今日は突然、
元浮島丸の乗組員だという方が新聞記事を見て、
観に来てくれました。
小野寺和一さんです。
ほとんど他界されている方が多い中で、
今、生き証人として残っている方とお会いできるのは、
いろんな意味で貴重な体験だ。
せっかくなので、
終演後に少し残っていただいて、
出演者とともにお話を聞きました。
14歳で旧海軍に入隊し、
敗戦当時は16歳だった。
浮島丸の通信係で、
2年も海軍にいると、
それなりの責任者であったという。
大湊に入港して、
下船の準備をしていたという。
荷物はすべてまとめて、
もう降りるだけであった。
浮島丸は桟橋に接岸していた状態ではなく、
少し離れて停泊していた。
釜山に向かうこととなり、
下船できずに、朝鮮人を乗せて出港する。
爆弾のうわさなど知らなかった。
ただ、接岸していない船に、
そんなものを仕掛けることができるとは思えない、
とのことでした。
航行中、
GHQの指示により、
大型船の航行が停止することになり、
直近の舞鶴港に入港することになった。
小野寺さんは、通信係りの責任者でもあり、
近場の港に寄港するようにという指示を受けた人でした。
機雷はすでに除去済み、ということだった。
浮島丸の前を、
中規模な船が舞鶴湾に先導する形で入港した。
全く問題なかったので、
そのあとを追うように舞鶴港に向かった。
その時触雷し、沈没したのだ。
小野寺さんは、入浴しようとして、
裸のままだった。
立ったまま上に飛び跳ねて、
頭を打ってしばらく意識がなかったという。
気がつくと床が傾き、
あわててタオルを腰に巻いた。
逃げなければと思った。
途中で、投げ出されていた朝鮮人のズボンをはき、
とにかく逃げようとした。
途中乳飲み子を抱えた若い朝鮮人の夫婦が助けを求めていた。
そこへ、日本人の男性が、
乳飲み子を受け取り、
自分から離れるな、と夫婦に言っていたのを覚えている。
自分にはできない、そう思ったことを鮮明に覚えていた。
その男性を、数年後の集まりで見かけることができ、ほっとした。
そんな話をお聞きしました。
不思議だったのは、
小野寺さんがこの公演を知ったきっかけ。
友人から送られてきた荷物が包まれていた新聞が、
たまたま読売新聞が取材してくれた『荷(チム)』の公演の記事だったのです!!
なんとも、不思議な話です。
これも“荷”の力なのでしょうか。
演劇というものは、期せずしてそういう側面も持っている。
以前も、シベリア抑留の話が出てくる『蜃気楼の見える町』という芝居では、
その引き上げの方がいらしてくれたことがあります。
東京演劇アンサンブル公演『荷(チム)』、
公演は3月4日までです。
ブレヒトの芝居小屋でしか実現しなかった舞台を、ご覧ください!!
元浮島丸の乗組員だという方が新聞記事を見て、
観に来てくれました。
小野寺和一さんです。
ほとんど他界されている方が多い中で、
今、生き証人として残っている方とお会いできるのは、
いろんな意味で貴重な体験だ。
せっかくなので、
終演後に少し残っていただいて、
出演者とともにお話を聞きました。
14歳で旧海軍に入隊し、
敗戦当時は16歳だった。
浮島丸の通信係で、
2年も海軍にいると、
それなりの責任者であったという。
大湊に入港して、
下船の準備をしていたという。
荷物はすべてまとめて、
もう降りるだけであった。
浮島丸は桟橋に接岸していた状態ではなく、
少し離れて停泊していた。
釜山に向かうこととなり、
下船できずに、朝鮮人を乗せて出港する。
爆弾のうわさなど知らなかった。
ただ、接岸していない船に、
そんなものを仕掛けることができるとは思えない、
とのことでした。
航行中、
GHQの指示により、
大型船の航行が停止することになり、
直近の舞鶴港に入港することになった。
小野寺さんは、通信係りの責任者でもあり、
近場の港に寄港するようにという指示を受けた人でした。
機雷はすでに除去済み、ということだった。
浮島丸の前を、
中規模な船が舞鶴湾に先導する形で入港した。
全く問題なかったので、
そのあとを追うように舞鶴港に向かった。
その時触雷し、沈没したのだ。
小野寺さんは、入浴しようとして、
裸のままだった。
立ったまま上に飛び跳ねて、
頭を打ってしばらく意識がなかったという。
気がつくと床が傾き、
あわててタオルを腰に巻いた。
逃げなければと思った。
途中で、投げ出されていた朝鮮人のズボンをはき、
とにかく逃げようとした。
途中乳飲み子を抱えた若い朝鮮人の夫婦が助けを求めていた。
そこへ、日本人の男性が、
乳飲み子を受け取り、
自分から離れるな、と夫婦に言っていたのを覚えている。
自分にはできない、そう思ったことを鮮明に覚えていた。
その男性を、数年後の集まりで見かけることができ、ほっとした。
そんな話をお聞きしました。
不思議だったのは、
小野寺さんがこの公演を知ったきっかけ。
友人から送られてきた荷物が包まれていた新聞が、
たまたま読売新聞が取材してくれた『荷(チム)』の公演の記事だったのです!!
なんとも、不思議な話です。
これも“荷”の力なのでしょうか。
演劇というものは、期せずしてそういう側面も持っている。
以前も、シベリア抑留の話が出てくる『蜃気楼の見える町』という芝居では、
その引き上げの方がいらしてくれたことがあります。
東京演劇アンサンブル公演『荷(チム)』、
公演は3月4日までです。
ブレヒトの芝居小屋でしか実現しなかった舞台を、ご覧ください!!