空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

国連安全保障理事会,マリ介入を認める

2012-12-21 17:25:58 | Newsメモ
 但し,Ecowasは3300を予定するが,介入は早くて2013年9月までは始まらない由。

BBC UN backs Mali intervention force to oust rebels 20 December 2012

 原案作成はフランスにより,何段階かにわけてマリの再統合を意図する。unanimouslyとあるので満場一致で賛成の様子。さしあたり,介入軍の任期は1年とある。この決議は,マリへのbenchmarksをも設定するもので,政治的和解や軍隊の訓練の改善も課題の内である。

 というか,マリ北部が反乱側に制圧されたとき壊滅したcollapsedマリ軍を再建rebuildする必要があるのである。

 政治的条件の成熟について,具体的には,4月ないし技術的に可能な限り早期に選挙を行うべきだとする。Ban事務総長は,そうした事態の進展を見極める必要がある。

 Afisma(the African-led International Support Mission in Mali)の任務は,マリ北部をテロリスト,極端主義の武装集団から解放する助けをするため,「すべての必要な手段all necessary measures」と取りうるものとする。この点,AMISOMより条件はいいかもしんない。

 まあ,3300とされる兵力が,本当に計画通りいくかどうかは―「Whether that number can be reached is not clear」なのだが(By Will Ross, BBC West Africa prepares to take on Mali's Islamists 21 November 2012)。

 Ecowasの予算の2/3を拠出する,地域大国ナイジェリア。シエラレオネ内戦の際には1万人を派遣したナイジェリアが,今回はざっと1個大隊分,700名ほどの派遣にとどまるとか。ナイジェリア「ナイジェリア,出るぞ!」といわれましても,いついらっしゃることか,とか。

 同情すべき余地はある。ナイジェリアは,自国の軍がマリ北部解放のための戦闘に巻き込まれるであろうことまで口にするという。というのも,マリ軍の崩壊具合が著しいからだ―「"The Malian army is split, demoralised and doesn't have the experience and coherence in terms of structure and hierarchy to be able to partner any international force" 」,ここまで否定的な評価も,なかなかないだろう。

 そんなだから,いかに深い経験に満ちたナイジェリア軍であってさえ,非常に困難な仕事なのだと記事は続く。装備もよく,既に現地で兵を増強しもし,また国外で戦闘経験を積んだ戦闘員も来着し,イスラミスト・ジハーディストたちと―しかも砂漠で―戦うのは非常に困難な提案である,モンロビアやフリータウンを防衛するのに比して―クイーンランド大講師(国際安全保障)のHunt氏は言う。

 シエラレオネで,ナイジェリア軍は厳しい状況に直面し,厳しい手段で応じた―集団処刑だとか―。そしてそれは,今現に,国内でBoko Haramと国軍とがやり合っていることだとアムネスティなどは主張する。政府側は反論するが,その当否真偽はさておいて,いまマリに介入するなら,自爆テロなり教会・モスク襲撃なり民間人無差別虐殺なり,同じような目にあうだろうことは変わらない。

 ―丁度今,ケニアがそう言う目にあっているようにだ。そしてアムネスティの報告書の言う如く「Trapped In The Cycle Of Violence 」な状況に陥る(というか,今現に陥っているようにしか思えないわけだが)。

 軍を展開する上では,気象条件,地形的条件,補給路の条件も悪しきに過ぎる。
 マリ首都Bamakoからイスラミスト支配下のGaoまで,1200kmもある。ヘリか何かで輸送するのだろうか? 空路で間に合わすなんて贅沢は,米軍にさえ不可能なんではあるまいか。
 砂嵐の季節にはどうするのか。

 さらには,古代以来の交易路がその辺に通じていて,人身売買組織や麻薬密売組織や反乱諸勢力は,多少の物資の補給ができる(つまり,ゲリラ戦が可能な程度には,だろうが,彼らはそれでも「聖戦」を続けることができる)。リビアから持ち込んだものもある。

 …以上,マリの反乱に関する記事のはずが,ナイジェリアの対応とその事情について多くを述べる記事であったりして,これが西アフリカ全体に関わる事件なのだということを如実に教える。さらにはマリと南辺を接するナイジェリアとしても,下手にマリがイスラミストに支配されると―90年代の悪夢がよみがえるところだ。

 Boko HaramとマリのIslamistsの関係だって心配だ。

 関連諸国にとって,非常に頭の悩まされるものである―という,再確認の記事として読んでみた。

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