八頭町郡家駅から、若桜町若桜駅に至る19.2 kmの路線「若桜(わかさ)鉄道:若桜線」。
全線単線、駅数は起終点駅含む9駅。全列車が各駅に停車する普通列車で1日15往復(土日は14往復)。1 ~3両編成で運転されており半数程度の列車が郡家駅からJR西日本の因美線に直通し、鳥取駅まで運転されます。
昭和5年(1930)、若桜線 郡家~若桜駅が開業。開業当時は、沿線周辺で伐採されるスギ丸太の貨物輸送に盛んに利用されてきましたが、戦後になり林業は斜陽化。更に並行するバス路線が増発を続けたため次第に赤字となり、昭和62年(1987)の国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。JR若桜線は廃止となり若桜鉄道に転換されました。
2008年、駅舎、転車台など23の鉄道構造物が一括して国の登録有形文化財に登録。歴史的な建築物が身近に見られる・・・今回の鳥取の旅ではマンホール収集も兼ねてそれらの駅舎を訪ねる事にしました。郷愁をそそる木造の駅舎・・今回は少し趣向を変えて・・私の中の物語を綴ってみようと思います。
八頭町船岡字上向田、始発駅郡家駅から三番目「因幡船岡(いなばふなおか)駅」。人気のない駅舎の入り口から流れてくる風は、柔らかな草の匂いを含んでもうすっかり春の暖かさ。
ガラス戸で囲まれた明るい待合室。目を閉じれば、遥かな昔・・母や姉と一緒に母の実家に行った日の事を思い出す。木のベンチに座り、電車が来るのを待っていた私の横で、母は少しだけ・・いつもより嬉しそうに見えた。
時刻表を確認し、電車の入ってこないホームに出て彼方に延びる線路を目で追う。彼方に見えるあの山はどの辺りなのだろう・・見知らぬ土地の風景はどこか余所余所しく、耳を澄ませても聞こえるものは何もない。
ホームの片隅には、仕事帰りの父さんの猫車に乗せてもらって、とってもご機嫌な幼い兄弟。御亭主殿、ちょっと羨ましそう(*´꒳`*ノノ゙
木造の駅舎と、人気のないホームと、一本だけの線路。
線路の行先を追いかけて振り返れば、さっき見えてた山は少しだけ小さくなって、ふいに心細さに襲われ慌てて引き返す。
駅舎を出た私たちに満開の桜が微笑みかける・・・「良い旅を・・・」と
2009年、鉄道施設が若桜町および八頭町に譲渡され、両町が当線の第三種鉄道事業者として施設を保有管理。若桜鉄道が第二種鉄道事業者となる上下分離方式にによる運営に変更されました。明日は次の停車駅「隼駅」~そこから終点若桜駅までを順次紹介していきます。
訪問日:2012年4月15日
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