a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

震災後の児童・青少年演劇を考える

2013-10-03 21:28:24 | 芝居小屋企画


今回のブログは、
ちょっと東京演劇アンサンブルの話から離れます。

日本児童・青少年演劇劇団協同組合(児演協)
ドラマリーディング『空の村号』の上演についてです。


2013年10月19日(土)
13時/19時 ドラマリーディング『空の村号』
15時 映画『飯館村―放射能と帰村』
ブレヒトの芝居小屋


昨年の夏、
世界の児童・青少年演劇界から、
「震災後の日本の児童演劇は、何を考え、何をしようとしているのか」
そのような問いが投げかけられました。
その問いに答える形で、
児演協では、『空の村号』を製作しました。
沖縄での3回の公演のために創られたのですが、
大きな反響を呼び、
今日まで再演を重ねてきました。
7都市9ステージでの上演となりましたが、
その公演でも、たいへんあたたかく受け入れられ、
また、厳しい現実と、原発から離れた場所での思いを共有することとなりました。

この作品の成功は、
劇作家の篠原久美子さん、演出の関根信一さん、
音楽の菊池大成さん、松田怜さんとの出会いなしには考えられません。
そのほか、
多くのスタッフの協力によって、
いま、演劇人である私たちの一つの可能性を示すことができたように思います。

児演協製作ということで、
出演者の4名をあえてまったく別々の劇団などから選びました。
昨年の夏限定の公演ということで準備していたため、
今後の再演の見通しがありません。
いまもなお、公演の依頼や要望が届いておりますが、
今度の東京公演を最後に、
オリジナルメンバーでの公演を一旦終わりにしたいと思います。
多くの惜しむ声をいただいておりますが、
まずは最後の公演を満席にして、
いつかの再演を望みつつ、
この作品の誕生をオリジナルメンバーとともに喜びたいと思います。

この作品の生みの親である劇作家の篠原久美子さんは、
『空の村号』で斎田喬戯曲賞を受賞されました。
児童・青少年演劇の戯曲賞では、最も権威あるものです。
その授賞式で、
こんかいのオリジナルメンバーでの上演によって、
戯曲そのものの立体感が生まれたことを語っていました。
また、
これまで自分が書いてきたどの作品よりも、
おなかを痛めた、難産だったともおっしゃっています。

その言葉の通り、
いま、この国が抱える最も深刻な問題を、
子どもたちの日常から描き出し、
悲劇的に描くのではなく、
コミカルな明るさの中に見えてくるリアルな現実が、
いまを生きる自分たちの姿に重なってきます。
あらゆる意味で、すぐれた作品となりました。

どうかこの東京での最後の公演、
未見の方には、絶対に観てほしいと思います。
また、同日は、パレスチナなどを撮り続けているドキュメンタリー監督・土井敏邦さんをお迎えし、
映画『飯館村―放射能と帰村』も上映します。
この国の行く先を、
ひとりの大人としてどう考えるのか、
演劇人にやるべき仕事の一つとして、
今回の公演に取り組んでいます。

絶対に見逃してほしくない公演です。


【公演の申し込み】
TEL:03-5909-3064(児演協事務所)
webチケット 児演協オンラインチケットサービス