8/1-3で富山方面へ行ってきた旅行シリーズ、8/2の関西電力黒部ルート見学の続きです。
黒部峡谷鉄道の終点、欅平から一般人の入れない関西電力黒部ルートに入り、トロッコで欅平下部駅へ行って、竪坑エレベーターで欅平上部駅へ。欅平上部駅から外の風景を見た後は、再度トロッコに乗車します。ここからのトロッコは、関西電力上部専用鉄道と称する線路になります。「高熱隧道」という小説を読んだ方はご存じでしょうが(すいません、私は読んでません)、黒部川第三発電所建設のために戦前に作られた線路がこの関西電力上部専用鉄道の欅平上部ー仙人谷の間になります。高熱隧道とは、黒部川第三発電所のための仙人谷ダムを建設するために、欅平側から掘り進んだトンネルで高熱の岩盤にぶつかった場所です。この岩盤の温度は諸説あるそうですが、160℃以上にも達したそうで、ダイナマイト工法で岩盤を砕こうにもダイナマイトが自然発火してしまうと言う惨事が続き、工事全体の合計で300名以上、雪崩で80名以上(これも戦災で資料が焼け、正確な人数が不明とのこと)の死者を出したのだそうです。この高熱隧道(現在は40℃程度とのことだが、もう少し暑そうにも感じた)を通れるという非常に貴重な体験をすることになりました。
欅平上部駅で留置されているトロッコ
なぜかあった流し台。関西電力職員さんがここで食事するための物なのだろうか?
竪坑エレベーターの欅平側。両開きのエレベーターなので、欅平側、黒部側の双方に出入り口がある
竪坑エレベーターの黒部側
欅平上部駅には駅務室が存在している
黒部側のトンネルを少し歩いて進むと乗車する列車が待っていた
頭上には「黒部川第四発電所前ゆきのりば」の文字が
欅平上部駅の駅名標
乗車するトロッコの最後方には貨車が1両。この貨車は、我々が外の風景を見ている間に、先に乗車してきたトロッコの後方に着いていた貨車を竪坑エレベーターで運んだのだそうだ
先頭には見慣れぬ機関車の姿が。側面にはBB73の車番
関西電力上部専用鉄道の専用車両である蓄電池式機関車、BB形である
BB形の運転台。横向きという点ではDE10形等に通じる物がある
形状的には前後対象なのでDD51形に近いか。なぜディーゼル機関ではなく、蓄電池式かと言うと、高熱隧道の走行時に化石燃料が発火してしまわないようにとされている。一方で架線式の電気機関車でないのも、高熱隧道の硫黄による硫化を避けるためだという
このトンネルの向こう、仙人谷までの5.7kmの区間が戦前の昭和11~13年に作られた区間である
3両のトロッコに別れて乗車する(残り2両は関西電力職員用)。黒部峡谷鉄道のトロッコよりも一回り小さいのは、竪坑エレベーターに入るサイズのためだ
トロッコ内部に案内板が掲載されていた
ロングシートの車内に1カ所、説明者用座席があったのだが、今回は人が多いためか使われなかった
関西電力の職員さんにより、この軌道と高熱隧道について詳しい説明を受けた。高熱隧道の工事はあまりにも多くの死者を出したため、一度は富山県による工事停止の指令が出されたが、当時日中戦争が始まり、電力確保に躍起になっていた陸軍が昭和天皇陛下の名を借りて多額の見舞金を支払うことで、国策として工事が続行されたという
やがて車内の窓が曇り始める。欅平のトンネルの中の冷えた空気が暖められ始めたと言うことだ
まだこのあたりは普通のトンネルだ
案内板の横の窓、分かりづらいのだが手動で動かすワイパーがある
職員さんが扉を開けると、列車は高熱隧道に入っていた。赤い光は列車のライトであって、別に赤く岩盤が発光しているわけではない
フラッシュを炊いて撮ればこんな感じだ。岩盤には硫黄が付着しており、硫黄臭がする。この硫黄のために、レールは2年ごとに交換しないといけないのだという。普通は10~15年、長ければ20年と持つ物なのに
もう1枚。車両は耐熱構造で有り、車内は暑くないのだが、手を扉の外に近づけると熱気を感じた。未だ高熱隧道は発熱しているのだ
高熱隧道を抜けると、列車は仙人谷駅に到着します。ここで少し車外に出て休憩。仙人谷ダムを線路上(駅上)から眺めます。この仙人谷駅は、関西電力上部専用線の中で唯一の地上区間で有り、この他は全て地下を走っています。
仙人谷駅に到着
欅平上部駅から59m登ってきた
仙人谷駅の駅名標と運行ダイヤ。ダイヤはあるけど、もちろん一般人は乗車できない
路線図。高熱隧道の説明も書かれている
駅とは言っても、このように橋の上の空間である
これが仙人谷ダム。ここから欅平の黒部川第三発電所まで導水している
ダムの反対側
下を見ると、川は細い。ダムの水量は一杯だが、発電用に放水は少なめのようだ
先頭からBB73、ハ170、ハ171、ハ172、ハ173、ハ174、ワ9(貨車)の7両編成
機関車の側面には関西電力の文字
改めて客車を撮る
この客車も関西電力のロゴと社名が
連結器はシンプルなリンク式。今時このタイプの連結器を使っている車両も少ない(黒部峡谷鉄道の車両は全てリンク式である)
ハ170の銘版
ハ171の銘版
仙人谷ダムから900m程進むと、終点の黒部川第四発電所前です。この区間は昭和30年代に延長された部分で有り、くろよん建設のために作られた区間です。宇奈月から続くレールも、ここが終点となります。
黒部川第四発電所前駅
BB73は側線を使って編成後方へ移動する
後方へ移動するBB73と乗車してきた列車
ここが黒部峡谷鉄道から関西電力黒部専用線へと続く線路の終点
後編は黒部ルート見学のクライマックス、黒部川第四発電所見学です。そしてインクライン、黒部トンネルへと抜けます。
以下、次回。
黒部峡谷鉄道の終点、欅平から一般人の入れない関西電力黒部ルートに入り、トロッコで欅平下部駅へ行って、竪坑エレベーターで欅平上部駅へ。欅平上部駅から外の風景を見た後は、再度トロッコに乗車します。ここからのトロッコは、関西電力上部専用鉄道と称する線路になります。「高熱隧道」という小説を読んだ方はご存じでしょうが(すいません、私は読んでません)、黒部川第三発電所建設のために戦前に作られた線路がこの関西電力上部専用鉄道の欅平上部ー仙人谷の間になります。高熱隧道とは、黒部川第三発電所のための仙人谷ダムを建設するために、欅平側から掘り進んだトンネルで高熱の岩盤にぶつかった場所です。この岩盤の温度は諸説あるそうですが、160℃以上にも達したそうで、ダイナマイト工法で岩盤を砕こうにもダイナマイトが自然発火してしまうと言う惨事が続き、工事全体の合計で300名以上、雪崩で80名以上(これも戦災で資料が焼け、正確な人数が不明とのこと)の死者を出したのだそうです。この高熱隧道(現在は40℃程度とのことだが、もう少し暑そうにも感じた)を通れるという非常に貴重な体験をすることになりました。
欅平上部駅で留置されているトロッコ
なぜかあった流し台。関西電力職員さんがここで食事するための物なのだろうか?
竪坑エレベーターの欅平側。両開きのエレベーターなので、欅平側、黒部側の双方に出入り口がある
竪坑エレベーターの黒部側
欅平上部駅には駅務室が存在している
黒部側のトンネルを少し歩いて進むと乗車する列車が待っていた
頭上には「黒部川第四発電所前ゆきのりば」の文字が
欅平上部駅の駅名標
乗車するトロッコの最後方には貨車が1両。この貨車は、我々が外の風景を見ている間に、先に乗車してきたトロッコの後方に着いていた貨車を竪坑エレベーターで運んだのだそうだ
先頭には見慣れぬ機関車の姿が。側面にはBB73の車番
関西電力上部専用鉄道の専用車両である蓄電池式機関車、BB形である
BB形の運転台。横向きという点ではDE10形等に通じる物がある
形状的には前後対象なのでDD51形に近いか。なぜディーゼル機関ではなく、蓄電池式かと言うと、高熱隧道の走行時に化石燃料が発火してしまわないようにとされている。一方で架線式の電気機関車でないのも、高熱隧道の硫黄による硫化を避けるためだという
このトンネルの向こう、仙人谷までの5.7kmの区間が戦前の昭和11~13年に作られた区間である
3両のトロッコに別れて乗車する(残り2両は関西電力職員用)。黒部峡谷鉄道のトロッコよりも一回り小さいのは、竪坑エレベーターに入るサイズのためだ
