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永遠の0 を読んだ。 生きることへの直向さが染み入る大作でした。

2011年09月23日 19時08分04秒 | 読書評
永遠の0 (講談社文庫)
百田 尚樹
講談社

永遠の0 を読みました。

Webサイトや書店の書評などで面白いという評価がついていたので大作でしたが手にしてみました。

自分の本当の祖父の姿を知るための孫二人の旅。

祖父は太平洋戦争時に特攻隊員として戦死。
その祖父がどんな人であったのか知るための旅。

祖父である宮部少尉の家族の元へ帰るため、戦争という非常時でさえも
生きることへの直向な姿勢が読み手に染み入る。

永遠の0の0は零戦の零で、宮部少尉は優秀な零戦のパイロット。
友軍の防衛や敵攻撃機への攻撃で優れた飛行技術を有していて、歴代の
日本軍パイロットと肩を並べる実績をもつ。

しかしその人柄は穏やかで、軍隊という組織のなかでも優しさは際立ち
人望も厚い。

戦争、軍隊という強烈な集団社会のなかで、宮部少尉の信念は、生きるという
こと。生きて家族の元へ帰るということ。
一億玉砕という言葉さえあった太平洋戦争時代に、生きるということは、
並みの勇気では乗り越えられなものであったに違いない。

その芯の強さと、それに反し現実は米軍との戦いの毎日。
戦争が進む中、当初優位を誇った零戦の能力も米軍の新型機に追い越され
物量、作戦、優秀なパイロットをなんとか生存させ戦いに挑む敵とわたり
あうこと、それこそが宮部少尉本人との戦いでもあるように思えた。

この作品は、当時の戦争に関わる方々が約束された死というものに直面
する重みを読み進むに連れて読み手にひしひしと染み込ませる。

生きる可能性があるからこそ必死に戦うという当然のことを、日本軍は
否定した。そのエリート士官たちの集団が下す現実ばなれした命令で
何百万人の若者が亡くなったという事実を切々と伝える。
当時の事実を伝える実録に近いものではないかと思う。

全編を通して宮部少尉、当時の戦争に係わった方々の生きたいという直向な
気持ちが強く響き、心を掴んではなさい。強烈な印象を与える。



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