明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1227)高浜原発4号機緊急停止事故・抗議署名にご協力を!

2016年03月02日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160302 22:00)

高浜原発4号機緊急停止事故・抗議署名がまわってきました。ぜひご協力下さい。
僕がこの署名を読んで「これはいい」と共感したのは、関電だけでなく原子力規制委員会を抗議対象としていることです。実に迅速かつ的確でとてもありがたい署名です。
まさにその通り。これは高浜原発の再稼働を認可した規制委員会の責任問題でもあるのです。

ちなみに関西電力は4号機の再起動が早くて今月中旬になるとしていますが、原因究明も終わっていないのに、なぜ再起動の目途について語れるのでしょうか。
こうした再稼働ありきの姿勢こそがトラブルの要因の一つではないでしょうか。

また規制委員会の田中俊一委員長は、2日の記者会見で、まるで他人ごとのようにこう述べています。
「電力会社にはトラブルのないように再稼働を進めることが社会の信頼につながると言ってきたが、信頼を裏切るようなことが起き、うまくいっていないことについて極めて遺憾に思う。詳しい中身が分からないので、今後報告を受けて対応を判断したい」。

田中委員長はいつもそうですが、電力会社に上から目線で苦言を呈すだけで、自分たちを捉え返すことが全くない。
しかし社会に対する信頼を裏切ったのは規制委員会でもあるのです。なぜ一言、「高浜原発4号機の審査が不十分でトラブル発生を防げずに申し訳ない」と謝ることをしないのでしょうか。
それでなんの「規制委員会」なのか。規制に通ったものに責任を負うのが規制当局の当然の務めではないでしょうか。(なおこれら発言などのニュースソースを下記に示しておきます)

 高浜原発4号機 再起動は早くて今月中旬に
 3月2日 18時11分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160302/k10010428891000.html

こういうあまりに無責任な方たちに、危険極まりない原発の運転権限や稼働の許認可権を与えておくことは到底できません。
私たちの抗議の意思をたくさんの署名で示しましょう。
20日に起こった冷却水漏れの時にも緊急での署名をお願いしましたが、今回もぜひお願いします。
なお締め切りは3月8日24時です。まだ余裕があります。拡散にもご協力下さい!

以下、署名の呼びかけを貼り付けます。

*****

みなさまへ<拡散希望>

■高浜原発4号機緊急停止事故・抗議署名のお願い
http://kiseikanshi.main.jp/2016/03/01/kinkyuteishi/

署名フォームは以下です!
https://fs224.formasp.jp/f389/form1/
締切は 3月8日(火)24時 です

高浜原発4号機が緊急停止しました。4号機は20日にも一次冷却水が漏えいする事故を起こしたばかりでした。
今回の事故は、この漏えいの原因究明も放棄し、再稼働を最優先して突き進む関電と原子力規制委員会の姿勢によって、もたらされました。次には、取り返しのつかない大事故の危険さえあります。

冷却水漏れに際しては、56時間で4400筆あまりの署名をいただきました。今回の緊急停止を受けて、改めて高浜原発3・4号機の再稼働断念を迫る抗議署名を行うこととしました。
前回ご署名いただいた方は再度になりますがよろしくお願いいたします。もちろん今回はじめての方も歓迎です。まわりへの拡散もよろしくお願いいたします。

*******************************

[高浜原発4号機 原子炉緊急停止事故 抗議署名]

高浜原発4号機の原子炉自動停止事故に抗議する
再稼働最優先の関電と規制委員会の姿勢が引き起こした原子炉停止事故
再稼働最優先ではなく、事故原因を徹底究明し、住民に説明せよ!
高浜3号も運転を停止せよ!

