 19時◆
9/7金 19時●
9/8土 14時◆/※/19時●
9/9日 14時●/※/19時◆
9/10月 19時◆*
9/11火 19時●*
9/12水 19時●
9/13木 19時◆
9/14金 19時◆
9/15土 14時●/※/19時◆
9/16日 14時◆/※/19時●
9/17月 14時●
開場は開演の30分前
会場:ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線武蔵関より徒歩7分)
全席自由
前売(一般)3800円/前売(学生)3000円
当日(同一料金)4500円
10日(月)と11日(火)はロープライスデー 2500円均一
2作品セット券(2作品セット)=6200円
公演の詳細はHPへ
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