守田です(20180810 18:30 ナルボンヌ時間)
キャンプが終了しました!いま僕はバルセロナのホテルにいます。
少しだけバルセロナを見学して明日の朝、日本に向けて飛びたちますが、その前にまだキャンプの報告を続けたいと思います。
● わが友エルヴィと共に
今回のキャンプ、ナルボンヌやすぐ近くのモンペリエのローカルグループが大きな支えとなってくれました。もちろん参加者数も一番多かったと思います。
その中心を担っているのはエルヴィさん。ニュークリア・ヘリテージ・ネットワークの一員でもあり、長い期間、準備のためのSkype会議を共にしてきた仲間です。
一緒に撮った写真をご紹介します!
ちなみにフランス語ではエルヴィとなる彼の名前の綴りはHerve。これを他の国の仲間はハーヴィと呼びます。本人に聞いてみたらアイルランドに由来する名前だそうで英語圏ではハーヴィと読むのが普通なのだとか。「僕はどっちでも呼ばれてもいいんだ」と言うので「でもエルヴィの方が良くない?」と聞いたら「うん」というのでそれからはエルヴィと呼び続けています。
そのエルヴィさん。まるで優しさが服を着て歩いてるような性格。それもあってかいろんなことが「エルヴィ、お願い」「エルヴィ、頼むよ」と持ちかけられます。
「みんな毎日、エルヴィはどこだと言っていて僕は寝る時間がないよ」とニコニコと笑ってました。
● 福島原発事故直後にマルベジのウラン転換工場前に人々が集った
さてそのエルヴィさんが住んでいるナルボンヌには、マルベジというところにオラノ社(旧アレバ社)のウラン転換工場があります。ナルボンヌ中心街から3キロのところです。いわゆるウランのイエローケーキ(ウラン鉱石の濃縮物)の精製工場で、原発の燃料であり、核兵器製造の出発点でもあるウラン燃料製造の一部を担っています。ここからは放射性物質であるとともに重金属としての被害ももたらすウランをはじめさまざまな汚染物質が出ています。
地域の人々はかなり前からこの工場の存在を知っていたけれどもとくに主立った行動をしたことはなかった。フランスは核兵器を持っている国であり、なおかつそれを国家の威厳の1つとしているので核産業に対する声は上げにくいのです。
ところが福島原発事故が起こった時に、マルベジ周辺の人々が「自分たちも核に反対する何かの行動をしなければいけないのではないか」と考え、その一人が「とりあえずマルベジの工場の前に集まろう」と提案した。確か事故から10日以内のことでした。
そうしたらみんなの想像を超えて地域の70人ぐらいの人々が集まった。「これならもっと何かできる」と人々が考え出し、次なる行動を目指したのですが、なんと一気に飛躍して「核物質の運搬を阻止しよう」という話になりました。
方法はシンプル。警察のバイクの先導のもと、核物質を積んで工場から出て来たトラックを近くの交差点で待ち伏せ。トラックが止まると近くの草むらからワラワラと人が出て来て車の前でダイイン。それで数時間、輸送を停めてしまったのでした。
するとなんとダメージを受けた会社側が車での輸送をやめ、貨車輸送に切り替えてしまいました。そしたら今度は人々は路線上に櫓のようなものを作り、やはり数時間にわたって列車をとめてしまったのです。
その後、ナルボンヌの市庁舎をバタフライの形で囲む抗議行動を提案すると、町の中から、近郊から、どんどん人が集って来てなんと数万人になってしまった。
この話はエルヴィさんによる昨年7月のドイツ・デーベルンでの反核サマーキャンプでのプレゼンで知りました。阻止行動のビデオもありました。その後にエルヴィさんと話すと「フランスの人々は福島原発事故で変わっただよ。やっと大きく声を上げ始めたんだ」と語ってくれました。僕も「日本もそうだよ。いやきっと世界が変わりつつあるんだよ」とお答えしました。
● 工場見学の際、女性たちが泣き出した
そんないきさつの中ででは「次はこの行動をみんなで応援しよう」という思いもあってここでの開催が決まり、エルヴィさんが地元グループに頼み込んでくださったのですが、それで今回はみんなでこの工場の見学にも行きました。少し離れた小高い丘に旗を先頭にみんなで上り、工場や裏手にある汚染水のたまり場などを見学しました。
膨大な汚染水がきれいな大地を浸食するように広がっていてなんとも心が痛くなる光景でした。
写真は旗を掲げるベルギーの仲間と工場の廃液プールです。
一通りの説明を受けて引き上げようとした時に、池田上人がお太鼓を叩きながら「南無妙法蓮華経」を唱え始めました。僕も唱和しました。上人はそうやって行く先々が平和になることを祈って「南無妙法蓮華経」を唱えられてるのですが、いつもその場にいる人々の心を揺り動かします。
このときも南仏在住の女性がにわかに泣き出しました。「私はこの工場があることが辛いの。悲しいの。ずっと心の痛みなの」と語られました。
そばにいたネイティブ・アメリカンのレオナさんがすぐさま彼女を抱きかかえました。レオナさんたちもずっとウラン鉱山に苦しめられ続けているのです。やがてレオナさんの目からも涙が落ち始めました。
そのかたわらで上人と僕は「南無妙法蓮華経」を唱え続けました。
写真は池田上人と僕、プナールさん、ドイツからの仲間、レオナさんです。
そんなことがあって最後の方から丘を下っていくと、車を止めた付近で何か人々がワーワーもめている。何かと思ったら5人の警察官たちの姿が見えました。出口も警察の車で封鎖されている。マルベジの工場を警備している警官たちのよう。さあ、どうなってしまうのでしょう‥。
続く
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