江戸時代前期の修験僧・仏師・歌人として知られた『円空(えんくう)』。寛永9年(1632)に瓢ヶ岳山麓の木地師の子に生まれたと云われています。(別説に美濃の国(現:羽島市竹鼻町)の生まれ説も有り)。各地に「円空仏」と呼ばれる独特の作風を持った木彫りの仏像を残したことで知られ、64年の生涯に約12万体の仏像を彫ったと伝えられています。彼の残した円空仏は全国各地にその所在が確認されており、現在までに約5,300体以上の像が発見されています。
「円空のふるさと」として有名な郡上市美並町。円空仏との出会いは2010年に立ち寄った「道の駅:美並」のお土産コーナー、一段高く目立つ棚の上に並べられた、いわゆるレプリカの木彫りの仏たちでした。
「円空仏」と言うのか・・何だろう?とても不思議な雰囲気の仏像だな・・記憶の片隅に留まったそれは、意外な場所に現れ、折々にその存在を思い出させてくれたものです。それもあって、2012年の岐阜県の旅では、目的地に円空仏との出会いを盛り込んでみました。おだやかに優しく・・・円空仏たちは、旧知の老いた知り合いのような、あるいは、はるか昔に出会った幼子のような笑みを浮かべて出迎えてくれました。
私達の旅の目的は沢山あるのですが、まず第一に車中泊を楽しむ!その為に旅をするといっても過言ではありません😄 もちろん、名所旧跡巡りは必須。その上で ①ご当地マンホールを捜す。 ②神社仏閣でお気に入りの狛犬さんと対面する。 ③各自治体の一押しの色々に触れる。 2017年から④マンホールカードの収集が新たに加わり、忙しい事この上なし😅
美並町に鎮座される「星宮神社」に隣接する「円空ふるさと館」。ここでは初期から晩年期にかけて彫られた円空仏約95体が展示されており、言葉にし難い本物の迫力に魅入られて、つい時間を忘れてしまいます。
館内は撮影禁止なので紹介できませんが、建物の前に置かれていた「合掌仏:護法神」を。
「円空仏」が見られると言う事で、長良川鉄道越美南線の幾つかの駅舎も立ち寄りました。もちろん本物ではなく、円空仏をこよなく愛する人たちによって生み出された仏像たちですが・・まずは郡上市美並町三戸にある「深戸駅」。並んだ三体の仏像は、いずれも不思議な魅力に満ちています。
郡上市美並町白山の「美並狩安駅」に並べられていた円空仏、こちらはいかにも仏像らしい姿をされており、多分それぞれのお名前は私でも知っているんじゃないかと思います。
郡上市美並町大原にある「大矢駅」に、小豆色の一両電車が入って来ました。緑の山々を背景に遠ざかる電車は、無意識の内に時を止め甘酸っぱい郷愁を誘います。そしてもちろん、ここにも三体の円空仏が、駅を利用する全ての人たちを見守っています。
町の随所に、円空仏を愛する人たちによって奉納された円空仏たち。長良川に架かる郡南歩道橋には、円空水飲み場と題された「円空仏:竜王」。少し先には、お念仏姿の「安全を祈る円空仏」が、ゆるやかな笑みを湛えています。
「円空街道を歩こう」と題された案内板。これでみると結構広範囲に広がっているようですが、とりあえず道々に出会えればラッキーという感じで先に進みます。
「円空街道」と刻まれた碑の傍らには【ひたすらに 日本修行歩きつぐ 円空のたび 此処に始まる】の歌碑。
「円空旅立」の像。
鹿島神社への参拝途中に見かけた円空仏さん。足元に刻まれているのは三猿のようですが、とすればこの仏様は「青面金剛像」でしょうか?なんと穏やかなお顔。
「川千谷:高光橋」。欄干の上の貴人は「猿蛇虎」を退治したと言う『藤原高光』? それともいわゆる「神像」と呼ばれる円空仏?さて、どっち?😅
行く先々に出迎えてくれる「円空仏」、その何ともいえない優しい笑みが、見知らぬ土地にいる楽しさを更に増してくれるようで、郡上市美並町の車散策はもう少し続きます。
訪問日:2012年5月21日
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