a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

こちらは、プロテスタント

2010-09-30 23:16:55 | 旅公演
ワークショップ4日目。
昨日とは打って変わって、博多の街の中。
いきなり都会です。
なおかつ私立校であり、
プロテスタント系と言う、
何から何までギャップのある小学校でした。
新設校でもあり、できたての体育館はきれい♪
しかしながら、天井がテックスタイプであり、
イントレ(工事用足場)がなければ公演できない…。
ただ、さすが、なんていう言葉では表現したくはないのですが、
先生方の対応がすばらしく、
嬉しくなりました。
ワークショップは、1~3年生。
制服を着て入場してくる姿は、ぴしっとして、
よそよそしさも感じましたが、
始まってみると、ほっとしたのも事実です。
歌が、今回最も練習できていた学校でもあります。
そしてなんといっても驚いたのが、
口笛が吹けることが多かったこと。
これは特別教えてるわけではないと思うので、
偶然とはいえ、
こんなに口笛が吹けるこの多い、低学年の子どもたちは、
あまり例がなかったように思う。
先生は、音感が結構いいので関係あるんですかね、
とおっしゃってましたが、
でも、うれしい偶然、ってことで。


併設されている中・高の学食で食事。
大盛りカツカレー食べましたが、
安くてうまい!!
本番の日も食べねば……。

キリシタンの島

2010-09-29 22:59:11 | 旅公演
ワークショップ3日目。
今回の文化庁公演の、離島シリーズその1。
佐世保市の黒島(くろしま)。
佐世保の相浦港からフェリーで50分。
島民600人。
島周囲約14km。
いまだ島民の8割~9割がカソリック信者という島。
名前の由来も、クロス島からきているとか…。
正真正銘、隠れキリシタンの末裔たち。

前日フェリーに乗ると、偶然黒島中学の子たちと一緒になる。
駅伝の練習に来ていたとか。
陸上部か何かかと思ったら、
全校生徒だそうな。
全校生徒13人。
先生によると、フェリーから見える島に、
あまり民家が見えていないのは、
外から人が住んでいるのを隠していたせいだとのこと。
なるほど。


フェリーによるトラックの移送に不安をいただきつつ、
この夜は、宿の歓待を受けることになる。
公演時には、島の3件ある宿屋は、すべてお借りすることになるのだが…。


中学校でのワークショップは、
シャイで、素直な生徒たちで、
のびのびと、身体を動かしながら、
歌っていました。


口笛は、がんばって!!
体育館に難ありで、結局電源車を呼ぶことに。
島で、これほどの規模の芝居を持って公演するのは、
なかなか一筋縄ではいかない。
フェリーの時間いっぱいまで島を散策し、
黒島天主堂も見学。



最後まで、フェリーの心配をしつつ、
次の地へ移動しました。

キリシタンの末裔・・・。

2010-09-28 22:53:04 | 旅公演
そう表現されることは、好きじゃないかもしれませんが…。

文化庁、公演ワークショップの2日目。
前日夕方の移動で、熊本から三角港を過ぎて、
橋を渡ると、大矢野島から天草へと続いている。
ずっと以前にここへ来たのは、
『海鳴りの底から』のロケハンを兼ねて、
数人の劇団員と訪れて以来だ。
この連なる島々から、
キリシタンたちが、手の届く距離に見える島原半島へ、
舟を漕ぎだしていったことを思い起こした。
さて、
そんなキリシタンの末裔、
というわけではないが、天草市内の小学校。
ワークショップの参加は、1~3年生だったので、
もう、かわいい、かわいい。
元気もあって、楽しくワークショップを進めていました。
公演当日は、全校生徒で観劇予定。
準備期間が長いので、
忘れちゃわないかどうかだけが、心配。
体育館の条件に手違いがあり、
担当の先生には、お願い事をして来ました。




