いよいよ残すところ千穐楽。
あと1回です。
最終日になりましたが、
スタッフのみなさんへのお礼を込めて……。
演出家による紹介です。
音楽 かとうかなこ
年末に、今回の舞台に初めてひとつのカラーが生まれた。
それが、クロマチックアコーディオンのかとうかなこさんによるソング。
初めての歌ものということで、悩みに悩んで書いてくださった。
「麦わら隊のマーチ」
「肉屋さんのCMソング」
「パンはいつでも(ソロ)」
「お金持ちのモーラーさん」
「AKBソング」
「ゆたかな人に」
という6曲ものソングと、群舞のアコーディオンソロ。(曲名はすべて仮名)
舞台全体にメロディを、旋律を、色を、動きを与えてくれたのだ。
ちょっと哀しくて切なくて洒落ている。
ベタなノスタルジーじゃない。
ドラマチックだけど乾いている。
大人のやさしさ、シャンソン。
空気の振動で生まれる風の音がたまらなく体をくすぐる。
蛇腹を動かす力、そのさまざまなテクニックが、同じ楽器とは思えないような多様な音色とリズムと力を生み出す。
風の音。
(ああ、うまく言い表せなくて、カタコトになっちゃう…)
どのように舞台に存在してもらおうか、とても迷ったけれど、
このドラマの時空間とは異なる存在、語り手、観察者として、かっこよく存在してくれている。さすがミュージシャン!!!
生演奏は全曲新作。
全国のかとうかなこファン必見のたまらない舞台のはずですよ!!
心から尊敬し、感謝してます!!!!!
衣裳 稲村朋子
(昨年の『忘却のキス』の稽古場にて)
今回の舞台でも大絶賛を浴びている衣裳・稲村朋子さんは、『忘却のキス』で公家が出会ったスタッフ。
名門ネザーランド・ダンス・シアターに留学し、ダンスの衣裳をメインに活躍中。
つい先日も、イスラエルのコンペで優勝したダンス・カンパニーの衣裳を手掛けた。
演劇では三浦基や、1月には松尾貴史『マープル』などの衣裳を担当。
オリジナルブランドももつ、若手のぐんぐん成長株である。
最初、今回の衣裳は、無しor裸、かもしれなかった。
あまりにも予算がない。
しかし、おそるおそる稲村さんに相談した。できる? って。
出演者はこどもまで入れると40人。早替えもあり、一人何役もありもあり、結局50点以上の衣裳が必要になる。
それで予算は『忘却のキス』の半分。
唸る稲村。願う小森。
で、背広を集めようということになった。不要のスーツをお持ちの方はぜひご寄附ください!! と。
ありがたや、早速反応が。
で、どうするかというと――ペイント。
杉彩orタイヤ跡を、各業種ごとに丹念にペイント。
舞台稽古のその日まで、直しは続いた。
労働者の汚しは自分たちの手で。
劇団の在庫も総動員。(さすが60年の劇団!!)
桑原睦を筆頭に衣裳班が結成され、原口久美子まで呼び出して手伝ってもらって、直し、つくり、直し。
そんななか、まっ赤っかのモーラーのスーツは仕立て。
(あの生地にもペイントが入っていることがわかるだろうか?)
ヨハンナと麦わら隊はお揃いの清楚な“仕掛けあり”制服。
稲村さんは、やるとなったら妥協しない超こだわりの人なのだ。
すご~いおもしろい発想と集中力、そして身軽さ。
多分スタッフのなかで一番劇団にいた時間が長い人じゃないかしら。
「この芝居は登場人物がびっくりするほど多い。この大人数を視覚的に描きわける衣装にも驚かされた。」
「当のモーラーはワインレッドのタキシード・スーツを身にまとい、
ネクタイ代わりに牛のマスコットを首からぶら下げていて、実に可笑しい。
そして、麦わら隊のユニフォームを脱いだヨハンナは、
ジャンヌ・ダルクの伝統的記号を思い起こさせる白い、粗末なワンピースに衣装を変える。
気づいてみればヨハンナは、芝居の最初と最後とではまるで別人と思わせるほどの変貌を遂げている。」
「新しい感覚を生み出している音楽 (かとうかなこ)と、芸術作品のように現われる衣装 (稲村朋子)が、
多様性の方向を助けていることは確かである。」
とにかく稲村ジェーンは素敵なの!!
効果 勝見友里
『荷 チム』の時の島さんのオペレーターで、
その人柄で、劇団員から信頼される勝見さんが、初のプランナーを引き受けてくれた。
最初はリアルな音を多数用意してくれていたのだが、
だんだん、わたしのベタな効果音欲しさを理解してくれて、どんどんおもしろくなっていった。
マックの音や、渋谷の交差点の音、パソコンの音、テレビでよく使う効果音などなど……
しかし、今回一番好きなのは、シーソーのところのME。
これだけのためにスピーカーを借りようかと考えたぐらい。
アコーディオンと同様、空気の振動のME。
それから、裏で鳴っているサイレンは、勝見さんが貸してくれたもの。
やはり生音は迫力がある。
いろんなことを試したがるわたしにつきあってくれて、
結局はずいぶんカットになったけれど、
厭わずにいろんな音を出して試してくれて、ほんとにありがとうございました!!!
