ヘッジファンド―世紀末の妖怪 (文春新書)浜田 和幸文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
得意のBookOFFで105円でまとめ買いしたものの1冊です。
なかなか面白く読めました。
10年ほど前のアジア通貨危機。韓国、タイ、日本とバブル崩壊後一瞬の間に
アジアの通貨価値が底値まで落ちたのを記憶しています。
その当時、新聞で読んでる情報では、大きな動きになる。日本の経済も落ちる
ところまで落ちるのかと危機感を感じてました。危機感は感じてましたが、
何故こんな急に貨幣価値が落ちるのかということについては、深くは考えません
でした。
この本には、その時の状況とヘッジファンドのからくりとその世界に君臨する
ドンのジョージ・ソロス氏の妖怪さ、それを容認する金を取り巻く国家、金融
投資家の模様が描かれています。今でこそ、一般投資家も行うデェリバリティブ
ですが、10数年前の当時、そのことはまだ根付いてなかったようで著者をこれを
全面的に否定している。金融機関が自己資本比率をなえがしろにして、デェリバリティブ
に走るのはどうかという気もするし、その事が財務上隠蔽されながら投資されて
るようであれば事は一大事だと思うが、現在の財務会計基準ではどうなのだろうか。
当時に比べるとエンロン事件の影響等で、かなり厳しくなってるかと思うが、
それでもこの辺は、透明性を持たせて運用してるとも思えない面もありそうな
気がします。
当時の通貨危機に関連するヘッジファンドと国家、金融の関係を否定的に書いてる
部分も多いが、ことの信憑性は自分としてもなかなか判断しかねる面がある。
本当に国家、金融がここまで極端に標準経済学で想定される経済人的な展開を
みせたのであろうか。反面、金の亡者たちは国家であろうと投資家の金を預かってる
金融であろうと、一つの国家を潰すくらいのことは行うのかもしれない。
極端な書き方をしてしまったが、そのような気がする。
いずれにしてもこの本は、当時の出来事を契機にいろいろなことを考えさせて
くれる本だと思う。