八頭町見槻中字立縄、始発駅郡家駅から四番目「隼(はやぶさ)駅」。入り口の壁一面に貼られた「隼」のポスターが存在感を示しています。
「2008年8月、東京都千代田区隼町のライダーが「自分が住んでいる住所と同名の駅が鳥取県にある」と気づいたのを切っ掛けに来町。8月8日を「88(ハヤ)ぶさの日」と命名。バイク専門誌が「隼”のオーナーは隼駅に集合!記念写真を撮ろう」と呼び掛けたところ、大阪、神戸、岡山から7台のバイクが来町し「来年もこの日に(8月8日)に集まろう」と約束しあった。このライダーの企画こそ隼駅を全国に発信する絶好のチャンスと、地元有志が2009年8月に「隼駅を守る会」を結成し「隼駅まつり」の開催にこぎつけた。初のまつりには北海道から沖縄まで全国から100台が終結。当初懸念された暴走行為等も無く、祭りの開催は成功をおさめた。回を重ねるごとに台数も増え2013年の5回目には700台ものバイクが全国から参加。いつしかライダーたちにとって同駅への訪問が”聖地巡礼”として定着。今では年間2500台の隼ライダーが訪れるまでになった。」「若桜鉄道:隼駅を守る会」広報誌より
厄介な病気を発症した私の所為でタンデムが難しくなり、結局バイクを手放してしまった御亭主殿ですが、バイクへの愛着は今も変わっていません。乗っていたバイクはシャドー一辺倒でしたが、バイク乗りのカッコよさはメーカーや車種が何であろうと関係ない・・と、熱く語っておりました(笑)
窓口で切符を買い、少し大きな荷物は「手小荷物貨物取扱所」で専用の切符を買って持ち込む。事務手続きが人の手によって賄われていた時代、それは煩雑ではあっても懐かしく心温まる光景であったと思う。今、駅事務室は往時の面影を残したまま、売店「把委駆(バイク)」として鉄道グッズの販売、スズキ公認の隼グッズ、さらに「聖地巡礼之証」が販売されています。
駅舎からホームに。「隼駅をまもる」方々の心配りだろうか。塵一つ、ゴミ一つないホームに立って、来ないと知っている電車を待ってみる。
駅舎の向こう、ホーム脇の引き込み線には、ライダーハウスに使用するため2010年11月に北陸鉄道から譲受された電気機関車(ED301)。
更に2011年7月にはJR四国高知運転所所属だったオロ126が搬入され上記の機関車と連結。同車は夜行列車「ムーンライト松山」「ムーンライト高知」に使用されていたことから「ムーンライトはやぶさ」と命名。車内はED301同様、ライダーハウスとして使用。
車内の様子・・元々カーペット敷きにし5区画のセパレーションを取り付ける改造を受けていたため、特に手を加えられることなく活用されています。
八頭町日下部字徳尾、始発駅郡家駅から五番目「安部(あべ)駅」。駅の本屋が理髪店と一体化しており、玄関側から見るとどっちが主なのか悩ましいところ(笑)。当駅は理髪店のオーナーが駅長を兼務しているそうで、理髪店がお休みの時は無人駅になります。
無人の改札を抜けて・・
「よう来なったねぇ」。いきなりさわやかな笑顔に出迎えられて面くらう私たち。ピンクのエプロンが可愛らしい若奥さん風の女性と、横のベンチには親御さんかな?
とりあえず挨拶を返して駅の待合ベンチに・・おやここにも先客が。
お邪魔をしても何なので線路を渡って向こう側に。待合のベンチに仲良く座っているのは「フーテンの寅さん」こと、寅二郎と町の誰かをかたどった人形。さっき改札口で出迎えてくれた三人連れに、寅さん+一名、みんな同じ「案山子人形」なのです。
昨日紹介した因幡船岡駅にもいましたよね。お父さんと小さな兄弟。紹介はしていませんが、実は隼駅にもちゃんといました。等身大の人形に、普通に生活臭のある衣服を着せて「そこ」に存在させる。踏切で偶然見かけた光景ですが、トラックの荷台に乗せられた案山子人形。中々シュールで、目を引きます。聞けば頼まれてた人形が出来上がったので運ぶところだとか・・
おや、そうこうしているうちに構内に電車が入ってきました。若桜鉄道を走る気動車は「WT3000形3001 さくら1号」と「WT3300形3003 さくら3号」。形式称号の「WT」は、列車が走る沿線にちなんで「W=若桜・T=鳥取」を意味しています。
前も後ろも同じなのですが、折角両方を写せたので(笑)。どこかに車を置いて、何の目的も無くのんびりと各駅停車の電車の旅・・悪くないね~。
ホームの向こう側に並ぶ桜。記憶の片隅にこんな光景のホームに降り立った自分の姿があったような気がする。懐かしく美しい・・・多分日本の至る所で見られた光景だったのかもしれない。
個人のお名前とメッセージが刻まれたプレート付の枕木。公式HPに「若桜鉄道は多くのファンの応援で支えられています。枕木オーナー制度は一口5,000円で3年間一本の枕木に名前入りのプレートを貼ってもらえます。3年間は構内入構料無料となり、3年後には記念にプレートが返送してもらえます。」
各駅ごとに凝らされた工夫。そこに至るプロセスも何もかもを含めて、何かを大切に思う人たちの想いがこの鉄道路線を支えている。改めて心の底から枕木オーナーの方々に感謝します。
訪問日:2012年4月15日
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