原子力規制委員会委員長 田中俊一様
関西電力社長 八木 誠様
2016.3.1

2月29日、高浜原発4号機が緊急自動停止した。発電と送電の操作を開始したとたんに警報がなり、発電機が自動停止した直後にタービンと原子炉も自動停止したと報道されている。
高浜4号機は、2月26日の原子炉起動直前の20日にも、一次冷却水が漏えいする事故を起こしたばかりだった。
この漏えいの原因究明も放棄し、再稼働を最優先して突き進む関電と原子力規制委員会の姿勢によって、今回の事故はもたらされた。私たちはこれに強く抗議する。

2月20日の一次冷却水漏えいについて、関電は2008年からの「ボルトゆるみ」が原因だと発表した。
しかし原子力規制庁は、ボルトは規定値で締められておりゆるみはなかったと表明している(2月25日の私たち市民との交渉。その後26日の福島みずほ議員事務所への文書回答)。両者の言い分は異なったままだ。
さらに、もう一つの漏えい原因である、圧力の一時的な上昇についてもなんら解明されていない。

このような姿勢で再稼働を最優先させれば、次には、取り返しのつかない大事故の危険さえある。これ以上、若狭の住民、京都北部の住民、関西一円の住民の命をもてあそぶなど許されない。高浜原発3号機も即刻運転を停止すべきだ。

要 請 事 項

1.高浜原発4号機の原子炉緊急停止と一次冷却水漏えいの原因を徹底究明し、福井と関西の住民に説明すること。
2.高浜原発3号機も運転を即時に停止すること。
3.住民の安全を守るためには脱原発しかない。高浜3・4号の再稼働を断念すること。

締切り 2016年3月8日24時

呼びかけ
グリーン・アクション/原発なしで暮らしたい丹波の会/アジェンダ・プロジェクト/脱原発はりまアクション/避難計画を案ずる関西連絡会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/FoE Japan/グリーンピース・ジャパン/原子力規制を監視する市民の会

連絡先
グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町22-75-103
TEL:075-701-7223 FAX:075-702-1952
原子力規制を監視する市民の会
東京都新宿区下宮比町3-12-302
TEL:03-5225-7213 FAX:03-5225-7214 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(1226)4年以上停めていた原発は危険性大!高浜4号機の稼働はこのまま止めるべきだ!

2016年03月02日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160302 17:00)

関西電力は、3月2日午前、2月29日に原因不明のトラブルによって原子炉が緊急停止した高浜原発4号機を冷温停止状態に移行させたことを発表しました。
トラブル続きのこの危険な原子炉の再稼働計画をこのまま捨て去り、稼働を止めるべきです。

この間の高浜原発4号機の再稼働から緊急停止にいたる流れと問題点、新たに発覚した事項をここでまとめておきましょう。
2月26日に再稼働を目指していた高浜4号機は、2月20日、起動試験の前日に原因不明の一次冷却水漏れを起こしました。
場所は一次冷却水をろ過して不純物を除く装置付近。量は34リットルでした。その後の調査で、この装置に取り付けれた弁の取り付けねじが緩んでいたことが分かりました。

関電はなぜねじが緩んだのかの調査を十分に行わないままに加締めを行い、3、4号機の同様の弁のねじを点検しただけで、再度、稼働に向かいました。
ここまでで2日間が消費され、起動試験が遅れたにも関わらず、26日の着工をスケジュール通り強行することを表明。事実上、起動試験から再稼働までを短縮してしまいました。
そして26日に原子炉を再稼働させ、3日後の29日に出力10%の段階で発電機を送電線につなぐ操作をしたところ、スイッチを入れたとたんに異常を告げる警報が鳴りだし、発電機と原子炉が緊急停止してしまいました。

関電はタービン建屋の外にあり、発電した電気の電圧をあげて送電線に送る主変圧器付近でトラブル発生と判断。
その後の調査で変圧器から送電設備への異常な電流を検知する機器が作動していたことが判明したとして、引き続き、この機器を中心に原因解明が行われています。
この機器は、ある値を超えた電流が流れた場合に作動するよう設定されており、異常な電流の発生の有無や、機器の設定などに問題がなかったかなどをさらに調べるとのことです。

しかしいずれにせよ、調査結果を原子力規制庁に送り、その判断を仰がなければならないこともあって、すぐに原子炉を再起動させることは無理だと判断し、2日午前中に原子炉を一時冷却水を100度以下に保つ冷温停止状態への移行措置がされました。
このため関電は再稼働まで一定日数(具体的には不明)がかかると表明しています。