かわいいお礼の言葉もいただきました。

この日は、天草から長崎へフェリーで移動。
さらに佐世保に移動して、またまたフェリーで、
まさに隠れキリシタンの末裔の島へ向かうことになる。

秋の旅

2010-09-28 00:56:12 | 旅公演
タイトル通りで行くと、
もう少し先にできそうな、
紅葉狩的なイメージになりそうですが、
もちろん、
そうではなく、
劇団の1年の後半の仕事、秋の旅公演が始まります。

毎年お世話になっている文化庁公演。
児童・生徒が、1シーン参加して、
プロと共演する、という刺激的な企画。
『おじいちゃんの口笛』では、
歌と口笛で参加。
ということで、
ワークショップでその指導する、という旅に来ています。
舞台監督、指導者(若手俳優)、制作、という5人体制です。

1日目は熊本。
市内の小学校で、
そこそこな規模の小学校。

1年生だけ、ということもあり、
いつも話す話の時間もそこそこに、
歌の練習をしました。
まだまだ拙い研究生たちでしたが、
素直な児童の皆さんに助けられました。

続いては、少しなんかした宇城市の小学校。
午後は打って変わって6年生のみ。
ここは、
新たな取り組みで、
これまでは体育館のみだった公演が、
ホールでもOKとなり、
市内の同じ地区の小学6年生が総見だと言う。

とても礼儀正しい小学生たち。

正座は学校で、積極的にとりくんでいるようです。
他校は、歌で参加はないので、
ぜひ、たのしんでほしいです。

今のところ下見としても、
問題はそんなになさそうです。
年に1度の小学校中心の旅公演。
最後まで楽しみたいな、と思います。

公演翌日は…。

2010-09-21 15:33:40 | 東京公演
昨日をもちまして、
チェーホフ生誕150年として公演しました、
『避暑に訪れた人びと』は公演終了いたしました。
連日、評判が評判を呼び、
駆けつけていただいたお客様たちに、
まずは感謝をさせていただきたいと思います。

私たちの創造の中心であったタリさんが亡くなって、
間もなく4年になります。
この間タリさんの“遺産”ともいえる作品を上演しながら、
劇団の未来を模索してきました。
レパートリー1つを決めるのにも、
何度も、何度も会議をやりなおし、
話を重ねた日々があります。

その中で今年は、
3月の『山脈-やまなみ』(木下順二・作)、
9月の『避暑に訪れた人びと』(ゴーリキー・作 大塚直・訳)、
という大がかりな作品に挑戦し、
劇団の浮沈を賭けた取り組みをしました。
私たちの創造は先へ進めるのか。

今回の公演で、
その大きな手ごたえを感じたというのが、
率直な感想です。
もちろん評価はごらんいただいた皆さんにしていただくことだと思っていますが、
これから始まる秋の学校公演も楽しみとなってきました。

公演翌日の今日は、
すべてのバラしをしていますが、
鮮やかな緑は、すでに見る影もありません。



夜からは、
早くも『セチュアンの善人』の稽古が始まります。
『避暑を訪れた人びと』のヴァルヴァーラ役で、
大きく飛躍した桑原睦が、
シェンテ/シュイタとしてどんな舞台を作るのか。
秋の学校公演もまた、飛躍のステージになれば、と思っています。

1週間遅れて『ラリー』の稽古も始まります。
若い研究生チームは、
『おじいちゃんの口笛』のワークショップに行きます。

1つの芝居を終えて、
いよいよ、劇団もまた外に向かって動き出します。
これからの東京演劇アンサンブルにご注目いただき、
一層のご支援を頂ければと思います!!

