八頭町才代字中ソガメ、始発駅郡家駅から六番目「八東(はっとう)駅」。ここでは駅舎の事務室部分が山岡電機八東工場になっています。
すっかりお馴染みになった切妻造の屋根
お日様が差し込む駅舎の待合室。壁に作り付けの長いベンチ。柱の上で時を刻む掛け時計。本当に静かでゆったりとした時間が流れている
遠い昔の記憶の中、それとも昔見た映画のワンシーンだったか・・僅かに見覚えのある木の改札口、ガラス戸の引き戸、漆喰の白い壁・・
駅舎をでた線路南側の乗り場が1番線ホーム、線路北側の乗り場が2番線ホームになっており、一番線ホーム側には清掃の行き届いた木造の待合所が設けられています。
全面ガラス張りの待合所。待合室と同じような作り付けのベンチ。反対側には大きな庇屋根がありベンチも備え付けられている。多分この駅は乗降客が多いのでしょう。
待合所の後ろ側はかって線路が引き込まれていたと思われる形状になっており、白く塗られた「有蓋緩急車」が保存展示されています。上手に再利用できれば、八東駅の隠れた名所になるかもしれませんね。
待合所から見下ろす駅舎。左端が改札口、右手のサッシドアは「(株)山岡電機」の入り口。こうしてみると随分と高い位置にホームがある事に改めて気づきます。
八頭町南字小判、始発駅郡家駅から七番目「丹比(たんぴ)駅」。日本の駅で唯一、読みが「ぴ」で終わる駅名として一部マニアには有名です。
これまで見てきた駅舎と同じ様に、ここもまた甘酸っぱく懐かしい空気に包まれています。それほど頻繁に電車を利用してきた訳でもないのに、この既視感は何処から来るのでしょう。
ホームに座って電車を待つ。胸の中を去来するのはこれから向かう場所への期待・・それとも不安なのだろうか?そう・・私は故郷を捨ててたった一人で都会に出てきて・・いまこうしてあの日の事を思い出しているのです。
駅の名前が違っているだけで目に映る光景はあの時ととても良く似ている。あの日私は何を考えていたのだろう? 痛いほど唇を噛んで、絶対に泣くもんかと心に言い聞かせていた。あんなにも辛かった筈の過去をこんな風に懐かしむ事が出来る・・それは何と幸せな事か。隣に座る人の顔を見ながら深く息を吸い込み、せぇ~ので一緒に立ち上がる。
残すは町を超えてつながる若桜線:終着駅「若桜駅」。駅ごとに蘇*って来た様々な思い出、それは決してキラキラとしたものだけでは無かったけれど、それでも私にとっては懐かしい思い出に繋がる大切な一コマ。
訪問日:2012年4月15日
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