トロッコ内部に案内板が掲載されていた
ロングシートの車内に1カ所、説明者用座席があったのだが、今回は人が多いためか使われなかった
関西電力の職員さんにより、この軌道と高熱隧道について詳しい説明を受けた。高熱隧道の工事はあまりにも多くの死者を出したため、一度は富山県による工事停止の指令が出されたが、当時日中戦争が始まり、電力確保に躍起になっていた陸軍が昭和天皇陛下の名を借りて多額の見舞金を支払うことで、国策として工事が続行されたという
やがて車内の窓が曇り始める。欅平のトンネルの中の冷えた空気が暖められ始めたと言うことだ
まだこのあたりは普通のトンネルだ
案内板の横の窓、分かりづらいのだが手動で動かすワイパーがある
職員さんが扉を開けると、列車は高熱隧道に入っていた。赤い光は列車のライトであって、別に赤く岩盤が発光しているわけではない
フラッシュを炊いて撮ればこんな感じだ。岩盤には硫黄が付着しており、硫黄臭がする。この硫黄のために、レールは2年ごとに交換しないといけないのだという。普通は10~15年、長ければ20年と持つ物なのに
もう1枚。車両は耐熱構造で有り、車内は暑くないのだが、手を扉の外に近づけると熱気を感じた。未だ高熱隧道は発熱しているのだ
高熱隧道を抜けると、列車は仙人谷駅に到着します。ここで少し車外に出て休憩。仙人谷ダムを線路上(駅上)から眺めます。この仙人谷駅は、関西電力上部専用線の中で唯一の地上区間で有り、この他は全て地下を走っています。
仙人谷駅に到着
欅平上部駅から59m登ってきた
仙人谷駅の駅名標と運行ダイヤ。ダイヤはあるけど、もちろん一般人は乗車できない
路線図。高熱隧道の説明も書かれている
駅とは言っても、このように橋の上の空間である
これが仙人谷ダム。ここから欅平の黒部川第三発電所まで導水している
ダムの反対側
下を見ると、川は細い。ダムの水量は一杯だが、発電用に放水は少なめのようだ
先頭からBB73、ハ170、ハ171、ハ172、ハ173、ハ174、ワ9(貨車)の7両編成
機関車の側面には関西電力の文字
改めて客車を撮る
この客車も関西電力のロゴと社名が
連結器はシンプルなリンク式。今時このタイプの連結器を使っている車両も少ない(黒部峡谷鉄道の車両は全てリンク式である)
ハ170の銘版
ハ171の銘版
仙人谷ダムから900m程進むと、終点の黒部川第四発電所前です。この区間は昭和30年代に延長された部分で有り、くろよん建設のために作られた区間です。宇奈月から続くレールも、ここが終点となります。
黒部川第四発電所前駅
BB73は側線を使って編成後方へ移動する
後方へ移動するBB73と乗車してきた列車
ここが黒部峡谷鉄道から関西電力黒部専用線へと続く線路の終点
後編は黒部ルート見学のクライマックス、黒部川第四発電所見学です。そしてインクライン、黒部トンネルへと抜けます。
以下、次回。
本当にこうまでして建設しなければならなかったんでしょうか。
現在も維持管理も大変なんてもんじゃないでしょうね。
複雑な思いもしますが、観光客にとってはまさに一見の価値ありですね。
非鉄の方も多いのでしょうね。
ただ、必要だったのは確かでしょう。第三だけでは足らず、戦後10年で第四を作ることになったのですから。
維持管理は大変だとは思いますけど、黒部川水系の水力発電は関西方面にとって非常に重要な物ですから、必要なコストでしょう。
見学車は非鉄の方も多かったように思いますよ。
とても詳しく説明&写真もたくさんあって、勉強や参考になりました。
ありがとうございます。
私も機会を作って、ぜひ黒部ルート見学会に参加したいです。
当記事がご参考になったようで幸です。
黒部ルート見学会は、日本人ならどなたにも一度は参加してほしい見学会です。ぜひ応募してみてください。
平日のみの開催ですので、夏休み期間中は競争率が高くなります。また、今年は雪が深いために第1回~第5回くらいまでは開催されないかも知れませんのでご注意ください。
http://www1.kepco.co.jp/info/hokuriku/koubo/index.htm