明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(579)【詩作】「イノチ」「人・間」「明日のために」

2012年11月12日 17時30分00秒 | 詩作

守田です。(20121112 17:30)

詩を三編、ご紹介します。
最初の「イノチ」は、11月3日に大阪で行われた「イノチコア」さんたちの反原発反放射能パレードで歩きながらか考えたことをまとめたものです。

*****

イノチ

イノチのために
街を歩く
イノチのために
声を上げる

人のイノチ
獣のイノチ
虫のイノチ
木々のイノチ

放射線は
イノチを切断する
外から内から
イノチを切り刻む

しかも放射線は
イノチに呻く間も与えない
誰にも何にも見えないところで
破壊が実行される

傷つけられるイノチの多くは
自らの声を持たない
抗議もできなければ
仕返しもできない

しかしイノチたちは
他の多くのイノチたちを支えている
一つのつながりとしてあるイノチの傷は
痛みと哀しみの連鎖をもたらす

例えば山の木々が潰えたら
誰が私たちに
豊かで穏やかな水を
与えてくれるのか

例えば鳥たちが鳴かなくなったら
誰が私たちの心に
柔らかな潤いを
もたらしてくれるのか

今、私たちは
イマジネーションの力で
すべてのイノチの痛みを
聴きとる必要がある

それは私たちの
非有機的な身体(からだ)の痛みであり
まだ感じるにはいたらなくとも
私たち自身の痛みだ

山を見よう
木々を見よう
虫のことを鳥のことを獣のことを
想像しよう

被曝を止め
痛みを癒す道を見つけたい
すべてのイノチのため
私たちのこのイノチのため

20121112


人・間

私の言葉は
あなたがあって初めて存在する
だから言葉は
あなたと私の間にある

言葉によって辿られる
私の思考も同じだ
思考は問いかける相手があって
初めて思考足りうる

さらに問い詰めてみるならば
この「私」自身も同じ存在者だ
私はあなたがあって初めて成り立ち
あなたとの間に存在するのだ

私が私であるのは
あなたとの間に反照があるから
私が私足り得るのは
あなたとの間に差異があるから

だから私の言葉たちも
私の思考も
私そのものも
あなたとの間にあり続ける

人と人の間にある私たちは
互が自らの構成要素だ
他者の喜びは己を楽しませ
苦しみは心を痛くする

あなたがあなたの喜びを膨らませ
苦しみを減らしたいなら
他者を温めることこそ
近道に違いない

人と人の間に熱を!
あなたが
あなたのやりかたで
人・間を温めてください

20121112


明日のために

僕はこれまで
幾度も詩を綴り
言葉たちを
磨き抜いて
紙に書き留める
訓練をしてきた

僕の中にあるものを
できるだけ正確に
相手に伝え
できることならば
人の心の中に
染みとおっていくだけの術を
身につけたいと
欲してきたからだ

だが今は
少し違う
僕が目指すのは
僕らが共有する何かを
揺り動かすこと
伝えるのではなく
共振・共鳴し
心の中から
想いをともに
溢れさせていくことだ

それは恐らくは
生への共感であり
愛の共有であり
平和への感謝であり
希望や勇気
労りと慈しみ
喜びと笑い
だから感動だ

感動は僕らのうちに
共同で分けもたれており
僕らの中にともに
眠っているものでもある
感動の中には
僕らのまだ知らぬ
可能性すらがある

我らの心を揺り動かし
目覚めさせるために
言葉を磨き
発していくのだと
するならば
素晴らしいことだと言っても
良いのではないだろうか


君も
同志にならないか
言葉を一緒に磨かないか


明日のために

2000年頃作成 詳細不明
20121112校正

 

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