2012年は、
坂手洋二さんをお迎えしての『荷 チム』からスタートした。
新たなスタッフとの出会いはどれも楽しくて、
刺激となり、
そして、贅沢な日々だったと思う。
日韓の間に残されている重い荷物を軸に、
戦後すぐの世界を描きながらも、
圧倒的な迫力で、いまに迫ってくる。
ぼくたち自身が演劇を続けている中で、
触れるべき問題であり、
その思いが、客席と共感を作ったのでは、と思う。
そして東京演劇アンサンブルが、
これまでとは違う演劇界でのつながりを持つきっかけともなった。
そして、
年末には嬉しい報告がった。
韓国から参加してもらったチョン・スンギルさんが、
韓国演劇賞の男優賞を受賞したのだ。
昨年は、同じ賞をの女優賞をウ・ミファさんが獲得している。
韓国演劇とのつながりのおかげで、
本当に一線で活躍する素晴らしい二人に参加してもらったんだなぁ、
と実感した。
また、これまで東京演劇アンサンブルを見たことのないお客さんも、
多くブレヒトの芝居小屋に足を運んでくれた。
そして研究生から9名が入団し、
研究生に2名が入ってきた。
タリさんがいなくなってから5年…、
タリさんを知らない劇団員も20名近くになり、
新たな世代にどう“劇団”であることを継承していくか、
これも大きな課題となってきた。
それでも現在、ツアーの中心となっている、
『銀河鉄道の夜』と『ラリー ぼくが言わずにいたこと』では、
その若い、生き生きとしたエネルギーが、新たな命を吹き込んでいる。
劇団とは、そうありたい。
いつでも、変化し、前に進みたい。
“ラグビーデンケン”…走りながら考える、
タリさんが良く言っていた言葉だ。
写真は、5月に修学旅行で『ラリー ぼくが言わずにいたこと』を観劇した、
三重県の嬉野中学校の生徒さんと。
研究生公演『櫻の園』、
スープ劇場『にんじん』などが上演され、
休む暇もなく『目をさませトラゴロウ』の公演。
ぼくのもっと大好きな芝居だ。
平日の公演にもかかわらず、
両日とも満席。
嬉しかったねー。
『目をさませトラゴロウ』喜多方発21世紀シアター終演後ロビー。
そして、本公演では今年のもう一つの大きな仕事。
ウェスカー作品の連続公演。
『大麦入りのチキンスープ』
『ぼくはエルサレムのことを話しているのだ』の2本立て。
ウェスカーの描く理想の芸術活動、
そんな匂いを嗅ぎながら、
東京の外れにブレヒトの芝居小屋を構え、
時代におもねらない、
自分たちの信じるものを集団で創り続けること。
劇団の在り方を考える公演となった。
秋の旅公演は、
2作品ともが、久しぶりに長いツアーに出ることができた。
日々、その公演のことだけを考えられるという贅沢。
今日の公演はどうだったのか、
その精度をどう上げるのか、
そんなことを考えあいながら過ごす日々がうれしい。
『荷 チム』の稽古場で、
坂手さんが言っていた言葉が、ずっと残っている。
「演劇ができる喜び」
どんな芝居をするにしても、
この思いは忘れたくない。
『ラリー ぼくは言わずにいたこと』は、
特に浜松と山形という、大きな合同公演を通して、
もう1ランク質的変化を遂げたとのこと。
まだ、見れていないので、楽しみだ。
僕自身は、『銀河鉄道の夜』の文化庁公演に参加して、
ブログで報告済みだが、
経験が、より良い形で継続しているというのは、
ほんとにすごいことだな、と思うのだ。
そして、その勢いのままのクリスマス公演。
多くのお客さんから、成長の実感を感想として聞きました。
『銀河鉄道の夜』小豆島公演の空き時間に、エンジェルロードにて。
今年もまた、
多くの人に支えられ、楽しい日々だった。
そして、なんと言っても多くの新たな出会い、
出会い直しが、やはり嬉しかった。
文化庁ツアーでは、
おやこ劇場関係の人に付き合ってもらって交流できたのは、
やはり今年の財産。
劇団は、
芝居を観てもらってこそ劇団だ。
そういう意味でも、旅先で観てもらえたのは、
嬉しかったなー。
個人的には、
児演協の仕事や、
日韓演劇交流センターの仕事がこれに加わりますが、
ここでは割愛。
東京演劇アンサンブルは、2013年も演劇をする喜びを実感できるような公演、企画を考えています。
まずは、3月公演『忘却のキス 赤色のガラスケース』の稽古が始まる。
またまた新しいスタッフとの出会いになる!!
徐々にブログで紹介していこうと思ってはいますが……。
たぶん……。
そして、『櫻の森の満開の下』の東欧ツアー、
夏にはこどもの劇場新作『はらっぱのおはなし』の上演。
秋は、また、長い旅公演に出たいなー、と準備しているところ。
2012年、
東京演劇アンサンブルをご支援いただき、誠にありがとうございました。
2013年も、
引き続き、ご支援いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
東京演劇アンサンブル
制作:太田あきら