客席に向かうベクトル。

2010-09-18 15:09:15 | 東京公演


ただいま本番中ですが、
残すところ2ステージとなりました。

おかげさまで、
いろいろと感想が届いておりますが、
一つご紹介させてください。
(長いので、少しカットしています)


東京演劇アンサンブルを初めて観たが、
何より強く感じたのは、
自分たちの作品を「作り込む」強さと、
それを「観てほしい」「感じてほしい」という、
観る側である私に向けられたベクトルの並々ならぬ大きさだった。
もちろん、それは劇団員の演技力に裏打ちされたものであり、
若い世代の、
いわゆる演劇ユニットやプロデュース団体とは明らかに「異質」のプロ集団的な質感に満ちていた。

会場に入ると、
まずはロシアの避暑地の森林を象徴的ともいえる深い緑で見事に表現した傾斜状の舞台空間に目を奪われた。
開演前から質の高い芝居が観られそうとの予感が五体に広がった。

この舞台空間で、
場面場面でイスやテーブル、
ワインなどの小道具を変化させつつ、
出演陣の台詞の応酬を主力に物語は進んでいく。
ただ、この台詞の言葉が、やや分かりにくかったり感じた個所があり、
もう少し、分かりやすくしてもよいのでは、と感じた次第。

出演陣がほぼ全員が安定した演技を披露してくれたが、
特に、
日々を無為に過ごす小市民の男たちに反発する女医のマーリヤを演じた原口久美子と、
弁護士バーソフが妻のヴァルヴァーラを演じた桑原睦が秀逸だった。
男優陣では、スースロフのおじ役の伊藤克、セルゲーイ役の松下重人、
作家シャリーモフ役の公家義徳が安定感抜群だった。
ちょっと気になったのは、
医師キリールの妻オーリガ役を演じた奈須弘子の棒読み的な台詞は、
あえてそうしたのかと疑うほどの棒読みで、
これが終始、気になって仕方なかった。
他にも何人か、自然な喋り方とは違う奇妙な抑揚の役者もいて、
これは今も、どうしてそうなのか意味不明。




演出面で気になったのは、これだけ立ち位置も上手く、
会話の応酬の妙味が漂う中で、何回か突然、キスを交わすシーンがあったのだが、
これがへっぴり腰の中途半端な接吻で、
やるならやるで真剣にやってほしいし、
そうでないなら「この劇にキスシーンはいらないな」と高まっていたモチベーションを返って減じてしまった次第。
あと、キリール夫妻が外で情交に及ぶシーンは全体とのバランス感からいっても、
無くても良かったのではと思えた。

全体としては非常に素晴らしい作品だけに、
ここでは気になった点を書かせてもらったが、
時間的にも3時間15分は、こちらも体力勝負となる。
とくに、こうした作品では、やはり、人物の性格や葛藤を表現する部分で、
やや重複的な場面も何回か感じられ、それらは、ある程度、そぎ落とせたのではないか、とも感じた。
そうして2時間半くらいにした方が、観る側の緊張感も維持しやすいので。

とはいえ、この圧倒的な質感と観る側の私に向けられるベクトルの大きさには、
本当に驚くほど魅了された。


多少耳が痛い部分もあるのですが、
初めてご覧いただいたということもあり、
率直に書いてくれました。
ある意味、東京演劇アンサンブルらしさという部分が、
まだまだ理解されていないのかもな、
というか、
それも乗り越えられるものにしたいとも思っています。

とはいえ、
あえての苦言と受け取り、更なる精進をしたいと思います。
加えて言えば、
ほかのお客様からは、
「意味不明」という部分をほめていただいたりと、
受け取る側も実にさまざまだな、と感じる公演ともなっています。

本邦初演の戯曲ということで、
ほぼ、カットをしないプランで上演しております。
それもまた、こういう大作ならではの魅力でもありますので、
ぜひ、ご堪能いただければと思います。

残すところ2日間。
どちらもまだ残席がございます。
連休中の過ごし方に、
武蔵関で観劇、というのはいかがでしょうか?




9月19日(日)14時
9月20日(月・休)14時

全席自由
当日=5,000円
前売 一般=4,500円 学生=3,500円

公演詳細は劇団HPまで

5/10

2010-09-15 09:32:28 | 東京公演
今日は、公演5日目になります。
ハーフチケットデーですが、
当日券、あだあります。
気になった方はぜひ! 足をお運びください。


写真は、
公演前のミーティング風景。
当日のお客さんの状況とか、
前日の芝居のチェックを話します。
テクニカルなことが、多いですね。
あとは、演出家のありがたい言葉……とかですね。
毎日、毎日、慎重さと大胆さを持って、
俳優も、裏方も、表方も、
一緒に最上の上演をすることを目指しています。

連日さまざまなお客様からお話を聞いていますが、
とても好評でほっとしています。
ある意味“痛い”芝居でもありますが、
なんと言うか、
愛すべき登場人物たち、です。
公演は20日まで毎日上演しております。
今日が終われば、折り返し。

どうぞ、東京演劇アンサンブルのチェーホフ的演劇。
チェーホフ生誕150年に、足を運んでみてはいかがでしょうか。

15日(水)19時 ハーフチケットデー
16日(木)14時
17日(金)19時
18日(土)14時
19日(日)14時
20日(月・休)14時

全席自由
当日=5,000円
前売 一般=4,500円 学生=3,500円
15日のみ=2,500円

公演詳細は劇団HPまで。

空のボトル

2010-09-13 18:36:31 | 東京公演
いつも通り、
バタバタと公演初日を迎え、
翌日がマチネ公演だと、
ここまであっという間に過ぎていきます。

おかげさまで、
手ごたえのあるお客さまからの感想をお聞きしたりして、
ほっと、したりしています。
公演は20日まで続いております。
まだまだ余裕のある公演日もございますので、
少しでも興味ある方は、
楽しんでいただけると思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

いくつか当日アンケートをご紹介したいと思います。

むずかしい話だと思った第一印象にもかかわらず、
あっという間の3時間で、
とてもシンプルな話のように感じたのは、
演出の力なのでしょうか。
演技の力なのでしょうか。
ややこしく考え精神病になる小市民の姿が、
なんとなく、ネット社会の日本と重なりました。
そして私自身もそうなのかもしれません。
23歳 女

前半ちょっと退屈だったけど、
ラストに向けてすごくなった、
引き込まれた。
チェーホフの世界だってわかりました。
三角関係、かなえられない恋、不協和音がすさまじく、
ウズ巻いていた。
物凄い感情のエネルギーでした。
49歳 男

たった3公演しか観ていないので、
確かな事は言えませんが、
今回の公演は一番良いと感じました。
こんなにもすばらしいものをやっているのかと思うと、
益々好きになりそうです。
79歳 男

伊藤さんの演技に風格を感じた。
この劇に出ている人々を役者というのでしょうね。
51歳 男



この芝居、
お酒を飲んでいるシーンが多いのですが、
こう暑い日が続いていると、
若干うらやましくなったりしています。


でも、
小道具係はたいへんそう。
上演中のロビーでは、
出番を待っているワインのボトルたちが干されておりました。


そうそう、
今回の音楽担当をしてくださいました川本さんが、
ブログでも紹介してくれています。
そちらもぜひ、覗いてみてくださいね。
違う角度からのお話なので
ちょっとおもしろいです。

http://blogs.yahoo.co.jp/satorutmkkwmt/folder/371690.html

そして、ピロシキ。

2010-09-12 01:58:15 | 東京公演


いよいよ、
公演初日が開きました!!

13人の男と女が織りなす愛憎劇。
ロシア演劇の匂い、
ドイツ演劇の匂い、
そんな香りが漂いつつも、
東京演劇アンサンブルの新しい挑戦が、
実りつつあるような予感のする芝居となりました。

初日祝いということで、
炊き出しに続いて、
思いつくロシア料理シリーズで、
おつまみ料理に、
ピロシキを作ってみました。


初めてですが、
生地はホットケーキミックスにしたので、
手抜き、ですね。
でも、評判は上場でしたよ。

そのほかいろいろ作りましたが、
劇団員の実家から送られたアジを使ったアジフライも、
これまた評判良かったです。


初日の乾杯ということで、
けっこう遅い時間ながら、
まだまだ元気、
な人たちがいます。
夜も更け、先に帰らせていただきました。


こういう風に、余韻がいつまでも残るのは、
初日のなせる技が、
それとも、
やっぱり、芝居のでき、に違いありませんよね。