かつ、オペレーターをやる熊谷、篠原への指導もしてもらっちゃって。
ありがとうございました。
照明 真壁智恵子
本公演初のプランナーとなるTEEの劇団員、真壁智恵子。
今回の芝居、うちには珍しくピンスポットなんぞを使っている。
これは、あまりにベタなわたしの演出に、ちーこが提案してくれたもの。
照明の仕込み・シーンづくりのさなかに降板劇があった。
そこから3晩、稽古後から深々夜まで、朝まで、わたしのたくさんのわがままを聞き入れてくれた。
イメージを伝えても、見るまではわからない。だから一つ一つ出していって直す、また直す。
ベタなヨコの芝居の中に印象的にタテの奥行を加える、って、ああ難しい。
暗闇までは作れなかったろうか。
毎日見ながら、未だ、ベストがわからない。
どうやって芝居を始め、どうやって終わるのかもわからないわたしに、
ちーこは根気よくつきあってくれている。
ありがとう、ちーこ。
プランナーじゃないけれど、スライドチーム
三木・本多・篠澤と演出助手たち
今回は、高橋啓祐さんには映像を頼めない…… だからベタに、アナログでいこう、とは決めていた。
けれども、文字情報とコマーシャルは必要。
ということで、大活躍してくれたのが、若い演出助手班(本多・雨宮・永野・正木・山・渡邉・和田)。
新聞記事や電光ニュースの内容、広告デザイン、キャラクター作り、などなどを担当。
「ダンピング」という言葉も知らないという彼らの世代とのギャップからスタートし、
何が必要なのかを詰めていった。結局はずいぶん絞り込んだけれど。
それからラストの時事ネタは、今も毎日篠澤、本多と検討している。
そしてそのネタを完成させてくれるのが三木元太。
挿入の場所も含めて検討して、アドバイスもくれて、今も時事ネタは何日かで更新してもらっている。
シーソーの画像や麦わら隊のピカピカ、かつ照明のフォローまで元太!!
うるさくならない加減、塩梅、って、難しいですね……。みんなに感謝。
もうひとりの裏方
うちの子、くんぺい。
久我あゆみの娘ふうかが読み稽古の佳境でインフルエンザ。
熱が下がっても登園できないふうかを、くんぺいが家で世話してくれた。
さらに子役としてラストに登場するために、待機してなくちゃならないふうか。
劇団員総出の舞台では、ふうかの面倒をみる人もいない。
かじゅ出演の日以外(かじゅ出演の日は、やはりうちの三由寛子が娘を待機させていてくれている。
ありがとう、ひん!!!!!)は、
ロビーで開演から終演間際まで、ふうかの相手をしてくれているのはくんぺい。
谷川先生には「こうなったら総出で乗り切るしかないよ!!」とエールももらい、
くんぺいを巻き込むことを、「もう、仕方ないごめんなさい、母を助けて」と割り切った次第。
こんな仕事をしていて子育てするのはほんとに至難の業。
だけど、くんぺいはなんとか育って、次の子の面倒をみてくれているわけだ。
(あ、このめんどくさいわたしの面倒も、超みてくれているわ!!!!!)
大学の春休み中でよかった。
バイトもしないでうちでゴロゴロしててよかった。
やさしい子でよかった。
ありがたやありがたや……
あと、本番5日前の降板劇から、この稽古場全部を救ってくれた公家、ありがとう。
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TEE東京演劇アンサンブル公演 創立60周年記念公演Ⅰ
屠畜場の聖ヨハンナ
作 ベルトルト・ブレヒト
訳 加藤衛訳
演出 小森明子
構成 庭山由佳・小森明子
音楽 かとうかなこ
装置 池田ともゆき
衣裳 稲村朋子
舞踊 明樹由佳
照明 真壁智恵子
効果 勝見友理
歌唱指導 菊池大成
舞台監督 入江龍太
宣伝美術 スズキコージ・奥秋圭
制作 太田昭
2014年
3/20(木)19:00 終了
3/21(金)14:00 終了
3/22(土)19:00 終了
3/23(日)14:00 終了
3/24(月)19:00☆ 終了
3/25(火)休演
3/26(水)19:00☆ 終了
3/27(木)19:00 終了
3/28(金)19:00 終了
3/29(土)14:00 終了
3/30(日)14:00 ※当日券のみ 13時から整理券配布
前売(一般)=3,800円
前売(学生)=3,000円
☆=Low Price Day = 2,500円
当日=4,500円
全席自由 申込順に整理番号を発行
ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線 武蔵関徒歩7分)
東京演劇アンサンブル TOKYO ENGEKI ENSEMBLE
〒177-0051 東京都練馬区関町北4-35-17
TEL:03-3920-5232 FAX:03-3920-4433
作品詳細
東京演劇アンサンブル webチケット