私たちがみておくべきなのは、高浜4号機は4年7カ月も停まっていたために不具合が多くなっており、徹底した点検を行ったつもりでも、ボルトの緩みに顕著なように、さまざまな箇所の点検が抜けてしまっているということです。
そのためにトラブルの続発に見舞われているのです。このため今、見つかっている不具合が直されたとしても、まだまだ次に何らかのトラブルが起こり、事故が発生する可能性があります。
しかも恐ろしいのは出力が高まった事態でトラブルが発生し、重大事故に発展することです。その場合、原子炉内の放射能量も格段に増えているのでその点でも危険性が大きくなります。
今回はそのかなり前の段階でのトラブルだったためにある意味では救われているわけですから、この段階で長く停まっていた原発の再稼働の難しさを認識し、危険極まりない原発再稼働から撤退すべきです。

これはすでに動いている川内原発1、2号機、高浜原発3号機についても言えることです。それぞれ長く停まってからの再稼働であるため、今後、どのようなトラブルが発生するかも分かりません。
ここで注目していただきたいのは、昨年8月に僕が書いた記事です。
川内原発1号機の再稼働がなされた直後に、蒸気化した二次冷却水を冷やして水に戻す「復水器」にピンホールなどが生じていて海水が混入するトラブルが発生したことを受けたものです。
これまた配管の十分な点検がなされずに起こったことでした。といってもそもそもすげての配管を調べること自身が技術的に難しいのですが。ともあれ以下の記事をご覧下さい。

 明日に向けて(1128)4年以上停めて再稼働したのは世界で14例。その全てで稼働後にトラブルが起こっている!
 2015年8月23日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/474f1254a9054ea9bbfa3757feb15566

僕がここで取り上げたのは、ブルームバーグに掲載された「長期停止原発が複数再稼働へ、世界的な未知圏-川内原発先陣」と題した記事です。
ここでは長期にわたって停まっていた原発の再稼働の危険性が次のように指摘されていました。以下にもっとも重要な点だけ引用しておきます。

「国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータによると、最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたケースは世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに見舞われている。」
「原子力技術コンサルティング会社、ラージ&アソシエイトのジョン・ラージ社長は、日本は「国中の原子炉がすべて4年間停止した状態」にあり、原子力規制委員会は想定外の事態に備えなければならないと指摘。
 規制委がいま直面している状況は「他のどの国に存在しないまったく固有の事態」だと話した。」

そうなのです。日本の国内の原発はそのほとんどが4年以上、停まっており、原子力規制庁は、これまでどの国も遭遇しなかった困難な課題の前に立っているのです。
そして早速、新規制基準を通った原発が、再稼働前にトラブルを起こし、さらに出力10%の段階でトラブルを重ねてしまったのですから、これは、規制庁の監督責任そのものが問われる事態なのです。
単なる原発の稼働ではなく、長く停めていることで危険性が増大している原発の再稼働を、規制庁が審査し、責任を負い、その上でトラブルの発生を見抜けなかったのだという点をもっとクローズアップする必要があります。

もちろん新品の原発とて大きな危険性があります。だから僕はどのような原発にも反対です。
またこれまで繰り返してきたように、規制庁の新規制基準は、重大事故を前提としたものであって、その点でもまったく認められません。
そのくせ、つまり重大事故の発生の可能性を説きながら、周辺の避難計画もきちんと整備されておらず、その点からも認められるものではありません。
しかし今回起こっている事態は、それらの危険性に上乗せする形で、4年以上も停まっていた原発、今回で言えば4年7カ月も停まっていた原発の危険性が私たちに迫っているということなのです。

これは今後、再稼働が検討されているすべての原発について言えることです。いや、時間が経てば経つだけ危険性が増すのですから、日々、刻々と、日本中の原発が動かすべきではない度合い、危険性を強めていることを知らなくてはなりません。
2度の連続トラブルの発生で、規制庁の新規制基準のもとでの審査に大きな欠落があることがはっきりしたのですから、ここで大事故に至る前に、すべての原発の稼働にもう本当に終止符を打つべきなのです。
いやそれに加えて、東電のメルトダウン隠蔽という大犯罪までもが明らかになっているのですから、もはやどのような観点からも、原子力行政は存続を許されてはならないのです。

高浜4号機にとどまらず、すべての原発を即時停止し、廃炉に向かうべきことを、さらに声を大きくして訴えていきましょう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする